命題論理と音声表現、          2012・06・08記
連体修飾語の音声表現
副詞・形容詞の音声表現
格助詞「の」連続の音声表現
           




  
命題論理と音声表現



命題論理とは


 命題論理とは何か。例文で解説すると分かりやすい。次のような文があっ
たとします。

(例文1)太郎は学校へ行ったようだ。
(例文2)太郎は学校へ行ったらしい。
(例文3)太郎は学校へ行ったかしら。

 (例文1,2,3)は、「太郎が学校へ行った」という客観的な事柄を表
わしている命題文に対して、文末に「らしい。」「ようだ。」「かしら。」
が接続している文です。「太郎が学校へ行った。」という客観的な事柄を表
している命題文に対して、語り手の主観的な判断、態度を表す「らしい」
「ようだ」「かしら」が付け加っている文です。語り手の主観的な判断、態
度を表明しているこれら文末個所をモダリティと言います。ムードと呼ぶこ
ともあります。(モダリティについての詳細は、別章「モダリティと音声表
現」で書いています。)

 ここの学習の主題は命題文個所です。「太郎は学校へ行った」の命題部分
です。「太郎は学校へ行った」部分は、文の意味内容としての中核部分を構
成しています。文章全体の中心的な事柄、文章内容としては客観的事態(語
り手の主観的な態度・判断を除いた部分)が書いてあります。

(例文4)朝寝坊をした太郎は、登校時刻におくれて学校へ行ったようだ。
(例文5)太郎は朝寝坊して、朝食を食べないで学校へ行ったらしい。

 (例文4)の中核的部分である客観的事態を表してる部分は「朝寝坊をし
た太郎は、登校時刻におくれて学校へ行った」です。それにモダリティ
「ようだ」がくっついています。
 (例文5)の中核的部分である客観的事態を表してる部分は「太郎は朝寝
坊して、朝食を食べないで学校へ行った」です。それにモダリティ「らし
い」がくっついています。
 これら中核的部分をなす客観的事態を表してる部分は「……は……であ
る」という命題を表しています。命題個所は(例文1.2.3)のように短
文であったり、(例文4,5)のように長文であったりします。体言修飾語
がついたり、連用修飾語がついたりしてるのもあります。また単文であった
り、重文であったり、複文であったりもしてます。

 これら中核的部分をなす客観的事態を表してる命題部分は、どのように音
声表現していけばよいのでしょうか。それには命題部分の文法的語法的な論
理構造がどうなっているかを知ることが重要です。

  以下、命題部分の論理構造がどうであるか。どのような構文論的規則が
あるか、これらと音声表現のしかたは、どのように関わっているか、を知る
ことが大切です。本節では、これらについて書いていくことにします。




        
連体修飾語



連体修飾語の音声表現


 修飾語の指導で重要なことは、文章の中のどの部分が、どの部分に係って
いくかを指摘させることです。何(被修飾語)について、どの面が詳しく説
明されているか、どのように修飾(くわしく限定・描写)されているか、を
知らせることです。
 修飾語の音声表現では、修飾語が被修飾語に係っていくように、ひとつな
がりに読まなければなりません。二つがひとつながりに、ひとまとまりにな
るように読むことが重要です。日本語では、連体修飾語は、被連体修飾語の
直前に位置しています。直前に位置しているので、ひとつながりに音声表現
することはそんなに難しくありません。ただし連体修飾節が長すぎると、ち
ょっと困難です。どこが、どう結びついているかを探ることが大切になりま
す。長い結びつきの体言修飾部分は、途中で小さな間をあけて息継ぎをしつ
つ、ひとつながりになる意識で読み進めるようにします。



     
連体修飾語の音声表現のしかた


(例文1)
 ほりばたで乗せたお客のしんしが、話しかけてきました。

解説
 あまんきみこ作「白いぼうし」にある一文です。「ほりばたで乗せた」
「お客」ですね。「お客」はどんなかというと「ほりばたで乗せた」ですね。
さらに「ほりばたで乗せたお客の」と「しんし」とがさらに結合し、連体修
飾が二段階合成で形成されています。
 文節は文の成分であるという立場から、「ほりばたで乗せたお客の」は
「しんしが」までを修飾すると考えられます。修飾語部分を赤色で、被修飾
語部分を青色で書くと、
ほりばたで乗せたお客のしんしが、話しかけてきました。」
のようになります。
 しかし、被修飾部分を「しんしが」の「が」まででなく、「ほりばたで乗
せたお客の」「しんし」(「が」を削除する)のほうが児童には理解しやす
いです。詳しく修飾(限定、説明、描写)している部分と、されている部分
との事実関係が理解しやすい。つまり、「ほりばたで乗せたお客の」は「し
んしが」まででなく「しんし」にだけ係るとしたほうが理解しやすい。
 それで、本稿では、修飾語と被修飾語との色付けは、すべて後者の方法で
記述していくことにします。ここでは、修飾語(赤色)、被修飾語(青色)
にします。
ほりばたで乗せたお客のしんしが、話しかけてきました。」のようにです。


(例文2)
これが、ゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉でした。

解説
 今西祐行作「一つの花」にある一文です。「ゆみ子のはっきり覚えた」と
「最初の」が「言葉」にふたつ対等で係っています。「ゆみ子のはっきり覚
えた」は、「ゆみ子の」の「の」は主格助詞「が」の代行であり、一つの単
位文の文末が連体形となって「言葉」(体言)に係っています。ふたつが対
等とはいっても、音声表現では「(ゆみ子のはっきり覚えた)(最初の言
葉)」のような係り受けで読んでいくとよいでしょう。「最初の」のあとで
軽く区切ってもよいです。


(例文3)
原爆ドームは、広島市のほぼ中心を流れるかわのほとりに建っている。

解説
 大牟田稔「平和のとりでを築く」にある一文です。音声表現のしかたは、
「広島市のほぼ中心を流れるかわ」その川の「ほとり」という意味ですから
「(広島市のほぼ中心を流れるかわの)(ほとり)」のような係り受けで読
むとよいでしょう。「ほとり」は「かわのほとり」一語性の結びつきが強い
ですから、「(広島市のほぼ中心を流れる)(かわのほとり)」のような
音声表現のしかたもできます。


(例文4)
父もその父も、その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた海に、太一
も住んでいた。

解説
 立松和平「海の命」にある一文です。音声表現のしかたは、「父もその父
も、その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた」「海」です。「海」
の連体修飾語部分がかなり長いですが、ひとつながりの息づかいで「海に」
までつながるように読み進めていきます。「父もその父も」のあとでほんの
軽く間をあけてもよい、そこで切らずに、そこから一気にたたみかけるよう
に「その先ずっと顔も知らない父親たちが住んでいた海に」まで読み進めて
いくとよいでしょう。


(例文5)
竹とりのおきなというおじいさんが、心のやさしいおばあさんとくらしてい
ました。

解説
 有名な昔話「かぐやひめ」にある一文です。「竹とりのおきなという」
「おじいさん」という連体修飾関係にあります。もう一つ、「心のやさし
い」「おばあさん」という連体修飾関係にあります。連体修飾語と被連体修
飾語との結びつく関係が二個所あります。
 音声表現のしかたは、「(
竹とりのおきなというおじいさんが、)(心の
やさしい
おばあさんと)くらしていました。」のようになります。ふたつと
も、修飾語と被修飾語とはひとつながりに音声表現します。


(例文6)
 「にわの こいしの こみちのはじの、きいちごの しげみのちかくに、
いきものをほかのいきものに かえることのできる、まほうのとかげがすん
でいるそうだよ。」

解説
 レオ・レオニ作、谷川俊太郎訳「アレクサンダとぜんまいねずみ」にある
一文です。
 「にわの こいしの こみちのはじの、きいちごの しげみのちかくに、
いきものをほかのいきものに かえることのできる、まほうの」は「とか
げ」の長い連体修飾語部分です。どんな「とかげ」かというと、「まほうの
とかげ」です。どんなまほうかというと、「いきものをほかのいきものに 
かえることのできる、」「まほう」です。後半部分の音声表現のしかたは、
「いきものをほかのいきものに かえることのできる、(間)まほうのとか
げ」と表現よみすると分かりやすくなります。「まほうのとかげ」はどこに
すんでいるかというと、「にわの こいしの こみちのはじの、きいちごの
 しげみのちかくに」です。
 この文全体の音声表現のしかたは、「これこれの場所に」間「これこれの
魔法をかける」間「(まほうの)とかげ」のような大きな修飾関係の区切り
で音声表現すると分かりやすくなります。



     
連体修飾語の音声練習(その1)



 次の連体修飾語の音声表現のしかたを考えましょう。どこが、どこに係る
ように読めばいいですか。

(練習文1)
たかし君は、うれしいようなさびしいような気持ちになった。

(練習文2)
アメンボは、うっかり水面に落ちてばたばたもがいている虫を食べ物にして
います。

(練習文3)
アメンボは、水の表面に落ちてきた虫だけをねらって食べるという生き方を
するようになった昆虫なのです。

(練習文4)
はらいたがなおって元気になったじさまは、医者様が帰った後で、こう言っ
た。                斎藤隆介「モチモチの木」

(練習文5)
動物の死がいや落ち葉などのくさってできたやわらかい土が、学校の裏山の
林にあった。

(練習文6)
生まれたての赤んぼのわたしをかかえ、女手一つで魚屋をやらなければなら
なかった母は、どんなに苦労したかしれません。

(練習文7)
かつて炭は、多くの家庭で、部屋をあたためたり、お湯をわかしたり、魚を
焼いたりする燃料として使われていました。

(練習文8)
長崎の町についてあらかじめ知っておかねばならないことは、江戸時代が鎖
国(外国と付き合わないこと)だったことである。  形式名詞が主文素、
そのうえはすべて体修

(練習文9)
さあ、大きな丸太がパチパチと燃え上がり、しょうじには自在かぎとなべの
かげがうつり、すがすがしい木のにおいのするけむりの立ちこめている、山
家のろばたを想像しながら、この物語をお読みください。

(練習文10)
春には花がさき、秋にはおいしい実のなる木が、町外れの植木屋さんにあり
ました。世界の国々から送られてきためずらしい花が、わたしがきのう行っ
たとなりの町の花屋さんの店先にありました。


答え赤色は修飾語部分青色は被修飾語部分です

(練習文1)
たかし君は、(
うれしいような)(さびしいような気持ちになった。
 (「うれしいような」「さびしいような」の連体修飾語がふたつ、対等で
 「気持ち」に係っています。)
(練習文2)
アメンボは、
うっかり水面に落ちてばたばたもがいているを食べ物にして
います。
(練習文3)
アメンボは、
水の表面に落ちてきた虫だけをねらって食べるという生き方を
するようになった
昆虫なのです。
(「水の表面に落ちてきた」「虫」)がさらに(「水の表面に落ちてきた虫
だけをねらって食べるという」「生き方」となり、さらに「水の表面に落ち
てきた虫だけをねらって食べるという生き方をするようになった」「昆虫」
と三段階合成になっている連体修飾語部分になっている。)
(練習文4)
はらいたがなおって元気になったじさまは、医者様が帰ったで、こう言っ
た。           
(練習文5)

動物の死がいや落ち葉などのくさってできた(やわらかい
)が、学校の裏
山の
にあった。
(練習文6)
生まれたての赤んぼのわたしをかかえ、女手一つで魚屋をやらなければなら
なかった
は、どんなに苦労したかしれません。
(練習文7)
かつて炭は、多くの家庭で、
部屋をあたためたり、お湯をわかしたり、魚を
焼いたりする
燃料として使われていました。
(練習文8)

長崎の町についてあらかじめ知っておかねばならない
ことは、江戸時代が鎖
国(外国と付き合わないこと)だった
ことである。  
 (形式名詞「こと」が主文素、その上部はすべて連体修飾部分である)
(練習文9)
さあ、
大きな丸太がパチパチと燃え上がり、しょうじには自在かぎとなべの
かげがうつり、すがすがしい木のにおいのするけむりの立ちこめている、

山家のろばた)を想像しながら、この物語をお読みください。
(練習文10)
春には花がさき、秋にはおいしい実のなるが、町外れの植木屋さんにあり
ました。
世界の国々から送られてきためずらしいが、わたしがきのう行っ
たとなりの町の花屋さんの
店先にありました。



      
連体修飾語の音声練習(その2)



 次の連体修飾語の音声表現のしかたを考えましょう。どこが、どこに係る
ように読めばいいですか。

(練習文1)
ピーターは、世界で三番目に大きいビクトリア湖の近くでくらす、ルオ族の
話をした。

(練習文2)
頭には、お母さんの作ってくれた、わた入れの防空頭巾をかぶっていきまし
た。                    今西祐行「一つの花」

(練習文3)
ヨーグルトは、人間がミルクから作り出した最初の食べ物です。

(練習文4)
日本の軍隊がぼくたちのふるさとを占領していた、あの苦しかった時代、大
人のように、母さんと苦労をわかちあっていた。

(練習文5)
激しい潮の流れに守られるようにして生きている、二十キロぐらいのクエも
見かけた。                  立松和平「海の命」

(練習文6)
チリのイースター島は、首都サンティアゴから西に約三千八百キロメートル
はなれた、太平洋に浮かぶ絶海の孤島である。

(練習文7)
広島市には、一発の原子爆弾で破壊され、そのままの形で今日まで保存され
てきた「原爆ドーム」とよばれる建物がある。

(練習文8)
ふと、顔を上げたとき、強い日差しの照りつける道ばたにすわりこんでいる
人たちの姿が目に入った。

(練習文9)
凧は日本だけのものではなく、世界中どこにもあるんだということを知った、
父の感激はどんなだったでしょう。

(練習文10)
ただのときは水につかることのない、川べりのすすきやはぎのかぶが、黄色
くにごった水に横だおしになって、もまれています。
                      新美南吉「ごんぎつね」


答え赤色は修飾語部分青色は被修飾語部分です

(練習文1)
ピーターは、
世界で三番目に大きいビクトリア湖の近くでくらす、(ルオ族
)をした。
(練習文2)
頭には、
お母さんの作ってくれた、(わた入れの防空頭巾)をかぶって
いきました。                    
(練習文3)
ヨーグルトは、
人間がミルクから作り出した最初の食べ物)です。
(練習文4)
日本の軍隊がぼくたちのふるさとを占領していた、(あの苦しかった時代)、
大人のように、母さんと苦労をわかちあっていた。
(練習文5)
激しい潮の流れに守られるようにして生きている、(二十キロぐらいの
)も見かけた。                  
(練習文6)
チリのイースター島は、
首都サンティアゴから西に約三千八百キロメートル
はなれた、太平洋に浮かぶ
絶海の孤島)である。
(練習文7)
広島市には、
一発の原子爆弾で破壊され、そのままの形で今日まで保存され
てきた
(「原爆ドーム」とよばれる建物 )がある。
(練習文8)
ふと、顔を上げたとき、
強い日差しの照りつける道ばたにすわりこんでいる
(人たちの
姿が)目に入った。
(練習文9)
凧は日本だけのものではなく、世界中どこにもあるんだということを知った、
父の
感激はどんなだったでしょう。
(練習文10)
ただのときは水につかることのない、川べりのすすきやはぎのかぶ)が、
黄色くにごったに横だおしになってもまれています。     



       
格助詞「の」の連続



 格助詞「の」の連続によって、連体修飾語の連文節を作ります。
 格助詞「の」は、語や文節を結びつけ、連体格を示す助詞です。主格助詞
として働くこともあります。
 格助詞「の」がつくと連体修飾語を作ります。「何の何の何の何」という
ような「の」が連続した連文節の連体修飾もあります。「の」のついた文節
が、下の文節を次々と修飾(限定)していく連文節の形です。
 これらの音声表現では、連文節の区切り方に注意が必要です。どんな注意
が必要か。下記で例文解説で説明しましょう。必要とする区切り個所に□の
しるしをつけています。


(例文1)
海岸
灯台光が月明るい海面を青白く照らしています。

 「海岸の」の「の」は場所を示しています。「灯台の」の「の」は所属を
示しています。「月の」の「の」は主格助詞として働いています。
 意味内容では、「灯台の光」に「海岸の」が係っています(修飾してい
る)ので、音声表現するときは「海岸の□灯台の光が」と区切るようになり
ます。短いですから区切る必要もありませんが、そんな息づかいで読む必要
があります。客文素個所は、「月の明るい□海面を」となります。わざとら
しく間と開ける必要はありませんが、そんな息づかいで音声表現していくと
よいでしょう。
 全文の音声表現の感じは下記のようになるでしょう。一つの例です。
海岸の□灯台の光が□□月の明るい□海面を□□青白く照らしています。

(例文2)
町外れに、小さなかばん屋がありました。
              安房直子「かばんの中にかばんを入れて」
解説
 区切り方は、「北にある町の」の意味ですから「北の町の□町外れに
□、」または「北の□町の□町外れに□、」のどちらかでしょう。「北の
町」という固有名詞の場合だったら「北の町の□町外れに□、」となるでし
ょう。

(例文3)
 かじ屋
新兵衛うちうらを通ると、新兵衛家内が、かみをすいてい
ました。                  新美南吉「ごんぎつね」

解説
 区切り方は、
 (かじ屋の新兵衛のうちの□うらを□通ると□、)または
 (かじ屋の新兵衛の□うちの□うらを通ると□、)などがあるでしょう。
 どちらにしても、微妙な息づかい、語勢、上げ下げなどが影響してきます。



      
連体修飾語の音声練習(その3)



 次の文(「の」連続の個所)の音声表現のしかたを考えましょう。声に出
して表現よみしてみましょう。どんな区切り方がよいですか。意味内容から
考えて区切ってみよう。

(練習文1)
子おには、向こう
上にとんと立った。

(練習文2)
 おじさん
 うち ボンボンどけい 中には、子どもが ふたり す
んで いるんですよ。           千葉省三「チックとタック」

(練習文3)
 兄さん
かには、その右側四本二本を、弟平べったい頭に
のせながら言いました。            宮沢賢治「やまなし」

(練習文4)
 「ちいちゃんじゃないの」という声。ふり向くと、はす向かい
うち
ばさんが立っています。   あまんきみこ「ちいちゃんのかげおくり」

(練習文5)
しばらくすると、兵十は、はりきりあみ
いちばん後ろふくろようにな
ったところを、水
中から持ち上げました。
                      新美南吉「ごんぎつね」

(練習文6)
昔、わたしたち
近く中山という所に、小さなおしろがあって、中山
様というお殿様がおられたそうです。   新美南吉「ごんぎつね」

(練習文7)
 だれもいない空き地
はずれ一本にれ前に、やせた男人がさ
っきから立っていました。       あまんきみ子「おはじきの木」

(練習文8)
 主人に死なれて、わたしたちは暮らせなくなったのです。今、主人

広島と島根
県境この村に来ているのですが、どうしてこの子を育ててい
ったものか迷ったあげく、あの日
ことを思い出し、もしや、こ本当
身内かたが見つからないものかと、たずね人に出したわけでございます
……。                今西祐行「ヒロシマのうた」

(練習文9)
 かれは、ひみつめかしてささやいた。
「にわ
小石小道はじ、きいちごしげみ近くに、生きものをほか
の生きものにかえることのできる、まほうのとかげがすんでるそうだよ。」
   「アレクサンダとぜんまいねずみ」レオ・レオニ作、谷川俊太郎訳


答え(ひとつの区切り方例です。□は、そこで間をあけるしるしです。この
   通りでなくてもかまいません。)

(練習文1)
向こうの谷の□石の上に□とんと立った。
(練習文2)
 おじさんの うちの□ ボンボンどけいの 中には□、
(練習文3)
 その右側の□四本の足の中の□二本を□、
(練習文4)
 はす向かいのうちの□おばさんが□立っています。  
(練習文5)
はりきりあみのいちばん後ろの□ふくろのようになったところを□、または
はりきりあみの□いちばん後ろのふくろのようになったところを□など。
(練習文6)
 わたしたちの村の近くの□中山という所に□、
(練習文7)
 だれもいない空き地のはずれの□一本のにれの木の前に□、または
 だれもいない空き地のはずれの□一本の□にれの木の前に□、など。
(練習文8)
 今□、主人の里の□、広島と島根の県境の□この村に□来ているのですが、
 この子の□本当の身内のかたが□見つからないもんかと□、
(練習文9)
「にわの小石の□小道のはじの□、きいちごのしげみの近くに□、生きもの
を□ほかの生きものにかえることのできる□、まほうのとかげがすんでるそ
うだよ。□」




     
副詞・形容詞



副詞、形容詞の音声表現のしかた


 副詞、形容詞は、構文構造ではもちろん連体修飾語部分を構成します。
 副詞、形容詞の音声表現で注意すべきことがあります。例文で説明しまし
ょう。

(例文1)
 かにの子どもらは、
あんまり月が明るく水がきれいなので、ねむらないで
外に出て、しばらくだまってあわをはいて天井の方を見ていました。
                      宮沢賢治「やまなし」
解説
 副詞「あんまり」は、文意からして、ここでは「月が明るく」だけを修飾
していません。「月が明るく水がきれい」の二つを修飾(説明)しています。
「(あんまり)(月が明るく水がきれい)」と係るように音声表現します。
「(あんまり月が明るく)(水がきれいなので)」と、音声表現してはいけ
ません。

(例文2)
緑がゆれているやなぎの下に、
かわいい白いぼうしが、ちょこんと置いてあ
りました
。              あまんきみこ「白いぼうし」

解説
 「かわいい」「白い」は、両方とも形容詞の連体形ですから、両方とも体
言「ぼうし」を修飾しています。「かわいい」と「白い」が、二つ対等の関
係で、並列して「ぼうし」を修飾(説明)しています。音声表現のしかたは、
間をあけなくてもいいが、あえてほんの短い間をあけるとすれば、「かわい
い□白い□ぼうしが」となるでしょう。そんな息づかいは必要です。
 もし「かわいく白いぼうしが」と書いてあったとしたらば、「かわいく」
は連用形ですから、「かわいく」は「白い」につながり、「かわいく白い□
ぼうしが」と、文法的には音声表現すべきでしょう。
 これは連用修飾語だが、「ちょこんと」は状態副詞で「置いてありまし
た」に係っていくように読むとよいでしょう。

(例文3)
黒い丸い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで、また上へ上って
いきました。         宮沢賢治「やまなし」連用形連体形

解説
 「黒い」「丸い」は、二つとも形容詞の連体形です。「大きな」は連体詞
です。三つとも対等の関係で、並列して体言「もの」に係っています。音声
表現のしかたは、上記した例文2と同じことが言えます。間はあけなくても
いいが、心持の息づかいでは、「黒い□丸い□大きな□ものが」となるで
しょう。もし、「黒くて丸くて大きなものが」と連用形で書いてあれば、
「黒くて丸くて□大きなものが□」となるでしょう。
 これは連用修飾語だが、「ずうっと」は副詞で「しずんで」に係っていく
ように読むとよいでしょう。

(例文4)
テレサは、
低い落ち着いたで、ゆっくりと話しました

解説
 「低い」は形容詞の連体形、「落ち着いた」は過去、完了の助動詞「た」
の連体形です。用言に助動詞(連体形)がつくと連体修飾語となります。
「低い」と「落ち着いた」は対等の関係で「声」を修飾(説明)している連
体修飾語です。
 音声表現のしかたは、これも例文2と同じことが言えます。あえてほんの
軽く間をあけるとすれば、「低い□落ち着いた□声で□、」となるでしょう。
もし、「低く落ち着いた声で、」と書いてあれば、「低く」は用言「落ち着
く」につらなる副詞のような使われ方ですから「低く落ち着いた□声で」と
なるでしょう。
 これは連用修飾語だが、「ゆっくりと」は副詞で「話しました」に係って
いくように読むトyいでしょう。

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