モダリティと音声表現        2012・05・29記
副詞の音声表現





             
副詞




 副詞は、自立語で、活用がなく、主に動詞、形容詞、形容動詞を修飾する
ために使われます。ですから、副詞を音声表現するときは、文末(動詞、形
容詞、形容動詞)に係っていくように、つながっていくように読むことが大
切です。

 副詞は、語り手の主観的な判断、態度、評価を表明している言葉です。語
り手の一方的な決めつけ内容を含んだ言い方もあります。語り手の主観的な
独自な判断、態度、評価がこめられていますから、強調した音声表現になる
のが多いです。(モダリティの希薄な副詞もありますが、一応ここにすべて
入れておきました)

 すべての副詞が、いつも強調した音声表現になるわけではありません。文
章内容によっては強調なしで平らにすんなりと音声表現する場合も多くあり
ます。強調するにしても、どの程度の強弱か、強くか、軽くか、いろいろあ
ります。

 「非常に」「大変」「全然」「とっても」「ぜひ」「はなはだ」「確か
に」「ずいぶん」「まさか」「すっかり」「なぜ」などの副詞は、その語彙
的意味からいっても、強い強調の音声表現になる場合が多いと言えましょう。

 副詞には、程度副詞、状態副詞、陳述副詞があります。以下に、これらを
強調する練習問題を出しています。

 では、実際に声に出して、副詞を強調する音声表現の練習をしていきまし
ょう。文末に係っていくように読みましょう。
(副詞を赤字にしています。赤字の文字だけを強調するのでなく、文章内容
にそって他の個所も強調表現になったりもします。さまざまに工夫しながら
音声表現していきましょう。)



        
程度副詞の音声練習


(練習文1)そんな言い方はないだろう。
ずいぶんな言い方だな。

(練習文2)久しぶりに来たんだから、
ゆっくりしていきなさいよ。

(練習文3)
たいへん失礼なことを言いまして、本当にすみません。

(練習文4)
ずっと昔のことでしょ。覚えていません。忘れました。

(練習文5)残暑も終わって、
めっきり涼しくなりましたね。

(練習文6)君にしては、これは
なかなかのできです。

(練習文7)病状は、
きわめて悪いです。助からないかもしれません。

(練習文8)遊びが終わったら、
さっさとおもちゃをかたづけなさいよ。

(練習文9)ご注文いただいた品物は、
さっそくお家へお届けいたします。

(練習文10)このチョコレートは、女性たちに
すこぶる人気があります。

(練習文11)よしお君は、
まさかそんなことはしないでしょう。

(練習文12)長いかみの毛を切ったので、
すっきりとしました。



        
状態副詞の音声練習


(練習文1)つくえの中は、
さっぱりと片付いた。がらくた物は、すっかり
      なくなりました。

(練習文2)こんなよいアイデアが浮かぶとは、君は
さすがにちえがあるね。

(練習文3)これはテストに出るから、
しっかりと覚えておきましょう。

(練習文4)先生は、きのう、
たしかにそう言いました。

(練習文5)いよいよ本番の日が来た。
いよいよ試合開始だ。

(練習文6)今日は八十五歳の誕生日だ。
しみじみと自分の顔を鏡に映して
      眺めましたよ。

(練習文7)ひさしぶりに来たんだから、
ゆっくりとしていきなさいよ。

(練習文8)いま、仕事がたてこんでいますので、
しばらくお待ちください。

(練習文9)東京スカイツリーの記念切手は、
たちまち売り切れました。

(練習文10)いくらずうずうしいぼくでも、
さすがにそれは言い出せなか
       った。

(練習文11)あの時はどうなるかと、
はらはらしながら見ていました。

(練習文12)しばらくたつと、富士山が
はっきりと見えてきた。

(練習文13)つばきの花が、
ぽたりと落ちた。風がぴゅうぴゅうふいて、
       ドアを
ドンドンたたく。

(擬音語、擬態語は状態の副詞です。文章内容によって強調になったり、な
らなかったりします。擬音語、擬態語の音声表現については本章「オノマト
ペ」の節にくわしく書いています。)



        
陳述副詞の音声練習


 陳述副詞は、述語部分に対して一定の決まった言い方を要求しています。
これを「陳述副詞の呼応」と言います。

 「決して」は、文末の「な」(禁止)、「ない。ません」(打ち消し)と
結びつきます。その他の言葉とは結びつきません。下へと係っていく述語部
分の言葉が一定しています。

 「たぶん」は、文末「だろう。でしょう」と結びつきます。その他の言葉
とは結びつきません。

 これらのことを「陳述副詞の呼応」と言います。上部にある陳述副詞の音
声表現は、語り手主観の強い判断態度がこめられていますから、強調の音声
表現になることが多いです。「陳述副詞の呼応」ですから、陳述副詞と、そ
れを受ける述語用言とは、ひとつながりになるように、係っていくように読
んでいくことが大切です。

 下記の上部が陳述副詞、下部がそれを受ける述語用言です。次のような
「陳述副詞の呼応」があります。

決して………………な。ない。ません。(禁止)

もちろん、きっと…………だ。ます。です。(断定)

ぜんぜん、あまり、めったに、とても…………ない。ません。(打ち消し)

たぶん、おそらく…………だろう。でしょう。(推量)

まさか、おそらく…………ないだろう。ないでしょう。(打ち消し推量)

どうか、ぜひ…………ください。(たのみ、めいれい)

まるで、ちょうど…………ようだ。みたいだ。(たとえ、くらべ)

どうして、なぜ…………か。の。(疑問)

もし、かりに、たとえ…………ば、なら、たら、ても…………だ。です。で
                       ある。だろう。(仮定)

 陳述副詞の音声表現で気をつけることは、陳述副詞と、それを受ける述語
用言とのあいだがかなり離れている文もあるということです。上記「陳述副
詞の呼応」表にある………個所がかなり長く離れてる文もあるということで
す。………個所が離れていると、陳述副詞が述語用言までつながっていく
(係っていく)ように読み進めていくことがむずかしくなります。途中で切
れた言い方になってしまいます。陳述副詞と用言とのあいだは、ひとつなが
りになるように、思いを切らさないで読み進めていくことがとても大切です。
 途中で切れてしまった読み方にならないよう気をつけましょう。………個
所が離れている場合は、途中でほんの軽い間をあけてもよいですが、用言ま
でひとつながりを求める意識(息づかい)で音声表現していくようにします。



      
陳述副詞の音声練習(その1)


では、実際に声に出して陳述副詞を強調する練習をしていきましょう。

(練習文1)
どうして、カブトガニは二億年ものむかしから、ほとんど形を
      変えることもなく生きつづけることができたのだろう


(練習文2)
      
どうしたら、古代の人々に負けないものをつくれるの。一流
      の職人たちが日本中から総動員された。

(練習文3)
もちろん、さむい冬がすぎると、白鳥は北の空をさして、いっ
      ぺんに飛び立っていき
ます

(練習文4)そして、規模が小さいうえ、歴史も浅い遺跡であることから、
      
はたして世界の国々によって認められるだろうと思ったから
      であった。しかし、心配は無用だった。

(練習文5)「
なぜ、アメリカ空軍は、京都や奈良をばくげきしなかったの
      
。」
      敗戦後、日本国民の間で、ずっとこのことが疑問とされてい 
      た。

(練習文6)けさはくもり空だが、
たぶん、花火の音が秋空高くパンパンひ
      びいて運動会気分がもりあがり、学校の運動場には子どもたち
      の歓声がわきあがる
だろう

(練習文7)
もし、もともと一つの大陸であったのなら、大昔の古い地層は、
      両方の大陸でつながっているはず
である

(練習文8)
      二人で話し合った結果、まず、
なぜ富士山の噴火に備えた訓練
      がこれまでなかったの
なぜ訓練をすることになったの
      この二つの疑問を中心に取材をしようと決めた。

(練習文9)
かりに、マンホールのふたがまる形でなく、星形のような複雑
      な形をしてい
たら、工事などで重いふたを外し、再びもとにも
      どすとき、たいへんにやっかいなことだろう。

(練習文10)今、戦争はずっと遠くでしているので、
たとえ耳をすまし
       
、空をながめても、鉄砲の音も聞こえなければ、黒いけむ
       りの
かげすらも見られませんでした



      
陳述副詞の音声練習(その2)


(練習文1)
どうして、大きなくまが、短い赤いぼうしをかぶり、エプロン
      をかけて、うれしそうな声でウーウーと言った
、そのわけを
      考えてごらん。

(練習文2)ある日、わたしは、ふと、あのナカリアが、
なぜあのように、
       いつも元気でいる人々を喜ばせることができるのだろう

       と考えました。

(練習文3)あのことを、君は
まさか山田君にしゃべったんじゃないだろう
      ね。

(練習文4)
もし、みどりさんが来たら、このことをぜひ伝えてください

(練習文5)やってみたけど、
ぜんぜんわたしの手にはおえませんでした。

(練習文6)
たとえ反対されても、わたしはぜったいに押しとおします

(練習文7)君にはぴったりの役です。
ぜひ、引き受けてください。

(練習文8)天候不順で、野菜の値上がりは、
おそらく当分はつづくだろう

(練習文9)
      
はたして、あのときの兵隊さんが生きていらっしゃるどう
      また、
たとえお元気であっても、あのときのことなど、覚えて
      いて、返事をくださる
どう、それほど当てにもしていなか
      ったぐらいです。でも、どうしても、あのときの、赤んぼうを
      だいてかけていらっしゃった兵隊さんのことを思うと、だまっ
      ていられなくて、放送局にお願いしたのでした。

(練習文10)ぼくは、
まるで、顔の分からない、いく人もの人たちがスク
       ラムを組んで、じっとぼくを見張っている
ような、そんな気
       味わるさを感じました。


(練習文11)山頂から見下ろすと、雲は
まるでたばこのけむりのように
       えました。そして、それまでかかっていたきりが、
ちょうど
       見えないカーテンを引いた
ように、さあっと晴れると、まわ
       りの山々が次々とあらわれてきました。その様子が、
まるで
       山が一人ずつ自己紹介している
ように見えました。わたしは
       順番に山の一つ一つに手をふてあいさつをしました。

(練習文12)
      指でこしらえた、小さな窓の中には、白いきつねの姿が見える
      のでした。それは、
ちょうど窓の中に、一枚のきつねの絵が、
      ぴたりとはめこまれた
ような感じなのです。

      <「まるで、ちょうど……ような、ようだ、みたいな、みたい
       だ」については、本章の「連用修飾語」の項目にある「比 
       喩」でくわしく書いています。そちらを参照しましょう。>

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