表現よみ授業の指導法                2011・11・20記




 
表現よみ授業の指導方法(その2)




 本章の目次
   (1)二人の児童の読み声の違いを話題にする
   (2)二つのグループ発表の違いを話題にする
   (3)会話文の但し書きに注目する
   (4)グループ発表会をする
   (5)動作化を取り入れる
   (6)役割音読を取り入れる





  
(1)二人の児童の読み声の違いを話題にする


  座席の並び順で前から順繰りに同一文章箇所を音声表現させていったと
します。または、同一箇所を挙手で数人の児童に音声表現させたとします。
または、二人の児童に同一箇所を音声表現させたとします。その中から、教
師が音声表現で指導したいポイントとなる箇所を選択します。
  たとえば、A児とB児の読み声を取り上げた指導例を以下に書きます。

 6年生教材文「海の命」に次のような文章個所があります。

 父もその父も、その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた海に、太
一もまた住んでいた。季節や時間の流れとともに変わる海のどんな表情でも、
太一は好きだった。


A児は次のような区切り方で音声表現していたとします。  

  「父も」「その父も、」「その先ずっと顔も知らない」「父親たちが住
んでいた」「海に、」「太一も」「また住んでいた。」「季節や」「時間の
流れとともに」「変わる」「海の」「どんな表情でも、」「太一は好きだっ
た。」

  
B児は次のような区切り方で音声表現していたとします。

  「父も」「その父も、」「その先ずっと顔も知らない父親たちが住んで
いた海に、」「太一も」「また」「住んでいた。」「季節や時間の流れとと
もに変わる海の」「どんな表情でも、」「太一は好きだった。」


  A君も上手だった、B君も上手だった、二人共に、太一の父さんもお
  じいちゃんも、その先ずっと先祖の人たちもずうっと海に住み、海で働
  いてきた。太一はそんな海が好きだ。ということがよく分かるように読
  めていました。すばらしい読み方でしたよ。
   A君もB君も上手でしたよ。二人の表現よみの仕方でちょっと違うと
  ころがあったのですが、みなさん、どこか分かりましたか。
 A君は、区切って読むところが多く、B君はA君と比べて区切って間を
  あけるところが少なかったです。
 そうでしたね。聞いていて、どちらがよく分かる読み方になっていまし
  たか。
 A君がよい。B君がよい。両方ともよい。(いろいろな意見が出るでし
  ょう。)
  ここには二つの文があります。はじめの文の中心文(基本文、骨格 
  文)は「海に、太一も住んでいた。」です。どんな海かというと、「父
  もその父も、その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた」「海」
  です。「海」に係る連体修飾部分をあちこちでぶつ切りに区切って読む
  と意味が分かりずらくなります。ひとつながりになって「海」に係るよ
  うに読むのがよいと思います。長い連体修飾部分の内部は小さな区切り
  部分で心持ち間をあけて読んでもいいですが、気持ちや思いではひとつ
  ながりに「海」に係るように音声表現していくのがよいでしょう。
   二番目の文も同じことが言えます。中心文(基本文、骨格文)は「表
  情も、太一は好きだ。」です。どんな表情かというと「季節や時間の流
  れとともに変わる海の」「表情」です。「季節や時間の流れとともに変
  わる海の」が「表情」に係るように気持ちや思いでつながっているよう
  に読んでいくのがよいと言えます。
(こうした学習のあとで、連体修飾部分が、それぞれ「海」「表情」に係っ
ていくように全員で音声表現の練習をします。繰り返し完全にできるまで練
習します。初めは一斉音読で練習して、のち、個人読みで発表させます。)




  
(2)二つのグループ発表の違いを話題にする




 次はグループごとの発表で対照的な読み方を取り上げ、違いに気づかせて
指導した例です。
 あまんきみこ「ちいちゃんのかげおくり」(光村三下)の中に次のような
文章部分があります。説明の都合上から会話文の下に番号をつけています。
家族四人がかげおくりをしている文章場面です。

  ちいちゃんとお兄ちゃんを中にして、四人は手をつなぎました。そして、
みんなで、かげぼうしに目を落としました。
「まばたきしちゃ、だめよ。」(1)
と、お母さんが注意しました。
「まばたきしないよ。」(2)
ちいちゃんとお兄ちゃんが、やくそくしました。
「ひとうつ、ふたあつ、みいっつ。」(3)
と、お父さんが数えだしました。
「ようっつ、いつうつ、むうっつ。」(4)
と、お母さんの声も重なりました。
「ななあつ、やあっつ、ここのうつ。」(5)
ちいちゃんとお兄ちゃんも、いっしょに数えだしました。
「とお。」(6)
 目の動きといっしょに、白い四つのかげぼうしが、すうっと空に上がりま
した。
「すごうい。」(7)
と、お兄ちゃんが言いました。
「すごうい。」(8)
と、ちいちゃんも言いました。
「今日の記念写真だなあ。」(9)
と、お父さんが言いました。
「大きな記念写真だこと。」(10)
と、お母さんが言いました。       

 会話文が連続している文章部分です。配役を決めて役割音読をすると、臨
場感あふれる場面が現出できて子どもたちは喜びます。
 この場面の登場人物は、四人です。四人一組のグループを作って、グルー
プごとに練習させるとよいでしょう。男性二人、女性二人ですから、男女の
人数配当を考慮してグループ作りをしましょう。
 ここの役割音読で留意すべき指導事項は三つあります。

【留意事項1】会話文の話し手は誰かをはっきりさせる。
 会話文の指導でまずはっきりさせるべきは誰が話し手であるかです。ここ
の文章個所の会話文の話し手は下記のようになっています。

(1)母。(2)ちいちゃんと兄。(3)父。(4)父と母。(5)父と母
と兄とちいちゃん。(6)父と母と兄とちいちゃん。(7)兄。(8)ちい
ちゃん。(9)父。(10)母。

【留意事項2】声の重なりや場面の雰囲気を声にする
 (1)から(10)まで、人数が増えたり減ったりしています。しだいに
声が重なっていくかげおくりの個所では声量が増えていく配慮が必要です。
家族四人が心をおどらせて嬉々としてかげおくりをしています。声に勢いづ
いた、調子づいた音調があるといいですね。家族全員の楽しそうな雰囲気が
数え声に出るとすばらしいですね。

【留意事項3】拗音の表記と読み方に留意する。
 日本語の長音の表記のしかたは次のようになっています。
「あ段」は、のばした清音の下に「あ」と書く。
「い段」は、のばした清音の下に「い」と書く。
「う段」は、のばした清音の下に「う」と書く。
「え段」は、のばした清音の下に「い」と書く。
「お段」は、のばした清音の下に「う」と書く。
例外が「え段」に二つ、「お段」に若干数あります。「え段」の例外は「え
え、おねえさん」の二語です。「えい、おねいさん」ではありません。
「お段」の例外は次ようにして覚えさせます。
  (1)「おおかみ」は「こおり」が「こおった」「とおり」をあるく。
  (2)「とおく」に「おおきな」「こおろぎ」が「おおい」。
  (3)「とお」の「ほのお」で「ほおずき」のようなまっかな「ほお」。
教科書「ちいちゃんのかげおくり」には次のように表記してあります。
「ひとうつ、ふたあつ、みいっつ。」
「ようっつ、いつうつ、むうっつ。」
「ななあつ、やあっつ、ここのうつ。」
「とお。」
 ここで数字の唱え場面で、正式な長音表記の仕方をもう一度おさらいする
学習ができます。
 長音の表記を分かりやすくするために、ここで「―」で表記すると、次の
ようになります。実際の音声表現も「―」になって発音されます。「―」の
ように伸ばして読むようにします。「ひ、と、う、つ」「ふ、た、あ、つ」
とはなりません。
 「ひとーつ。ふたーつ。みーっつ。」←「ひとうつ、ふたあつ、みいっ
つ。」
「よーっつ。いつーつ。むーっつ。」←「ようっつ、いつうつ、むうっ
つ。」
「ななーつ。やーっつ。ここのーつ。」←「ななあつ、やあっつ、ここのう
つ。」
「とー。」←「とお。」
「すごーい。」←「すごうい。」

 はじめに4人グループ編成で練習させる、と書きました。グループ発表を
させます。数字の音声表現の強弱・強勢の置き方・伸ばし方・上げ下げの引
きずり方・重なりの声量の重量感・タイミングや間のあけ方・息の合い方な
ど、グループによって、みな違って発表されてきます。
 下手な箇所をあれこれ取り上げるのはよくありません。それぞれのグルー
プには、それぞれによい点があったでしょう。各グループから上手だった箇
所を取り上げて、そこを再度発表させて、全員で模倣します。繰り返し模倣
して、さらに各グループでそこをまねてよい音声表現になるように挑戦する
練習をさせます。



 
   (3)会話文の但し書きに注目する。



 会話文の直前または直後に「この会話文はこういう音調で語られた」とい
う但し書きが書いてあることがあります。これに注目させます。実際の音調
は、その但し書きの指示にしたがって音声表現されるべきでしょう。

  前出した、あまんきみこ「ちいちゃんのかげおくり」(光村三下)の中
の文章部分を、再度、ここでも取り上げます。家族四人がかげおくりをして
いる文章場面です。但し書きをみてみましょう。

会話文(1)「注意しました。」
会話文(2)「やくそくしました。」
会話文(3)「数えだしました。」
会話文(4)「声も重なりました。」
会話文(5)「ちいちゃんとお兄ちゃんもいっしょに数えだしました。」

これら但し書きに注目させて、音声表現させます。ひとり一人がばらばらに
声に出して練習し、そのあと、個人発表させます。上手に読めてる児童の読
み声は全員で模倣します。身体に沈殿するまで繰り返し練習します。一回や
二回だけでは効果がありません。身につきません。




  
   (4)グループの発表会をする




 最後のまとめとしてグループの発表会を開催します。教室前面で、四人一
組で順繰りに発表会をします。
 観客である児童たちの感想発表では、上手とか下手とかの判定を言い合う
のでなく、よい点を出し合い、ここがよかった、工夫していた、とても上手
だったと、ほめる言葉を多く出すようにします。自分たちのグループと比べ
て、ここがよかった、参考になった、こんな場面の様子がよく出ていた、と
よい点を指摘し合うようにします。「悪いところ。下手なところ」という言
葉は使わないようにします。「おしいなあと思ったところ。ちょっと残念だ
ったなあと思ったところ。もうちょっと工夫すればよかったところ。ちょっ
とおしいなあと思ったところ」などの言葉を使い、自分のグループと比較し
て、よい点を学ぼう、自分のグループを伸ばすのによい点を取り入れようと
いう態度で話し合うようにします。自分たちが学んだよい点は、模倣よみを
繰り返したりして、再度グループに返って、または全員で、わざ(技)とし
て身体に刷り込んでしまいます。これが全く新しい文章の音声表現に生きて
使えるわざ(技)となるでしょう。



       
(5)動作化を取り入れる。


授業例1

 前出のあまんきみこ「ちいちゃんのかげおくり」(光村三下)の文章箇所
からです。

 
「とお」と数えると「目の動きといっしょに、白いかげぼうしが、すうっ
と空に上がりました。

 この地の文は、「とお」と言った直後に四人の目が空のかげぼうしへと一
斉に注視したということです。四人がかげぼうしを発見し、驚きの表情から
笑顔に変わったことでしょう。「とお」と言った直後に目が一斉に移動する
タイミング、お兄ちゃんとちいちゃんの「すごうい。」の驚き声の表情、二
人同時の「すごうい」の出だしのタイミングや語勢の上がり下がり音調など
が重要となります。グループでやるときは、かげぼうしが出現したのは教室
のどのあたりか、前もって約束しておく必要があります。
  家族四人(児童たちの四人グループ)が一列に並んで、または手つなぎ
の動作化(劇化)で音声表現すれば楽しく学習でき、会話文の音声表現も臨
場感あふれた豊かなものとなります。


授業例2
  松谷みよ子「花いっぱいになあれ」という低学年の教材文に、次のよう
な文章箇所があります。

 
「花いっぱいになあれ。わあい。」と言って、ふうせんをとばしました。

  風船をとばした、ほんのちょっとした動作をイメージし、目は上を向き、
両手をあげつつ、笑顔で「花いっぱいになあれ。わあい。」を読んでみよう。
動作や表情をつけた方が、つけないよりはずっと音声表現に豊かさやリアル
さや迫力が出るようになります。


授業例3
  今西祐行「一つの花」(四年生教材)に、次のような文章箇所がありま
す。

 すると、ゆみ子のお母さんは、
 「じゃあね、一つだけよ」
 と言って、自分の分から一つ、ゆみ子に分けてくれるのでした。
    
 読み手は、ゆみ子のお母さんになったつもりで、ちょっと片手をゆみ子に
差し出す動作をしながら「じゃあね、一つだけよ」を読んでみよう。「おな
かをすかしているのね。しようがないわね」という気持ちをこめて読むと、
リアルな音声表現になるでしょう。


授業例4
 椋鳩十「大造じいさんとがん」(六年生教材)に、次のような文章箇所が
あります。

  じいさんが、ぬま地にすがたを現すと、大きな羽音とともに、ガン
 の大群が飛び立ちました。じいさんは、「はてな」と首をかしげました。

 じいさんは首をかしげながら「はてな」と言ったのです。読み手はちょっ
と首をかしげる動作をしながら独り言で「はてな」を読むと、リアルさが出
ることでしょう。
  表現よみは、身じろぎもせず、緊張した固いからだて読むだけ、これは
絶対にあってはいけないことです。身体をゆらして緊張をほぐすことが必要
です。表現よみは、ゆったりとした身体で表現するのがいいのです。
  文章場面に応じて、食べる、飲む、走る、怒る、笑う、驚く、わめく、
叱る、伸びあがる、下を向く、上を向く、跳ね上がる、駆けのぼる、ガッツ
ポーズをする、などの行動描写が書かれている場面があったとしよう。文章
に書かれていなくてもそうした場面が文脈として予定されている文章個所が
あります。ただ行動場面を脳裏にありありとイメージするだけでなく、そう
した動作を可能な範囲でちょっと身ぶりや動作化や顔の表情を作る、などを
入れながら音声表現してみます。身ぶりや動作化や顔の表情を作ることで、
その音声表現はリアルさや迫力がずっと増すことでしょう。
  すべての文章に動作化ができるわけではないが、文章場面によっては、
ちょっとした軽い仕草や顔の表情や身体動作をつけながら読むことができる
個所もけっこうあります。ちょっとした身体動作で擬似体験の身体感覚を持
つことは音声表現に真実味を与える動因になります。


  次に
「動作化を取り入れる」練習文を書きます。学級児童に
練習させてみたらどうでしょう。

(練習文1)
新学期になってすぐ、転校だなんて。
「ひどいよ、そんなの。」
大樹は、夕食のテーブルから思わず立ち上がった。
          加藤多一「五月になれば」5上。教出より

(練習文2)
「いいえ、夏みかんですよ。」
信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、
にこにこ
して答えました。

          
あまんきみこ「白いぼうし」4上、光村より


(練習文3)
 
ブンさんはまくら元の電灯をつけました。すると、明かりの下にねずみが
一ぴき、ちんとすわっているではありませんか。
「お休み中にすみません。わたし、お宮の森に住んでいる者です。」
ねずみはそう言うと、ぺこりと頭をさげました。
         「海、売ります」岡田貴久子。4上、日書より

(練習文4)
(ブンさんのところに小さな小包がとどきます。中には、海の匂いを残して
るするめ、さんご、魚の干物、貝殻などが入っております。手紙を読んで、
ブンさんは目を丸くしました。
ブンさんは何度も頭をふって、
「そんなばかな。……」
つぶやきました。


(練習文5)
「ふんだ。あんたたちなんかと、だれがあそんでやるもんか。」
トッコは、べっかんこしてみせました。
         長崎源之助「つり橋わたれ」3上、学図より


(練習文6)
「おーい、どこにいるのーっ。」
トッコはよびました
すると、林のおくから、
「おーい、どこにいるのーっ。」
という声が、聞こえてきました。
  
         
長崎源之助「つり橋わたれ」3上、学図より




      
(6)役割音読を取り入れる



  「役割音読」は、「分担読み」とも呼ぶことがあります。この方法は、
昔から多くの先生が取り入れている指導方法です。改めて紹介するまでもな
いでしょう。前述でも、「二つのグループ発表の違いを話題にして考えさせ
る」章で、「ちいちゃんのかげおくり」の中の家族四人で影送りをしている
場面で役割音読について書いています。四人の会話文が連続して書いてある
文章個所でした。四人の会話文の上部に誰が話した会話文か、発言者の氏名
を書き込み、先ず発言者をはっきりとさせます。発言者の配役を決めて、分
担読みをします。
  長崎源之助「つり橋わたれ」(学図、3上)に次のような文章部分があ
ります。

そこで、トッコは、山の向かってよびかけました。
「おーい、山びこーっ。」
すると、「おーい、山びこーっ。」
という声が、いくつもいくつもかえってきました。それがだんだん大きくな
ってきたかと思うと、とつぜん、どっと風がふいて、木の葉をトッコにふき
つけました。
トッコはびっくりして、思わず目をつむりました。
そして、こわごわ目を開けると、そばに、かすりの着物を着た男の子が立っ
ていたのです。
「あら、あんた、いつ来たの。」
と、トッコが聞くと、男の子は、
「あら、あんた、いつ来たの。」
と言って、にっこりしました。
「おかしな子ね。」
「おかしな子ね。」
「こらっ、まねするな。」
トッコが手をふり上げると、男の子は、
「こらっ、まねするな。」
と言って、にげました。
「まねすると、ぶつわよ。」
「まねすると、ぶつわよ。」
男の子は、わらいながら、つり橋をトントンかけていきました。 
             長崎源之助「つり橋わたれ」学図、3上より


発言者をはっきりさせます。次のようになります。
トッコ 「おーい、山びこーっ。」
やまびこ「おーい、山びこーっ。」
トッコ 「あら、あんた、いつ来たの。」
男の子 「あら、あんた、いつ来たの。」
トッコ 「おかしな子ね。」
男の子 「おかしな子ね。」
トッコ 「こらっ、まねするな。」
男の子 「こらっ、まねするな。」
トッコ 「まねすると、ぶつわよ。」
男の子 「まねすると、ぶつわよ。」

  会話文が連続して書いてあります。発言者は、トッコ、男の子、それに
やまびこの会話文があります。トッコ、男の子、やまびこ、三人の配役を決
めて、掛け合いの分担読みをします。ここでの役割音読で留意すべきことは
トッコと男の子とが「やりとり」している雰囲気・感じを出して音声表現す
ることです。また、二人の気持ち・伝え意図を押し出して音声表現すること
です。トッコの呼びかけ声にこだまする山彦の感じが音として上手に表現す
ることです。

  やまびこは、「いくつもいくつもかえってきました」ですから、一個だ
けでなく二個、三個、四個、五個などあってもよいでしょう。通常はあとに
いくほど音が小さく弱く消えるようになっていくのですが、ここでは逆にだ
んだん大きくなっていくと書いてあります。ファンタジーの虚構世界ですか
ら、書いてあることにしたがって音声表現していきます。やまびこ役を一人
だけでなく、数人、あるいは学級全員を割り当てる方法もあります。このへ
ん、担任教師のアイデアの出し方にかかっています。
  「とつぜん、どっと風がふいて、木の葉をトッコにふきつけました。
トッコはびっくりして、思わず目をつむりました。そして、こわごわ目を開
けると、そばに、かすりの着物を着た男の子が立っていたのです。」と書い
てあります。「ドードー」というすごい音の風役を作ってもよいでしょう。
学級全員でやってもよいでしょう。
 「思わず目をつぶる」「こわごわ目をそっとあける」などは動作化をする
とよい音声表現になるでしょう。
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