命題論理と音声表現         2012・08・18記
接続助詞の音声表現
主部にある形式名詞「の」





          
接続助詞




 接続助詞は、主として用言や助動詞について文節をつくり、下の用言ま
たは用言に準ずるものにつづく助詞です。文がまだ終わらず、次の語句に
続いていくことを示し、どんな意味内容で続いていくかを表す働きをしてい
ます。接続詞と違うところは、接続詞は自立語であり、接続助詞は付属語で
す。
 接続助詞には、次のようなものがあります。

1、逆接的な関係を示すもの(でも、ても、けれど、けれども、のに、だが、
              が、ながら)
2、順接的な関係を示すもの(から、ので、て、と、ば)、
3、並列的な関係を示すもの(たり、ながら、し)

 接続助詞の音声表現のしかたは、接続詞と似ていていますが、前後の文章
の意味内容(文脈)によって転調(強調)の音声表現になったり、ならなか
ったりします。



   
(A)逆説的な関係を示す接続助詞



 逆接の接続助詞(でも、けれども、のに、だが、が等)は、意味内容が
逆に(くいちがって、反対に)接続しているので、これまで書いてきた内容
とは違いますよ、と予告をして、強調して目立たせた音声表現になることが
多いです。強調とか目立たせてとかいっても、接続助詞を声高く強く力んで
読むということではなく、接続助詞を読んだ直後で軽く間をあけて、その接
続助詞を目立たせる音声表現にするということです。軽く間をあけることで
逆につながっていることを目立たせる、強調するという方法なわけです。

 では、実際に声に出して、強調する音声表現の練習をしていきましょう。
文章内容によっては、接続助詞だけでなく、他の文章個所も強調した読み方
になる場合もあります。同じ文でも、いろいろな読み方ができます。工夫し
ながら練習をしていきましょう。

(練習文1)川は、いつもは水が少ないのです
、三日もの雨で、水がどっ
      とましていました。

ヒント(「少ないのですが」のあとで軽く間をあけ、そして「三日もの雨 
     で」と読み進めていく。)

(練習文2)これは鉄棒のとても難しいわざだ
、失敗をおそれてはいけな
      い。

ヒント(「わざだが」のあとで軽く間をあけ、それから「失敗を」と読み進
     めていく。)

(練習文3)あの人は、いつもにこにこして人づきあいはよい
、本当の心
      はオニです。

ヒント(「よいが」のあとで軽く間をあけ、そして「本当は」と読み進めて
     いく。「心はオニ」も強調される。)

(練習文4)ほらあなの近くのはんの木の下でふり返ってみました
、兵十
      は追っかけてはきませんでした。  新美南吉「ごんぎつね」

ヒント(「みましたが」のあとで間をあける。それから「兵十は」と読み進
     めていく。こうすると、はんの木の下まで来て、ごんがほっとし
     て後ろを振り返った、暫時の時間の経過を入れることになる。)

(練習文5)ぼくが「よしなさい。」といくら止めた
けれども、かれはぼく
      の言うことを聞き入れてくれません。

ヒント(「けれども」のあとで間をあけ、それから「かれはぼくの」と読み
     進めていく。)

(練習文6)どんなに大きな声を出して呼ん
でも、向こう岸の彼には届かな
      いよ。

ヒント(「呼んでも」のあとで軽く間をあけ、それから「向こう岸の」と読
     み進めていく。)

(練習文7)本当はもっとたくさんの友達と遊んだり、話したりしたい
のに
      自分から進んで友だちの輪の中へ入れなくて困っています。

ヒント(「遊んだり、話したり」は、ひとつながりにして読み、そのあと軽
     く間をあけ、そして「自分から進んで」と読み進めていく。)



【練習問題】……次の練習文を実際に声に出して読んでみましょう。


(練習文1)川は、いつもは水が少ないのです
、三日もの雨で、水がどっ
とましていました。           新美南吉「ごんぎつね」

(練習文2)君は人によくご馳走する
けれど、ほんとはだれも喜んではいな
      いよ。

(練習文3)新聞、雑誌、テレビなど、わたしたちに情報を伝えてくれるも
      のをメディアという
、今、わたしたちの周りには、メディア
      を通して送られてくる情報があふれている。

(練習文4)おばあさんは、千枝子をたいくつがらせまいとして、いろんな
      昔話などをしてくれるのです
、そんなときに聞く昔話は、ち
      っともおもしろくありません。おばあさんの話は、たいてい千
      枝子の知っている話ばかりです。

(練習文5)
      ガンとかカモとかいう鳥は、鳥類の中で、あまりりこうなほう
      ではないといわれています
、どうしてなかなか、あの小さい
      頭の中に、たいしたちえをもっているものだなとということを、
      今さらのように感じたのでありました。
                   椋鳩十「大造じいさんとガン」

(練習文6)
      かぜぎみの田中正造は、東京の旅館で横になっていた
、続け
      ざまに入る電報を見て、人力車をやとい、夜道もかまわず走ら
      せ、翌朝のしらしら明けるころ、淵江村に着いた。
(練習文7)
     「谷中村をとりつぶしたところで、足尾銅山に完全な設備をしな
      いかぎり、鉱毒事件は終わらない。」と、田中正造は、東京や
      被害地を駆け回り、裁判を起こしたりして、谷中村の立て直し
      をはかろうとしたが、思うに任せなかった。

答え(一つの読み方です。以下と違ってもよい)

(練習文1)「少ないのです
(間)三日もの雨で」
(練習文2)「ご馳走する
けれど(間)ほんとはだれも」
(練習文3)「メディアという
(間)今、わたしたちの周り」
(練習文4)「くれるのです
(間)そんなときに聞く」
(練習文5)「いわれています
(間)どうしてなかなか」
(練習文6)「横になっていた
(間)続けざまに入る」
(練習文7)「はかろうとした
(間)思うに任せなかった」



   
(B)順接的な関係を示す接続助詞



 順接の接続助詞(ば、と、ので、から等)は、逆接の接続詞に比べて強
調や目立たせの読み方になることは少ないと言えます。意味内容のつながり
が自然な受けつぎ方になっているからです。しかし、いつも平らにすんなり
とつながるように音声表現していいかと言えば、必ずしもそうとは限りませ
ん。文章内容によって変わってきますので、全体の意味内容のつながり方を
考えて音声表現していくようにします。

 順接の確定条件
  順接の確定条件を示す「から、ので」は、「Aだから、B」「Aなので、
B」というA部分の原因、理由を相手に明示して伝達する意図が強い場合に
は、「から、ので」を強調する音声表現になります。


【練習問題】……次の接続助詞(赤字)を「すんなりと平らに」と
       「強調して目立たせて」と両方をやってみましょう。


(練習文1)雨がふった
ので、遠足は中止になりました。

(練習文2)行こう
行くまい、わたしの勝手です。

(練習文3)西の空が赤い
から、きっとあしたはよい天気になります。

(練習文4)瑞枝のお父さんは千枝子のお父さんの弟です
から、おばあさん
      にとっては、二人とも孫に当たるわけです。

(練習文5)横山さんは、パラシュートを作って遊んだのがとても楽しかっ
      た
ので、これを作文に書きました。

(練習文6)友だちと遊ぶ約束をしていた
ので、ぼくは家に帰ってすぐに宿
      題をすませました。

(練習文7)おじいさんが寝ようとしている
、だれかが入口の戸をトント
      ンとたたきました。

(練習文8)ホタルがたくさんいた川べりにマンションが建った
ので、急に
      ホタルの姿が見かけなくなりました。

(練習文9)うら返しになっているねだんの札を、あかぎれの指でそっとめ
      くってみる
、思ったとおり、とてもとても、おみつさんおこ
      づかいでは買えるねだんではありませんでした。


 順接の仮定条件
  順接の仮定条件を示す「ば、と」も、「Aならば、B」「Aだとすると、
B」というA部分の仮定条件を相手に明示して伝達する意図が強い場合には
「ば、と」を強調する音声表現になります。


【練習問題】……次の接続助詞(赤字)を「すんなりと平らに」と
       「強調して目立たせて」と両方をやってみましょう。


(練習文1)大急ぎで、かけて行け
、きっとバスに乗れますよ。

(練習文2)あす、雨がふれ
、楽しみにしていた遠足は中止です。

(練習文3)もし、おかあさんが承知してくれれ
、すぐにも行けるんだが
      なあ。

(練習文4)早く行かない
、バスの時間に間に合わないよ。

(練習文5)あなたが行きたけれ
、つれていってあげましょう。

(練習文6)朝は五時に起きる
、夜はいつも九時には寝ることにしてい
      ます。

(練習文7)みんなが賛成する
なら、ぼくはその案でいいよ。

(練習文8)そんなに美しい場所なら
、ぜひ見に行きたいです。

(練習文9)風がふけ
、波が立つ。波が立つ、海があれる。



   
(C)並列的な関係を示す接続助詞



 並列な関係を示す接続助詞の代表は「……たり、……たり」と「……し、
……し」です。ならべ部分を強調する場合には「たり」「し」に音声的力点
をおいて読むようになります。
 次の練習文の「……たり、……たり、」の「たり」、「……し、……し」
の「し」をやや強めに読んで並べている感じを出して読んでみよう。「……
たり、……たり、」部分をひとまとまり、「……し、……し」部分をひとま
とまりに、ひとくくりにして読むと、ならべている感じの読み方になります。
文章の意味内容によっては、強調表現にならない場合もたくさんあります。
すんなり平らに読む場合もたくさんあります。


【練習問題】……次の接続助詞「たり」「し」を声に出して読んでみま
        しょう。 
       「すんなりと平らに」と「強調して目立たせて」と両方
        をやってみましょう。


(練習文1)食べ
たり、飲んだり、歌ったり、おしゃべりしたり、とても楽
      しいパーティーでした。


(練習文2)起きるのは遅い
、食べるのも遅い、時間割は揃えてない
      まったく困った弟だ。

(練習文3)とん
だり、はねたり、おどったり、まったく元気いっぱいな子
      どもたちですね。

(練習文4)勉強はしない
、お手伝いはしない、遊んでばかりいる
      まったく困った子どもです。

(練習文5)景色はいい
、ごちそうはおいしい、のんびりとできる
      すばらしいところです。

(練習文6)山へ行っ
たり、海へ行って泳いだり、ひるねをしたり、本を読
      ん
だり、今年はほんとにいい夏休みでした。

(練習文7)ピノキオは、おどりをおどっ
たり、歌をうたったり、楽器をえ
      んそうし
たり、みんなを楽しませました。

(練習文8)そこには、とてもかわいらしいカナリヤがいるので、そこを通
      るとき、わたしは、よく立ち止まっ
たり、ゆっくり通ったり、
      のぞきこん
だりします。カナリヤは、きれいな声で鳴いてい
      
、小さいかごの中でバタバタとはばたいたりしています。



     
(D)接続助詞「が」の強さ



 次の練習文は、かなり長い一文になっています。一文の中にいろいろな種
類の接続助詞が二つ、三つとまざって入っています。一文の中にいろいろな
種類の接続助詞が入っていた場合、音声表現するときは、まず最初に、その
一文を、大きく二つに区切る個所をさがします。大きく二つに区切って読む
のがよいのです。

 次の例文を、大きく二つに区切って読むとしたら、どの個所で区切るとよ
いですか。意味内容から大きく二つに区切る個所をさがしてみましょう。

(例文1)
いちばんしまいに、太いうなぎをつかみにかかりました
、なにしろぬるぬ
るとすべりぬける
ので、手ではつかめません。 新美南吉「ごんぎつね」

(例文2)
しかは、しばらく物音に耳をすましていました
が、やがて、それがけものの
うめき声にちがいないことを確かめる
、飛ぶようにがけをかけ下りていっ
た。

(例文3)
入院患者の中でも、病気のあまり重くない人は、適当な運動をしたほうがよ
ので、体の調子に合わせて軽い仕事をしているのだ、畑仕事もその一つ
でした。

(例文4)
大造じいさんは、このぬま地をかり場にしていました
、いつごろからか、
この残雪が来るようになっ
たら、一羽のがんも手に入れることができなくな
った
ので、いまいましく思っていました。

(例文5)
軍隊では、下級の兵隊がいつも、いやな仕事、つらい仕事のすべてを受け持
つことがきまりになっていた
から、隊長の命令はけっしてむちゃなことだと
も横暴なことだとも思わなかった
、隊長はなぜそんなばかげたことばかり
命令するのか
、わたしは、今井隊長の理不尽な命令を憎んだ。


【区切り方で分かったこと】

 大きく二つに区切る個所をさがしましたか。一文の中に接続助詞(赤字)
が二つ、三つとあった場合、大きく二つに区切る個所は、接続助詞「が」の
ところであることに気づいたことでしょう。

 いろいろな接続助詞がまざって入っていた場合、大きく二つに区切って読
むとしたら、やはり「が」のところで区切ることに気づいたでしょう。この
ように音声表現してみて分かってくることは、逆接の接続助詞「が」のとこ
ろで大きく二つに区切って読んだほうがよいことに気づきます。

 これから長い一文を声に出して読む場合は、「が」があるかないかを調べ
て、「が」があったらば、先ずそこで区切って読むようにしましょう。
「が」がない場合は、ほかの接続詞の個所をさがします。長い一文は、区切
って読むことが大切です。そうすると、相手に分かりやすく伝わる読み方に
なります。
 もし、二つに区切っただけでは長すぎて読みにくい場合には、もう一個所
を見つけて、全体を三つに区切って読んでみましょう。あまり小さく、あち
こちで区切って読むと、文全体の意味内容のつながりが分からなくなります。
大きなひとつながりを大切にしながら区切って読むようにしましょう。



     
(E)接続助詞の混合例文



 次の練習文には、いろいろな接続助詞がまざって入っています。接続助詞
(赤字)の個所は、どんな読みぶりにして読んでいけばよいでしょうか。ま
ず大きく二つに区切るところはどこですか。
 次の練習文を実際に声に出して読んでみましょう。自分で納得できるよう
に読んでみましょう。

(練習文1)それは、寒い時にこたつの中などで聞く
、何度聞いてもおも
      しろいのです
、ひきうすを回している時は、ちっともおもし
      ろく思えませんでした。

(練習文2)
      アメンボは水面の昆虫として生きているのです
、人間がせん
      ざいや石鹸などを流しこんでよごしたりする
、大変なことに
      なります。

(練習文3)
     トッコの家は東京です
、お母さんが病気になってので、この山
     のおばあちゃんの家にあずけられたのです。

(練習文4)
     オオアリもチンパンジーの大こう物です
、木のみきに作られた
     すのあなはせまくて深い
ので、手や指ではオオアリをつかまえる
     ことはできません。


(練習文5)おみつさんは、さっそく、毎晩、家の仕事をすませて
から、わ
      らぐつを作り始めました。お父さんの作るのを見ている
、た
      やすくできるようです
、自分でやってみる、なかなか思う
      ようにはいきません。

(練習文6)マサエは夕方まで、スキーをしていました。今日は一度しか転
      ばなかった
ので、スキーぐつもズボンも、そんなにぬれないつ
      もりでした
、帰って見てみたら、やっぱりいつものようにぐ
      っしょりになっていました。

(練習文7)本当はもっとたくさんのお友達と遊んだり話したりしたい
 
     
、私は上手なつきあい方が分からないので、いつもひとりぽっ
     ちです。

(練習文8)ガンは、昨日の失敗にこり
、えをすぐには飲みこまない
      まず、くちばしの先にくわえ
、ぐうと引っぱってみてから
      いじょう無しと認める
、初めて飲みこんだらしいのです。 
                    椋鳩十「大造じいさんとガン」

(練習文9)じいさんは、長年の経験で、ガンは、いちばん最初に飛び立っ
      たものの後について飛ぶ、ということを知っていたので、この
      ガンを手に入れたときから、ひとつ、これをおとりに使って、
      残雪の仲間をとらえてやろうと、考えていたのでした。   
                    椋鳩十「大造じいさんとガン」

(練習文10)木のえだえだの細かいところにまで、みんな灯がともって、
       木が明るくぼうっとかがやいて、まるでそれは、ゆめみてえ
       にきれいなんだそうだが、そして、豆太は、「昼間だったら、
       見てえなぁ───。」と、そっと思ったんだが、ぶるぶる、
       夜なんて考えただけでも、おしっこをもらしちまいそうだ
       ───。          斎藤隆介「モチモチの木」



            
参考資料


 逆接の接続語について修辞学的観点からは、次のようなことが言えるよう
です。香西秀信、中村敦雄、柳沢浩哉『レトリックの探究法』朝倉書店、20
04からの引用です。議論文などにおける逆接・順接の使い方には警戒が必要
だということを教えてくれています。

ーーーー引用開始ーーーー

 「K君は人柄はいいが思想的には右寄りだ」という文において、「人柄が
いい」と「思想的に右寄りだ」という二つの情報は、どうして逆接の「が」
でむすばれているのだろうか。なぜ、「K君は人柄がよく、しかも、思想的
に右寄りだ」ではないのか。つまり、この文は、K君についての客観的な情
報を与えるものでは決してなく、語り手がその情報を自らの価値観にしたが
って整理しなおしたものである。K君が、この二つの情報を逆接の関係で保
持しているわけではない。だから、ここで表現されているのはK君の思想で
はなく、むしろ語り手の思想であると言うことができる。こうしたことから、
あるテクストが「事実」をどのような接続語で連結させているかを観察する
ことで、そのい語り手の価値観を剔決することが可能となる。

ーーーー引用終了ーーーー





  
主部にある形式名詞「の」



    
主部にある形式名詞「の」の音声表現


主部にある形式名詞「の」のついた文とは、次のような文です。

(例文1)ここでいちばん目立つのは、山田君の絵です。

(例文2)ニュース取材でもっとも大切なのは、正確さです。

(例文3)山くずれや水害から平野を守ってくれているのは、うっそうとし
     げっている森林です。

(例文1)の形式名詞は、「目立つのは」の「の」です。
 「(……のは)、(……です。……だ)」の文において、「(……の
は)」個所は、この文の主部に位置しています。「ここでいちばん目立つ」
に「の」がくっついて「ここでいちばん目立つの」と名詞化しています。さ
らに「は」がくっついて「目立つのは」となって、この文の主部を形作って
います。「の」でひとくくりにして「ここでいちばん目立つのは」と文の主
部を構成しています。「の」は、形式名詞と呼ばれて、実質的な意味はあり
ません。ここでは動詞「目立つ」の連体形に、形式名詞「の」が接続してい
ます。

(例文2)の形式名詞は、「大切なのは」の「の」です。
 「(……のは)、(……です。……だ)」の文に置いて、「(……の
は)」個所は、この文の主部に位置しています。「ニュース取材でもっとも
大切な」に「の」がくっついて「ニュース取材でもっとも大切なの」と名詞
化しています。さらに「は」がくっついて「もっとも大切なのは」となって、
この文の主部を形作っています。「の」でひとくくりにして「ニュース取材
でもっとも大切なのは」という文の主部になっています。ここでは、形容動
詞「大切」の連体形「大切な」に、形式名詞「の」が接続しています。

(例文3)の形式名詞は、「守ってくれているのは」の「の」です。
 「山くずれや水害から平野を守ってくれている」に「の」がくっついて
「山くずれや水害から平野を守ってくれているの」と名詞化しています。
「平野を守ってくれているのは」となって、この文の主部を形作っています。
「の」でひとくくりにして「山くずれや水害から平野を守ってくれているの
は」と文の主部を構成しています。用言「守ってくれている」と連体形に、
形式名詞「の」が接続しています。

 「の」には形式的意味しかありません。実質的な意味はひとつながりの文
の方にあります。「の」の前部にあるひとつながりの文とくっついて、はじ
めて実質的な意味内容がはっきりします。このように「の」は抽象性の高い
中味の薄い性質をもっています。

 主部にある形式名詞「の」は、「(コレコレするのは、コレコレナのは)、
(コウだ)」と主題化する働きをしています。「コレコレ」に「の」をくっ
つけて「コレコレ(スル・ナ)のは」と、ひとくくりにして「コウだ」とい
う語り方になっています。
  ひとまとまりにして「……のは、……だ」と、「のは」以前を取り出し
て、取立てて語っています。ですから、音声表現では、「のは」個所にやや
音声的力点をおいて読むと、分かりやすい読み方になります。また「のは」
の後で軽く間をあけて読むと、取り出して強調して(区分けして)いること
が聞き手によく伝わる音声表現になります。「のは」の後でひと呼吸を置い
て、ほんの軽く間をあけ、それから「どうする」「どうだ」「なんだ」へと
読み下していくようにするとよいでしょう。


 
では、実際に声に出して、次の赤字個所を強調する音声表現の練習を
してみましょう。


 強調するのは赤字部分だけでなく、文章内容によっては他の個所も強調さ
れることがあります。
 強調するとは、「のは」を、強く力んで読むことではありません。前述し
た読み方で声に出してみましょう。「のは」を、ほんのちょっぴりだけ強め
にするぐらいでよいかもしれません。
 「のは」の前はひとつながりに読み、「のは」に係るように読んでいきま
しょう。

 
赤色の「のは」個所をほんのちょっぴり強めに読み、青色の□個所を、ほ
んの軽く間をあけて、それから、次へと読み下していくようにしましょう。


(練習文1)大きな目を、ぐるぐる回しながら、両手をさしだした
のは
      あの日のフクイリュウ君だった。

(練習文2)近ごろ注目されるようになってきた
のは□、動物たちが人間を
      元気にする力を持っているということです。ペットがその一つ
      でしょう。

(練習文3)これほど多くのまんが本が発行され、読まれている
のは、ま
      んがが、理くつぬきにおもしろいからでしょう。

(練習文4)人間のつくったもので、千年以上先までそのままの形で残って
      いるものを見つける
のは、きわめてむずかしいにちがいない。

(練習文5)おぼんにはお団子を作ったり、うどんを打ったりする
のが
      いなかの習わしです。

(練習文6)うちの中を見ると、土間にくりが固めて置いてある
のが□、
      につきました。

(練習文7)いい仕事って
のは、見かけで決まるもんじゃない。使う人の
      身になって、使いやすく、じょうぶで長もちするように作る

      
、ほんとのいい仕事ってもんだ。

(練習文8)貧しい人や、病気の人、弱っている人たちに向かって、死んで
      いく最後の最後まで、手を差しのべる
のが、どんなにその人
      を幸せにするかしれないのです。
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