読授業を創る そのA面とB面と         2011・09・28記




  
音読初期の読み声実態はこうだ




  音読指導を受けていない児童たちは、どんな初期実態がみられるでしょ
うか。
  地域差、学校差があるでしょうが、一般論でいえば以下のような実態で
はないでしょうか。あなたの学級では、これらの中のどれが顕著にみられる
かを分析し、顕著なものから重点的に指導していくようにしましょう。



          
初期の音読実態


 次は、音読の初期に見られる一般的な音読実態です。

(1)声が小さい。声に力がない、声がか細い。声に響きがない。

(2)読みが速い。読み間違えないで、早口で読むことが上手だという考え
   をしている。

(3)間がない。一本調子のずらずら読みである。抑揚がない。単調でモノ
   トーンである。

(4)へんな読み癖がある。自分勝手な読み調子、地域独自な節がついた読
   み調子がある。うたい調子がある。

(5)発音がよくない、あいまいな発音である。ひとつ一つの発音がぼやけ
   ている。

(6)読み落としがある。(例)春がやってきました。→春がきました。

(7)つけたし読みがある。(例)走りました。→走りはじめました。

(8)飛ばし読みがある。(例)「遠くの山からカラスが飛んできました」
   →「遠くからカラスが飛んできました」

(9)繰り返し読みがある。(例)「遠くの山からカラスが飛んできまし 
   た」→「遠くの山から、遠くの山からカラスが飛んできました」

(10)拾い読みやつっかえ読みがある。これは、理解不十分か、読み慣れ
    てないところからくる。

(11)文節末の助詞、文末の動詞・助動詞のはね上げ読みがある。母音が
    のびる。語尾をきちんと止めてない。

  (例)おばあさんはー、川へー 洗濯にー 行きまぁーした。これはー
     桃太郎のー お話でぇーす。
(12)早口読み、空読み、うわすべり読み・走り読みがみられる。

(13)自分の呼吸に合わせて、自分勝手に区切って読む。自分勝手なリズ
    ム調子をつけて読む。読み調子は、文章のもつリズムに即すべ  
    きです。

(14)「なぎなた読み」がみられる。(例)「弁慶が、なぎなたで、義経
    を、刺し殺した」→「弁慶がな、ぎなたでよ、しつねをさ、し殺し
    た」
     これは、意味内容のブロックを無視した読み方からきている。こ
    れも、理解不十分か、読み慣れてないところからきている。読み慣
    れることが必要です。

(15)ぶつ切り読みがある。長い文になると、あちこちで間をとって読み、
    ぶつぶつ切れた、全体の意味内容が伝わらない読み方になってしま
    う。話線の全体の流れを意識した読み方にしていくことです。

(16)高学年になると、「調子づけ読み」「すかし読み」が出てくる。か
    っこよく読もうとして、わざとすかした、へんに調子づけた読み音
    調になる児童がいる。特に女子に多い。また、自分勝手に酔ってし
    まった読み方になる児童もいる。型や様式だけに意識がいくと、中
    身が飛んでしまう。かっこよさを伝えるのでなく、中身を伝えるこ
    とが大切だ。特に高学年の女子児童に多い。

(17)高学年になると、感情過多な音声表現がみられる。思い入れ過多、
    独自な節や読み癖がついてくる児童がいる。声の調子をことさらに
    作る児童がいる。

(18)強調過多がみられる。一字一句を、心をこめて一生懸命に丁寧に読
    んだつもりが、ことごとく立ってしまう。いたるところに強調や粒
    だった読み方になってしまう。



      
先ずは、ここから指導を始めよう


  先ずは、意味内容の区切りで間をあけて読むことです。へんな読み癖を
なくして、折り目正しく、中立的に(歯切れよい発音、張りのある声、癖の
ない読み声)読む指導から始めましょう。
  本ホームページのトップから「ここから始めよう、音読授業」・「やっ
てみよう、音読の基礎練習」をクリックしてみよう。これら拙論が参考にな
るでしょう。


           
参考資料
  

  わたしはかつて『国語の授業』誌(児童言語研究会編集・2008・8発
行)に初期実態について次のように書いたことがありました。上述したこと
と内容が殆ど重なっていますが、参考までに引用しておきます。

(1)小声読み(声帯に息が当たらない。のどが開いてない)

(2)発音不明瞭(もぐもぐ発音。口の開きが不十分)

(3)ずらずら読み(平板な一本調子の読み方)

(4)口先読み(口先だけの空読み)

(5)句末や文末のばし読み(おじいさんはー、山へ―、詩ばかりにー、行
   きましたー)

(6)節つけ読み(妙な節・メロディーがついた読み方。独得な言い回しの
   ある読み方)

(7)つっかえ読み(文字を声にするのがせいいっぱいな読み)

(8)早口読み(早口が上手と考え違いしてる。ゆっくり、たっぷり、きっ
   ちり読めない)

(9)気どり読み(文末、句末をしゃくり上げ、すまして、とりつくろった
   読み方。高学年女子にみられる)

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