命題論理と音声表現          2012・10・4記
接続詞の音声表現





       
 接続詞




 接続詞は、文と文との中間に位置しています。前文と後文との間にあって、
両者を結びつけている働きをしています。
  学校文法では、接続語は文の成分としては独立語として扱われておりま
すが、独立語でないとする文法学説もあります。松下文法では一品詞としな
いで副詞に含め、山田文法では副詞の一類として接続副詞としており、芳賀
やすしは承前副詞としています。時枝文法では「辞」として扱っています。
つまり、接続詞は前文を受けて、後文の文末まで係っていく副詞のような働
きをしているということです。つまり、接続詞は、中立的に結びつけている
働きをしているというわけではありません。

 接続詞の種類分けはいろいろありますが、ここでは次のように分けるこ
とにします。

逆接の接続詞(だが、しかし、しかも、でも、けれども、ところが、一方、
       とはいっても、それなのに)

転換の接続詞(ところで、さて、次に、では、ときに、でも)

対比の接続語(それに対して、一方は・他方は、それとも)

理由の接続詞(なぜなら、なぜならば、だから、なんとなれば、ただし、そ
       れで、すると)、

選択の接続詞(それとも、あるいは、または、というより)

順接の接続詞(また、それに、それで、すると、そして、そうして、こうし
       て、すると)

まとめの接続詞(このように、ようするに、つまり、したがって)

 接続詞には前文の内容を後文へと持ち込んで、どんな関係になっている
かを示す副詞的な役割があるということは否定できません。前文を受けて後
文を誘導している副詞と似た働きをしています。後文への修飾語的性格を持
っています。
 接続語は前文から後文へと、そのまま受けつぐか、方向を異にするかを明
らかにしています。接続詞の音声表現では、後文の文末表現へとどのように
係っていっているかを知っておくことがとても大切です。

 接続詞は、後文がどんな内容かを切り出して予告している言葉でもありま
す。接続詞を音声表現するときは、後文がどんな意味内容であるか、どのよ
うに係っているかを頭の中に入れておき、後文の文末表現まで文章内容が一
貫してつながっていくように読み下していくこと重要となります。

 一般的に逆接の接続詞、転換の接続詞、対比の接続語、理由の接続詞、選
択の接続詞、まとめの接続詞などは、強調して目立たせた音声表現になりま
す。
 これに対して順接の接続詞は、目立たせは少ないと言えます。逆接の接
続詞と比べて、平らに、すんなりとつながっていく音声表現になります。た
だし、文章内容(文脈)によっては順接の接続詞も強調した音声表現になる
こともあります。

 文章の中に接続詞が出てくると、いつも強調した音声表現になるというこ
とではありません。文章内容(文脈)によっては強調音声にならないものも
たくさんあります。文章の中味をよく読んで必要な個所には強調音声を使う
ようにします。

例文で説明しましょう。
(例文1)行きますか。それとも、行くのをやめますか。
(例文2)雨がふりだしました。だから、きょうの遠足は中止です。

(例文1)では、「それとも」はどちらかを選択している言葉です。どんな
     場面で、語り手が聞き手にどんな意図で質問しているかによって
     「それとも」の言いぶり、強弱表現が違ってきます。「それと 
     も」は「やめますか。」の文末まで思いがつながっていくように
     音声表現していきます。
(例文2)では、中止の理由を強調して語っている場合は、「だから」を強
     めた言い方になるでしょう。ただの報告として語っている時は、
     平らに盛り上がりなしの言い方になるでしょう。どちらでも、 
     「だから」は「中止です。」まで思いがつながっていくように音
     声表現していきます。



     
「逆接の接続詞」の表現よみ練習



 「逆接の接続詞」は、前文と後文では意味内容がくいちがってつながって
います。ですから、通常は転調(強調)した音声表現になって、後文の文末
へ係っていくようになります。転調(強調)とは、前文の読み調子を転換さ
せた、文意を逆転させた新しい起こしの音調の出だしで読みだすことです。
しかし、文章内容(文脈)によってはそうならない場合もあります。すんな
りと平らな読み方になる場合もあります。

 次の練習文を、両方(「転調、強調」と「すんなり平らに」)の音声表現
でやってみましょう。

(練習文1)玄関で声がした。
ところが、出て見ると、だれもいません。

(練習文2)成績が下がりました。
しかし、私はがっかりしていません。

(練習文3)ぼくは何もしていません。
それなのに、君はぼくの足をけった
      でしょ。

(練習文4)あなたの言い分は分かりました。
けれども、わたしはあなたの
      考えとはちがいます。

(練習文5)原爆ドームを保存するか、
それとも、取りこわしてしまうか、
      戦後間もない広島では議論が続いた。

(練習文6)森では小鳥がたくさん鳴いています。
でも、おじいさんはさび
      しくて、死んでしまいたいと思いました。

(練習文7)
だが、同じものでも、見方を変えるだけで、別の一面を見せて
      くれます。

(練習文8)青木君は、からだは小さい。
しかし、気は強くで、負けてはい
      ない。

(練習文9)
しかし、戦争がだんだん激しくなるにつれ、町に住んでいる者
      は、安心して子供を学校に上げてはいられなくなった。

(練習文10)屋根を支えていた垂木が、屋根の重みで少したれ下がってい
      たのです。
ところが、かわらや土を取りのぞいてみると、どう
      でしょう。曲がっていた垂木は、ぴんと、また、元の姿にもど
      ったではありませんか。まるで、新しい木と変わらないわかわ
      かしさでした。

(練習文11)目の前に、大きくて強そうな茶色のうさぎがいました。小さ
      な犬は、うさぎに向かってほえました。
       
ところが、うさぎは逃げません。長い耳を左右にふったり、
      やわらかい鼻をひくひくさせたりしながら、じっとすわってい
      ました。
       小さな犬は、せいいっぱい大きな声を出して、ウオーウオー
      とほえたてました。
それでも、うさぎは逃げません。



     
「転換の接続詞」の表現よみ練習



 「転換の接続詞」は、通常は転調(強調)した音声表現になる場合が多い
です。。転調(強調)とは、明るく話題換えした新しい起こしの言いぶりの
出だしで読みだすことです。しかし、そうならない場合も多くあります。前
後の文章内容(文脈)によって違ってきます。
 次の練習文を両方(「強い話題変え」と「弱い話題変え」)の音声表現で
やってみましょう。

(練習文1)横道の話ばかりしちゃいました。
さて、本題の話に入りましょ
      う。

(練習文2)
さて、山本君、こんどは、あなたの番ですよ。

(練習文3)きょうは大変に楽しい時間をすごせました。
では、三週間後に
      また会いましょう。

(練習文4)
では、さっそく学級会を始めましょう。きょうの司会は、山田
      さんでしたね。

(練習文5)お元気そうでなによりです。
ときに、今日はお願いがあって伺
      いました。

(練習文6)
ときに、わたしは、人の名前を忘れてしまうことがあり、思い
      出せなくて、困ってしまいます。

(練習文7)ところで、君は、何才でしたっけ。

(練習文8)昨日はお宅におじゃまをして大変にご迷惑をおかけしました。
      
ところで、例の件はどうなりましたか。

(練習文9)
ところで、みなさんは、動物のミルクがミラクル(ふしぎなこ
      と)を起こして、さまざまな物に変身することを知っています
      か。バター、ヨーグルト、チーズなどに変身することを知って
      いますか。



    
「選択の接続詞」の表現よみ練習



 「選択の接続詞」は、転調(強調)した音声表現になるのが多いと言えま
す。。転調(強調)とは、選択の接続詞の出だしを強めて読み出すことです。
しかし、文章内容(文脈)によってはそうならない場合もあります。
 次の練習文を、両方(「強めに」と「平らに」)でやってみましょう。

(練習文1)ラーメンにしますか、
それとも、チャーハンにしますか。

(練習文2)野球が好きですか。
それとも、サッカーが好きですか。

(練習文3)ぼくが行こうか。
それとも、きみが行く?

(練習文4)思い切って言っちゃおうか。
それとも、やはり黙っていようか。

(練習文5)右に曲がりますか。
または、左に曲がりますか。

(練習文6)黒、
または、青のボールペンで書いてください。

(練習文7)何かが起こるかもしれません。
あるいは、何も起こらないかも
      しれません。

(練習文8)あしたの天気は、雨あ
るいは雪でしょう。

(練習文9)原爆ドームを保存するか、それとも取りこわしてしまうか、戦
      後間もないころの広島では議論が続いた。



    
「対比の接続詞」の表現よみ練習



 「対比の接続詞」も、転調(強調)した音声表現になるのが多いと言えま
す。前文内容はこうだが、後文内容はこうだと、二つを比べているので、接
続詞を強めの出だしにして読みだしていきます。しかし、強めにならない場
合もあります。
 次の練習文を、両方(「強め」と「平ら」)でやってみましょう。

(練習文1)兄は右の道を進んでいった。
一方、弟は左の道を進んでいった。

(練習文2)兄はやせていて背が高いです。
他方、弟はずんぐりと太ってい
      て背が低いです。

(練習文3)それは、うれしいよ。
一方で、わたしたちには残念に思えるこ
      ともあります。

(練習文4)山田君は、ことばづかいが悪い。
他方、自分から手伝ってくれ
      たりして、とってもやさしいところもある。

(練習文5)友達や家族との付き合いのなかで、がまんしなければならない
      ことがたくさんある。
それに対して、自分だけの世界はだれに
      もじゃまされたくないものだ。

(練習文6)ある料理を一から作ろうとすれば、いろいろな材料を買いそろ
      えなければなりません。
それに比べ、インスタント食品の場合
      には、必要なもののほとんどが、必要な量だけ用意されていま
      す。

(練習文7)インスタント食品はたいへん便利であり、わたしたちの生活に
      欠かせないものになっています。
その一方で、今述べたような
      注意しなければならない点もあります。便利さを上手に生かし
      ながら、豊かな食生活をつくりあげていきたいものです。



    
「理由の接続詞」の表現よみ練習



 「理由の接続詞」も、転調(強調)した音声表現になる場合と、ならない
場合があります。どんな場面で語られたか、語り手の伝え意図はどうか、な
どによって違ってきます。
 次の練習文を、両方(「強めに」と「平らに」)の音声表現をやってみま
しょう。

(練習文1)兄が妹をからかっています。
だから、妹は今にも泣きそうな顔
      をしています。

(練習文2)林君は、サッカーのチームに入って練習しています。
だから
      学校代表の選手に選ばれました。

(練習文3)電車の事故がありました。
それで、会社に遅刻してしまいまし
      た。

(練習文4)わたしは本田君に同情しません。
なんとなれば、彼には誠意が
      ないからです。

(練習文5)人間は、たんなる動物ではありません。
なんとなれば、人間は
      知性も感情も意志もあるからです。

(練習文6)あすの野球の練習は遅刻をするかもしれません。
なぜなら、歯
      医者へ行く予定があるからです。

(練習文7)3年2組は、今日、六名の児童が流感で欠席しています。
した
      
がって、あすから三日間、学級閉鎖となります。

(練習文8)朝から雨がはげしく降った。
そのため、サッカーの試合は明日
      に延期になりました。

(練習文9)地下水の流れは、非常にゆっくりとしています。ふった雨が地
      下にしみこみ、再び地表にわき出してくるには、三百年も五百
      年もかかっているほどです。
ですから、わたしたちは、江戸時
      代の雨も飲んでいることになります。



     
「順接の接続詞」の表現よみ練習



  「順接の接続詞」は、すんなりとつけくわえる意味内容の接続詞です。
音声表現では、通常は、すんなりと、平らに、つながっていくように読んで
いきます。しかし、文章内容によっては強調になる場合もあります。
  次の練習文を、両方(「強めに」と「平らに」)の音声表現でやってみ
ましょう。

(練習文1)雨が降っていた。
そして、風もひどかった。

(練習文2)ひろし君は、鉄棒が上手です。
それにサッカーも上手です。
      
れにピアノがとっても上手です。

(練習文3)おしっこが我慢できません。
それで、大急ぎでトイレに駆けこ
      みました。

(練習文4)兄はスポーツ万能選手です。
そして、頭がとってもいいです。
      そして、美男子です。

(練習文5)手をあらった。
それから、口の中をブクブクしてゆすいだ。

(練習文6)あの方は、歌手です。
また、画家でもあります。

(練習文7)この掃除機は、値段が安く、
それに、とってもゴミをよく吸い
      取り、こわれにくいです。

(練習文8)ごちそうになり、
そのうえ、お土産までいただきました。

(練習文9)この道をまっすぐに行きます。
すると、信号のある交差点に出
ます。そこを右に曲がると、すぐにお探しの建物があります。



    
「まとめの接続詞」の表現よみ練習



  「まとめの接続詞」は、前文のことがらをひとまとめにして、ちょっと
視点や話題を変えた話しにして後文へとつなげていくときに使います。
  「まとめの接続詞」の音声表現は、言い換えや転換内容になるので、転
換や転調した音声表現にして読み出していくようになります。


(練習文1)朝、起きたら地面がぬれていた。
ようするに、夜中に雨がふっ
      たということだ。

(練習文2)
ようするに、君はぼくが悪いということを言っているんだね。

(練習文3)
つまり、君はこの仕事をするのがいやだということを言ってる
      んでしょ。

(練習文4)
このようにヤドカリとイソギンチャクは、たがいに助け合って
      生きているのです。

(練習文5)
このように、道具は、わたしたちの手の働きを助けています。
      わたしたちのくらしにたいへんに役立っています。

(練習文6)
つまり、ぼくの言いたいことは、こういうことです。

(練習文7)あすは先生が休みます。
したがって、ほかの先生が来て教えて
く      れます。叱られないように、いい子にしていてください。

(練習文8)
これらのかんさつから、ウイルソンは、はたらきありが、地面
      に何か道しるべになるものをつけておいたのではないか、と考
      えました。      

(練習文9)
この研究から、ウイルソンは、ありの行列のできるわけを知る
      ことができました。  

(練習文10)ロボットと本物の犬を見比べて下さい。本物の犬は呼吸を 
       しています。呼吸は、空気中の酸素を体に取り入れ、二酸化
       炭素を体から出すことです。本物の犬はえさを食べ、水を飲
       んで、おしっこやうんちを体から出します。
このように、生
       き物は、外から必要なものを取り入れ、内から不必要なもの
       を出して、内と外とで物質のやり取りをしています。  
           中村桂子「生き物はつながりの中に」光村6上、

(練習文8と9とは、大滝哲也「ありの行列」光村3上からの一部引用です。
練習文の「これらのかんさつから」と、練習文9の「この研究から」は接続
詞ではありませんが、まとめの接続詞的な役割をしてい表現内容の言葉です。
新しい起こしで転調して読み出すようにするとよいでしょう。)



      
幾つか接続詞が混合してる文章



  次の練習文には接続詞が二つ、三つとふくまれています。接続詞をどの
ような音調(言いぶり)にして読むかは、その接続詞がつかわれた場面や、
語り手がどんな伝え意図で語っているかによって違ってきます。
  次の練習文を、あなたの考え(解釈)で、あなたが選択した音調(言い
ぶり)で読んでいきましょう。

(練習1)水は、手ですくうことができます。
けれども、熱いスープや、 
     お湯を手ですくったら、やけどをしてしまいます。
それで、ス 
     プーンやひしゃくを使います。一度のたくさんお土や砂 
     をすううときは、シャベルを使います。

(練習2)
では、動物と環境との関係を、ハチドリという鳥を例に、具体 
     的に見てみよう。
     ハチドリは、この危険を、次のようにして切りぬけている。
つま
     
、夜になったら温血動物であることをやめるのである。自分で
     積極的に体温を下げて、冬眠状態になってしまうのだ。
     
このように考えると、ある限られた環境でしか生きられないとい
     う点で、人間も他の動物も同じであると考えられる。

(練習3)ぼくの家では、お父さんもお母さんも、外で働いています。
だか
     
、ぼくが学校から帰っても、まだ、二人とも帰っていません。
     ぼくは、玄関のドアのかぎを開けて、だれもいない家に入ります。
      家のかぎは、前はぼくが自分で持っていました。
ところが、ど
     ういうわけか、すぐなくしてしまうのです。
それで、家に入れな
     くて困ったことが、何度もありました。
      
でも、今はそんな心配はありません。チロっていう犬をかって
     いて、チロの犬小屋の中に、かぎをしまっておくからです。

(練習4)わたしたちの手は、さまざまな働きをしています。顔をあらうと
     き、手で水をすくいます。おかしを食べるとき、手でつまみます。
     
また、手でひっぱって、糸を切ったり、紙をちぎったりします。
      
けれども、わたしたちの手ではできないことも、たくさんあり
     ます。そういうとき、わたしたちは、道具を使います。
      
では、そんなときに、どんな道具を使うのでしょう。
      ドアは手でたたくことができます。
けれども、くぎを手でたた
     いて打ちこむことはできません。
それで、金づちを使います。ま
     た、野球でボールを打つときは、バットをつかいます。


答え「幾つか接続詞が混合してる文章」の一つの読み声例

(練習文1)
(「けれども」は転調して、「それで」「また」は転調なしで読む、という
方法も一つです。)

(練習文2)
(「では」「このように」は転調して読む。「つまり」はすんなりと平らに
転調なしで読む。)

(練習文3)
(「ところが」「でも」は転調して読む。「だから」「それで」は転調なし
で平らに読む。「だから」「それで」を転調して読むこともできます)

(練習文4)
(二つの「けれども」と「では」は転調するとよいでしょう。) 
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