説明文の表現よみ指導 2012・02・29記 説明的文章と文学的文章との言語機能の相違 次に説明的文章と文学的文章との言語機能の特徴について、一覧表にし て示します。以下、左右対照にして書いています。 説明的文章の言語機能 文学的文章の言語機能 客観性 主観性 一義性(厳密性、論理性、外延性) 多義性(含意性、曖昧性,内包性) 事実性 虚構性 現実・事実の記述 空想・想像の記述 抽象性 具象性 規定性・限定性・自由度なし 融通性・含意性・自由度あり 一般性(普遍性) 個別性(特殊性) 概念的 感化的・感覚的 理知的 主情的(情緒的) 思弁的 形象的 明示的 暗示的(含蓄的) 公共的 私的 積分的 微分的 理性的認識 形象的認識 事実世界を抽象的に概念的に記述 想像世界を具体的に写実的に記述 解釈の一意性を厳守する 解釈の多様性を許容する 説明理論文体、客観文体 形象描写文体、主観文体 (注記) 説明的文章と文学的文章、それぞれの言語機能の特徴について、一覧表 にして示しました。しかし、これは相対的な区別であって、絶対的な区別で はありません。 たとえば「説明的文章は論理的に書かれていて、文学的文章は情緒的に 書かれている」ということはよく言われます。しかし、説明的文章にも情緒 性はあるし、文学的文章にも論理性はあります。両者とも、論理性と情緒性 を併せもっています。 両者の相違は、どちらに重点がおかれ、どちらに傾斜したはたらきで比 重をしめて機能しているかという相違にしかすぎません。両者は、相対的な 相違であって、説明的文章は事象・事柄の論理展開に傾斜して書かれており、 文学的文章はストーリー展開の情緒性に傾斜して書かれている、ということ は一応は言えるでしょう。 上記の表は、一応、そうしたことを承認した上で、両者ではたらいている 言語機能の相違をあえて、むりにこじあけて記述しているだけに過ぎません。 このような便宜的区分も一定の範囲内では可能であり、かなりの有効性を発 揮すると確信して上記のような一覧表を作成しました。 そのことを承知の上で上記の表を読むと、両者の言語機能の相違が明快 に理解できるはずです。説明的文章と文学的文章との相違のアウトラインを 対比的に分かりやすくご理解いただけるはずです。 |
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