音読授業を創る そのA面とB面と      04・06・21記




    
低・中・高学年別の音読指導のポイント




 表現よみの指導方法は、意味内容の解釈深めの話し合い学習、そこから情
感を感受し、そして音声表現する、という段階をふつうはとります。その表
れ出た音声表現が読み手自身が満足できなければ、さらに修正した音声表現
をする、それでも満足できなければさらなる修正した音声表現をする、とい
う指導過程をとります。
 次に述べる小学校低学年、中学年、高学年の指導内容は、それぞれの発達
段階で重点的に指導すべき内容です。高学年に書いてある内容はそれだけを
高学年で指導すればよいのではなく、低学年や中学年の指導内容ができてい
なければ、それをも含めて指導するということです。



        
小学校低学年の指導ポイント


(1)長音化読みを退治する。

  長音化読みとは、「はなが、さきました。」の文例でいえば、次のよう
な長音化にして読むことです。
     haa  naa  gaa  sakii  masitaa.
     ha-  na-  ga-   sa-  ki- ma-  si-  ta- .

(2)脱字読みを退治する。

  脱字読みとは、「たんざくに ぶんを かいてから、  たけに つる
しました。」 の文例でいえば、「たんざくに ぶん かいてから、 つる
しました。」のように「たけを」を飛ばして読んだり、「を」をとばして読
むことです。これはいけませんので、退治します。

(3)おきかえ読みを退治する

  おきかえ読みとは、「あかは、とまれのしるしです。」の文例でいえ
ば、「あかは、とまれのあいずです。」のように、「しるし」を「あいず」
とおきかえてよむことです。これはいけませんので、退治します。

(4)増語読みを退治する。

  増語読みとは、「おとひめさまが、ごちそうをしてくれました。」の文
例でいえば、「おとひめさまが、おいしいごちそうをしてくれました。」のよ
うに書かれている語句以外の「おいしい」を挿入して読むことです。

(5)助詞や文末の跳ね上げ読みを退治する。

  跳ね上げ読みとは、「おとひめさま、おみやげ たまてばこ く
れまし。」の太字の助詞や文末を、強く力んで、しり上がりに跳ね上げて
読むことです。教師の話し口調にもこれがみられます。これもいけませんの
で、退治します。

(6)会話文につづく「と」の跳ね上げ読みを退治する

  「速い馬ののりてをつれてこい。」、王様はさけんだ。
  会話文を引用する接続助詞「」をへんに高く跳ね上げて読む傾向があ
ります。「と」は声に出さなくても意味は通じます。「と」は、ほんの軽
く、下げて読むぐらいでよいのです。

7)会話文は、人物の気持ちになって音声表現する。

  対話している会話文は、人物がどんな状況の中で、どんな気持ちでいる
か、どんな表現意図ではなしているか、男か女か、年齢は、性格は、などを
含めて、気持ちを押し出しと読むようにします。地の文の読み方とははっき
り区別して、話し口調で、やりとりの感じを出して、読むようにします。地
の文は、淡々と説明しているように読みます。

(8)たっぷりした声量で、歯切れよく読む

  声が小さい、唇が動かない、顔の表情がない、つかえ読みをするは入門
期にはよく見られる現象です。これは他者との心からの触れ合いができてい
ないことが原因です。学級作りの問題です。授業中、のびのびと発言ができ
る屈託のない雰囲気作りをすることです。どんな意見も全員が温かく受け入
れる雰囲気作りが必要です。



       
小学校中学年の指導ポイント


(1)へんな読み癖を退治する。

  へんな読み癖とは、寄せては返す海岸の波のような、妙な繰り返しリズ
ムのある、読み手独自のへんな癖のある読み口調のことです。ことばでは表
現できませんが妙なメロディーのついた読み方のことです。うねり読み、助
詞の跳ね上げ読み、文末の強め読みなどをしないようにします。
  これをこわすには、スタッカート読みがよいほうほうです。スタッカー
ト読みとは、「アマリリス」をスタッカートで歌うように、一つ一つの音を
正確に短く切って発音することです。ゆっくりと、へんな癖をつけないで、
たいらに、ずらずらと、つめたく音声化します。ここで注意することは、無
声音を有声音にしないことでそ。たとえば「歯槽膿漏」は「シ・ソ・ウ・ノ
・ウ・ロ・ウ」でなく「シ・ソー・ノー・ロー」と発音することです。
  この「スタッカート読み」ができたら、次に「ニュース読み」をしてへ
んな読み癖を直します。「ニュース読み」については本ホームページの中の
「ここから始めよう、音読授業を」に書いてあります。

(2)文頭・語頭の力みを退治する。

  文頭・語頭の力みとは、次の文章の太字の箇所を、強く跳ね上げて、力
んで音声表現することです。
  まだ、せんそうの はげしかった ころの ことです。
  文頭・語頭の力みは、なんとか情感づけをしようとして、頭にはぼんや
りした情感のかたまりはあるのだが、それが文章の線条性にそってスムーズ
の表れてこないで、語頭や文頭で一気に不発となって出たのだろうと思いま
す。表現よみ上達段階の一過程として、こんな通過をする児童がけっこうい
ます。しかし、はやく卒業させなければなりません。

(3)区切りの間に気をつけて音声表現する。

  区切りの間とは、意味内容からの形式的論理的な間のことです。
  たとえば、次のような文は、普通は(    )内をひとつながりに読
みます。この(   )内のあちこちをぶつぶつと途中で切って読んでは、
意味内容が聞いる人に分からなくなってしまいます。

  (まったく、)(豆太ほど)(おくびょうなやつはない。)(もう)
(いつつにもなったんだから)(夜中に)(ひとりで)(せっちんぐらいに
行けたっていい。)

  少し解説を付け足します。「まったく」は「ない」に係る副詞ですか
ら、「ない」に係っていく気持ちをもって読み進めていく必要があります。
「まったく………おくびょうなやつはない」なのです。
  「もう」は、「いつつになった(んだから)」までに係りますから、
「もう」を「なった」までつながるように読んでいきます。このように区
切りの間に気をつけて、意味内容の区切りではっきりと間をあけて読むこ
とが大切です。

(4)会話文は、対話文と独り言とを区別して、音声表現する。

  会話文には、二つがあります。相手と話し合っている会話文と、声には
出ていなくて自分の頭の中でしゃべっている、または思っているだけの独り
言の会話文があります。
  対話の会話文は、リアルに話し合う口調で、やりとりしている口調で音
声表現します。
  独り言の会話文は、黙って、ぼそぼそと、低い声で音声表現します。会
話文については、本ホームページ「上手な会話文の読み方」の章を参照して
ください。

(5)記号づけをして音声表現する。

  ひとり読みの段階で、教材文の行間や余白に音読記号のしるしを書き込
みます。子どもたちは音読記号をつけても、なかなかそのとおりに音声表現
せることができません。できるようになったら、その時の読みのリズムや勢
いで若干の変更をくわえて読んでもよいことを教えます。
  まず、記号づけしたとおりに音声表現できるようにします。次に、その
時の読みの調子や勢いで記号づけを変えても読めるようにします



       
小学校高学年の指導ポイント


(1)転調で情感づけをする。

  転調とは、場面の意味内容の変化により、これまで読み進めてきた全体
の音声の調子を、それとはべつの調子に変化させて読み進めることです。明
から暗に、緩から急に、強から弱に、喜から怒に、などに読みの音調を変化
させることです。
 
(2)情感性の間に気をつかって音声表現する。

  区切りの間のほかに、情感性の間があります。(1)とも関連がありま
すが、例えば前半は明るく、元気よく、楽しそうに、後半は暗く、沈んで、
ゆっくりと音声表現するという場面があったとしたら、そのような雰囲気や
気分を音声表現するということです。緩急変化や語勢の変化や大小変化など
も情感性の間です。
  そのほかに声の大小・強弱・高低、転調、イントネーション、テンポ、
間、プロミネンスなど、音声表現の技術を意識して音読するようにします。
  場面全体の雰囲気を音声表現することも重要です。明るい音調、沈んだ
音調、暗い音調、悲しい音調、静かな音調など、場面全体の雰囲気をつかん
で全体の情調をたっぷりと音声表現するようにさせます。

(3)地の文の書かれ方に即して音声表現する。

  地の文には、五種類があります。五つの地の文の書かれ方に即応して、
地の文を音声表現するようにします。五種類については、本ホームページ
「上手な地の文の読み方」の章を参照してください。



           
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