命題論理と音声表現            2012・04・02記
連用修飾語の音声表現
トキトコロ・比喩の音声表現






       
連用修飾語



    連用修飾語の音声表現



 修飾とは、限定する、説明する、詳しく描写して規定することです。主語
や補語の指し示す対象の性質や状態を詳しく補って規定したり、述語の様態
や出来事の起こった時や場所を詳しく説明して規定することです。
 修飾語の指導で重要なことは、文章の中のどの部分がどの部分に係ってい
るかを指摘するだけでなく、どの面が詳しく限定されているか、どのように
詳しく定められているかを理解させることです。音声表現では、どの部分が、
どの部分へ係っているか、修飾語と被修飾語とがひとつながりになるように
読むことが重要です。

 連用修飾語は、文中のどこにも位置することができます。文頭に位置して
る場合も多くあります。文頭の場合は、連用修飾語と被修飾語(文末部分)
との位置がかなり離れてしまいます。この点、連体修飾語は、被修飾語の直
前に位置しており、自由に位置を変えることができない点で大きく違ってい
ます。

(例文1)
三びきのとらは、大きな口をあけたままでいるわにを
ふしぎそうに見ていま
す。

(例文2)
三びきのとらは、
ふしぎそうに大きな口をあけたままでいるわにを見ていま
す。

(例文3)
ふしぎそうに、三びきのとらは、大きな口をあけたままでいるわにを見てい
ます。

 連体修飾語は、「三びきの」「大きな」「大きな口をあけたままでいる」
です。それぞれ「とら」「口」「わに」の直前に位置しており、位置を自由
に変えることができません。
 ところが、連用修飾語「ふしぎそうに」は、上記してるように自由に位置
を変えることができます。(例文3)の「ふしぎそうに」は「見ています」
にひとつながりに、ひとまとまりに係るように読まなければなりません。
(例文3)のような音声表現でも、連用修飾語「ふしぎそうに」が文末述語
「見ています」にひとつながりに係っていく息づかいで読まなければなりま
せん。
 位置が離れすぎていると、走った息苦しい息づかいで読むようになります。
へんな個所で間をあけて意味内容が切断してしまう読み方にもなりかねませ
ん。ですから、このような文は、意味内容の切れ目を大切にしながらも、と
ころどころで小さく間をあけ、そこで軽く息を吸いつつ、連用修飾語が文末
述語まで係る意識を心において、ひとつながりを意識した息づかいで読み進
めていくことが大切です。



   連用修飾語の音声練習のしかた

(例文1)
マサエは、
おばあちゃんといっしょにこたつに当たりながら本を読んでい
ました
。             杉みき子「わらぐつの中の神様」
 解説
 「おばあちゃんといっしょにこたつに当たりながら」全体が、「本を読ん
でいました」に係っています。「おばあちゃんといっしょにこたつに当たり
ながら」の連用修飾全体が「本を読んでいました」に係っていくように、つ
ながっていくようの読みます。

(例文2)
ゆみ子は、
知らず知らずのうちに、お母さんのこの口ぐせを覚えてしまった
のです
。                  今西祐行「一つの花」
 解説
 「知らず知らずのうちに」は、直接には用言「覚えてしまった」に係って
いるのですが、意味内容から考えて、音声表現では「知らず知らずのうち
に」(修飾語)は、「お母さんのこの口ぐせを」(補語部分)を含めて、
「お母さんのこの口ぐせを覚えてしまったのです」全体に係るように、
「(知らず知らずのうちに)(お母さんのこの口ぐせを覚えてしまったので
す)」のように区切って、ひとつながりを求めて読んでいくようにします。

(例文3)
ゆみ子は、お父さんに花をもらうと、
キャッキャッと足をばたつかせて喜び
ました
。                 今西祐行「一つの花」
 解説
 「(キャッキャと)(喜びました)」、「(足をばたつかせて)(喜びま
した)」、ではありません。「キャッキャと」は「足をばたつかせて」なの
です。「(キャッキャと足をばたつかせて)」(連用修飾全体)が「喜びま
した」(述語用言)に係っているのです。ですから音声表現は、「(キャッ
キャッと足をばたつかせて)(喜びました)」のように区切って読みます。
もし「キャッキャッと」のあとに読点(テン)がうってあれば、「キャッキ
ャッと」は「足をばたつかせて喜びました」に係るわけですから、「(キャ
ッキャッと)(足をばたつかせて喜びました)」と区切って読むようになり
ます。


(例文4)
つり橋は、
今にもふじづるが切れそうなほど、ギュッ、ギュッと、きしむの
です
。               長崎源之助「つり橋わたれ」
 解説
 「今にもふじづるが切れそうなほど」と「ギュッ、ギュッと」との二つの
連用修飾部分があります。二つが対等に「きしむのです。」に係っているの
ではありません。連用修飾「今にもふじづるが切れそうなほど」は、「きし
む」だけでなく、「ギュッ、ギュッと、きしむのです」全体に係っています。
 ですから音声表現は「(今にもふじづるが切れそうなほど)(ギュッ、ギ
ュッと、きしむのです)」と区切って読みます。「(ギュッ、ギュッと、き
しむのです)」はひとまとまりに読みます。
 このように音声表現では、文章内容を考えながら修飾と被修飾の係り受け
を調べて読むことが大切です。



     
連用修飾語の音声練習(その1)



 次の連用修飾語の音声表現のしかたを考えましょう。どこが、どこに係る
ように読みますか。

(練習文1)
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
                     新美南吉「ごんぎつね」

(練習文2)
じさまは、ころりとたたみに転げると、歯をくいしばって、ますますすごく
うなるだけだ。             斎藤隆介「モチモチの木」

(練習文3)
医者様は、ねんねこばんてんに薬箱と豆太をおぶうと、真夜中のとうげ道を、
えっちら、おっちら、じさまの小屋へ上ってきた。
                    斎藤隆介「モチモチの木」

(練習文4)
エルマーは、一生けんめい足を持ち上げました。すぽんと、長ぐつが足から
ぬけてしまいそうになるくらい、引っぱりました。
          ガネット作、渡辺茂男訳「エルマー、とらに会う」

(練習文5)
海中に棒になって差しこんだ光が、波の動きにつれ、かがやきながら交差す
る。                   立松和平「海の命」

(練習文6)
ぼくは、思わず大きな声を出した。運動靴の底に、さっきから不思議なひび
きを感じていたからだ。        坂田寛夫「いたいいたい虫」

(練習文7)
ちょうどたたきつけられた大つぶのひょうみたいに舗装道路の上に冷たいど
しゃぶりの雨がバシャバシャと降ってきた。

(練習文8)
あたりはまるですべてのものが魔法にかかったように、海岸には風もなく、
波の音も聞こえず、しいーんと静まりかえっていた。


 答え
(練習文1)
「ぐったりと目をつぶったまま」が、「うなずきました。」に係るように読
む。
(練習文2)
「ころりと」は「たたみに転げると」全体に係るように読む。「ますます」
は「すごくうなるだけだ。」全体に係るように読む。
(練習文3)
「えっちら、おっちら」は「じさまの小屋へ上ってきた。」全体に係るよう
に読む。雪の降る寒い真夜中のとうげ道を薬箱と豆太を背に負って「えっち
ら、おっちら」なので、「えっちら、おっちら」を強めにゆっくりと強調し
て読み、「上ってきた」も強めに読むとよいでしょう。
「(ねんねこばんてんに薬箱と)(豆太をおぶうと)」と区切ってはいけま
せん。「(ねんねこばんてんに)(薬箱と豆太を)(おぶうと)」です。
(練習文4)
「一生けんめい」は「足を持ち上げました」全体に係るように読む。「すぽ
んと」は「ぬける」に係り、「引っぱりました」ではない。「(すぽんと)
(長ぐつが足からぬけてしまいそうになるくらい)」でいったん軽く切る。
でも気持ちは「引っぱりました。」につながっている息づかいで読み進めて
いく。
(練習文5)
「かがやきながら」は「交差する。」に係るように読む。「かがやきなが
ら」なので、声立ては明るく発音明瞭に鮮明にするとよい。「波の動きにつ
れ」は、「かがやきながら交差する。」全体に係るように読む。
これは連体修飾語であるが、「海中に棒になって差しこんだ光が」個所は、
「(海中に)(棒になって差しこんだ光が)」のように区切って読むとよい。
(練習文6)
「思わず」は「大きな声を出した。」全体に係るように読む。「さっきか
ら」は「不思議なひびきを感じていた」に係っている。
「さっきから不思議なひびきを感じていた」全体が「からだ。」に係ってい
るように読む。「から」は形式名詞であり、これの詳細は、本章「モダリテ
ィと音声表現」の文末表現「述部にある形式名詞「の」」の項目を参照する。
(練習文7)
「ちょうどたたきつけられた大つぶのひょうみたいに」全体が「(舗装道路
の上に)(冷たいどしゃぶりの雨がバシャバシャと降ってきた)」全体に係
るように読む。「ちょうど………みたいに」は陳述副詞の呼応で、詳細は本
章「モダリティと音声表現」の「副詞」の項目を参照する。また、ここの本
稿で後述している「比喩」の項目でも詳述している。
(練習文8)
「あたりはまるですべてのものが魔法にかかったように」全体が「(海岸に
は)(風もなく、波の音も聞こえず、しいーんと静まりかえっていた)」全
体に係るように読む。修飾語と被修飾語との距離が離れているが、途中で小
さく間をあけて息継ぎをしながらも、文頭が文末述語までひとまとまりにつ
ながっているように読み進めていく。
「まるで………ように」は、(練習文8)と同じに陳述副詞の呼応です。



       
トキトコロの連用修飾語


 連用修飾語になる成分には、副詞、形容詞・形容動詞の連用形、用言連用
形+て、トキトコロなどがあります。ここでは、トキトコロをあらわす連用
修飾語について学習します。
 文にはトキトコロ(「いつ、どこで」)が常に付いて回っています。トキ
トコロは、文にはいつも付いて回っているものなので、いちいち書いたり言
ったりするとくどすぎてしまいます。言わなくてもいい、書かなくてもいい
場合は省略するのが通常です。何時のことか、何処のことか、を知らせた
い・知らせなければならない場合だけ記述することになります。
 昔話に「昔々、あるところに、あったとさ」という書かれ方が多くありま
す。まず冒頭で大枠のトキトコロのあみをはっちゃうわけです。あとは特別
な事件が起こった、ある時間、ある場所の、特別なトキトコロを書くことに
なります。ですから、トキトコロの連体修飾語の記述位置は文中よりも文頭
にくることが多くなります。

(例文1)
お父さんが戦争に行く日
、ゆみ子は、お母さんにおぶわれて、遠い汽車の駅
まで送っていきました。       今西祐行「一つの花」
 
解説
 「お父さんが戦争に行く日」が連用修飾語のトキトコロです。正しくは、
「トキ(時)連用修飾語部分」です。ほかに(例文2)のように「トコロ
(所)連用修飾語部分」があります。二つは構文的性格が似ていますので、
二つを一緒にして「トキトコロ」と略称して便利に使用しているわけです。
 先ず冒頭で、何時のことかを言っています。「お父さんが戦争に行く日」
は、用言「送っていきました」だけに係っているというよりも、トキトコロ
の以下の文「お母さんにおぶわれて、遠い汽車の駅まで送っていきまし
た。」全体に係っています。トキトコロは、それ以下に書いてある文全体を
修飾するように音声表現していくとうまくいきます。

(例文2)
お父さんは、
プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に、わす
れられたようにさいていたコスモスの花を見つけたのです。
                      今西祐行「一つの花」
 
解説
 「プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に」が連用修飾語
のトキトコロです。「プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所
に」は、述語用言「見つけたのです」だけに係っているというよりも、トキ
トコロの以下の文「ごみすて場のような所に、わすれられたようにさいてい
たコスモスの花を見つけたのです」全体に係っています。トキトコロは、そ
こから後ろの文全体を修飾しています。ですから、そのつもりで音声表現し
ていくようにします。



     
連用修飾語の音声練習(その2)


 次の文のトキトコロの音声表現のしかたを考えましょう。どこが、どこに
係るように読みますか。

(練習文1)
町が観光客でにぎわう七月十五日から八月三十一日までの間、海岸のパト
ロールは、夜も行われます。

(練習文2)
武士の時代が終わってまもない明治の初め、田中正造は、無実の罪で三年ほ
どとらえられていたことがる。

(練習文3)
やがて、ミシンの音がまたいそがしく始まったとき、買い物かごをさげたゆ
み子が、スキップをしながら、コスモスのトンネルをくぐって出てきました。

(練習文4)
出征する前の日、お父さんは、ちいちゃん、お兄ちゃん、お母さんをつれて、
先祖のはかまいりに行きました。あまんきみこ「ちいちゃんのかげおくり」

(練習文5)
原爆ドームが世界遺産の候補として、世界の国々の審査を受けることになっ
たとき、わたしはちょっぴり不安を覚えた。

(練習文6)
蜃気楼のようにうかび上がった小さな町にたどり着いた時、一頭の年老いた
ロバと出会った。

(練習文7)
日本が一九九二年(平成二年)にユネスコの世界遺産条約に加盟した直後か
ら、広島では、原爆ドームを世界遺産にしようという動きが高まった。

(練習文8)
一九四五年(昭和二十年)八月六日午前八時十五分、よく晴れた夏空が広が
る朝、広島市に原子爆弾が投下された。

(練習文9)
今から約千六百年前、ポリネシア人たちが、それまでだれ一人として人間が
上陸したことのなかったイースター島に上陸したとき、島はヤシ類の森林に
おおわれていた。

(練習文10)
このお母さんは、ミーちゃんと呼ぶこの赤ちゃんと、はなれた所にいるとき、
あのおそろしいことが起こったにちがいありません。

(練習文11)
この原爆ドームが、平和を築き、戦争をいましめるための建造物として、ユ
ネスコの世界遺産への仲間入りを果したとき、わたしは、建築されてからこ
の日まで、この傷だらけの建物がたどった年月を思わずにはいられなかった。

(練習文12)
エネルギーのむだを省き、資源を節約して余分なよごれを減らすということ
が、住みよい平和な社会のためにどうしても必要だと、みんなが自覚した時、
社会のしくみが変わるでしょう。


答え赤色青色に係るように音声表現していきます)

(練習文1)
町が観光客でにぎわう七月十五日から八月三十一日までの間海岸のパト
ロールは、夜も行われます。

(練習文2)
武士の時代が終わってまもない明治の初め田中正造は、無実の罪で三年ほ
とらえられていたことがる。
(練習文3)
やがて、ミシンの音がまたいそがしく始まったとき買い物かごをさげたゆ
み子が、スキップをしながら、コスモスのトンネルをくぐって出てきました

(練習文4)
出征する前の日お父さんは、ちいちゃん、お兄ちゃん、お母さんをつれて、
先祖のはかまいりに行きました。

(練習文5)
原爆ドームが世界遺産の候補として、世界の国々の審査を受けることになっ
たとき
、わたしはちょっぴり不安を覚えた。
(練習文6)
蜃気楼のようにうかび上がった小さな町にたどり着いた時一頭の年老いた
ロバと出会った。

(練習文7)
日本が一九九二年(平成二年)にユネスコの世界遺産条約に加盟した直後か
広島では、原爆ドームを世界遺産にしようという動きが高まった。
(練習文8)
一九四五年(昭和二十年)八月六日午前八時十五分、よく晴れた夏空が広が
る朝
広島市に原子爆弾が投下された。
(練習文9)
今から約千六百年前、ポリネシア人たちが、それまでだれ一人として人間が
上陸したことのなかったイースター島に上陸したとき
島はヤシ類の森林に
おおわれていた。

<トキトコロ個所が長いですが、途中で軽く間をあけつつ息継ぎをしながら
も、トキトコロ全体がひとまとまりになるように音声表現します。>
(練習文10)
このお母さんは、ミーちゃんと呼ぶこの赤ちゃんと、はなれた所にいるとき
あのおそろしいことが起こったにちがいありません。
(練習文11)
この原爆ドームが、平和を築き、戦争をいましめるための建造物として、ユ
ネスコの世界遺産への仲間入りを果したとき
わたしは、建築されてからこ
の日まで、この傷だらけの建物がたどった年月を思わずにはいられなかった。

<トキトコロ個所が長いですが、途中で軽く間をあけつつ息継ぎをしながら
も、トキトコロ全体がひとまとまりになるように音声表現します。>
(練習文12)
エネルギーのむだを省き、資源を節約して余分なよごれを減らすということ
が、住みよい平和な社会のためにどうしても必要だと、みんなが自覚した時

社会のしくみが変わるでしょう。
<ここも練習文11と同じ。トキトコロ個所が長いですが、途中で軽く間を
あけつつ息継ぎをしながらも、トキトコロ全体がひとまとまりになるように
音声表現します。>



           
比喩



 比喩には大きく分けて二種類があります。直喩と隠喩です。ここでは、直
喩(まるで……ような)の音声表現について書きます。隠喩は、直接には音
声表現のしかたと語法的にはあまり関係がありません。

 直喩表現は連体修飾語になったり、連用修飾語になったり、述語になった
りします。

 比喩は、文学作品に多用されるが、主張文・議論文にも使われることがあ
ります。主張文・議論文における比喩は、主張の確かさ、もっともらしさを
聞き手に印象づける大きな効果を発揮します。しかし、論証における飛躍が
大きく、真実性に欠けるきらいがあります。文学作品(詩、短歌、俳句、物
語、小説)でなく、説明文(随筆、主張文、議論文など)に比喩が使われて
いる場合は、警戒してかかる必要があります。比喩のコトバの魔術を見破る
必要があります。下記例文は、すべて文学作品からの引用です。



    (1)連体修飾語の直喩


 連体修飾語の直喩は、修飾語句の末尾が連体の形となり、体言に接続しま
す。文型は

  (まるで、とんと、ちょうど)………みたいな、ような+体言

のようになります。(まるで、とんと、ちょうど)は省略されることもあり
ます。「みたいな、ような」だけの比喩表現も多くあります。
 音声表現のしかたは、(まるで、とんと、ちょうど)は陳述副詞ですから
「みたいな」「ような」まで係っていく勢いがあります。「まるで」から
「ような+体言」まで、つながっていくように、ひとまとまりになるように
音声表現します。

連体修飾語が直喩の例文

  
まるで空に大きな美しい花が咲いたような花火です。

解説
 「花火」はどんなかと言うと、「まるで空に大きな美しい花が咲いたよう
な」「花火」だと述べています。連体修飾部分「まるで空に大きな美しい花
が咲いたような」は「花火」を限定して述べています。限定とは、「花火」
はどんなか、を詳しく説明し描写していることです。
 音声表現のしかたは、長い連体修飾語部分であっても、被修飾語「花火」
につながるように、係っていくように、ひとまとまりになるように読んでい
くことが大切です。途中でつながりが切れた読み方になってはいけません。

 次の直喩の音声表現のしかたを考えましょう。声に出して表現よみしてみ
ましょう。

(練習文1)
いたずらが見つかったような顔で、先生が笑った。
              坂田寛夫「いたいいたい虫」

(練習文2)
展望台の中に入ると、お化けが出てきても不思議でないような暗さだった。

(練習文3)
ぼくは、まるで、顔の分からない、いく人もの人たちがスクラムを組んで、
じっとぼくを見張っているような気味悪さを感じました。

(練習文4)
やさしかったおじいちゃんの写真を見ていると、まるでおじいちゃんの大き
な声が聞こえてくるような気がしました。

(練習文5)
運転席から取り出したのは、あの夏みかんです。まるで、あたたかい日の光
をそのままそめつけたような、見事な色でした。 
                     あまんきみこ「白いぼうし」

(練習文6)
夏がいきなり始まったような暑い夏です。  あまんきみこ「白いぼうし」

(練習文7)
お父さんかには、遠眼鏡のような両方の目をあらん限りのばして、よくよく
見てから言いました。             宮沢賢治「やまなし」

(練習文8)
指でこしらえた、小さな窓の中には、白いきつねの姿が見えるのでした。そ
れは、ちょうど窓の中に、一枚のきつねの絵が、ぴたりとはめこまれたよう
な感じなのです。             安房直子「きつねの窓」


答え赤色青色に係るように音声表現していく)

(練習文1)
いたずらが見つかったようなで、先生が笑った。

(練習文2)
展望台の中に入ると、
お化けが出てきても不思議でないような暗さだった。

(練習文3)
ぼくは、
まるで、顔の分からない、いく人もの人たちがスクラムを組んで
じっとぼくを見張っているような気味悪さを感じました。

(練習文4)
やさしかったおじいちゃんの写真を見ていると、
まるでおじいちゃんの大き
な声が聞こえてくるような
がしました。
 (被修飾語は「気」だけだとすると、これだと「気」に係る連体修飾語と
なります。また「気がする」という成句用言を受ける連用修飾語と見ること
もできます。)

(練習文5)
まるで、あたたかい日の光をそのままそめつけたような」「見事な」 

(練習文6)
夏がいきなり始まったような」(ほんの軽い間)「暑い」のような読み
方がよいかもね。
(「暑い夏が、いきなり始まったようだ」という判断が潜在しています。)

(練習文7)
お父さんかには、「
遠眼鏡のような」「両方の」をあらん限りのばして、
よくよく見てから言いました。
(両方の目が、遠眼鏡のようだ」という判断が潜在しています。)

(練習文8)
ちょうど窓の中に、一枚のきつねの絵が、ぴたりとはめこまれたような
感じ」です。


    (2)連用修飾語の直喩


連用修飾語が直喩の例文

  花火は、
まるで空に大きな美しい花が咲いたように見えました

解説
(連用修飾語の直喩は、修飾語部分の末尾が連用の形となり、用言に接続し
ます。上の例文では、用言「見えました」について、どのようの見えたか、
「まるで空に大きな美しい花が咲いたように」と、述語用言「見えました」
を限定しています。見え方の様子を詳しく描写し規定しています。
 音声表現のしかたは、連用修飾語部分が被修飾語部分(文末用言)につな
がるように、係っていくように、ひとつながりになるように読んでいきます。
つながりが切れた読み方になってはいけません。
 「まるで」は陳述副詞であり、「ような。ように」と呼応する働きがあり
ます。「まるで」と「ような。ように」とがかなり離れてしまう場合も多く
あるが、そこまでつながる意識を心において、ひとつながりを求める息づか
いで音声表現していくことが重要です。

 次の直喩の音声表現のしかたを考えましょう。声に出して表現よみし
 てみましょう。


(練習文1)
わたしは、ブランコからおりるとき、まるで胸がすうっとからっぽになった
みたいに感じました。

(練習文2)
ほそう道路の上に、つめたいどしゃぶりの雨がちょうどたたきつけられたお
おつぶのひょうみたいに降ってきました。

(練習文3)
空は、ちょうど死んだ魚の目のようにどんよりとくもって、海には、たつま
きがまるでいかりくるった大蛇のようにまきあがった。

(練習文4)
かみなりに打たれたように、テレサの頭の中にカルカッタの町にあふれる貧
しい人たちの姿がうかびあがった。東書5下

(練習文5)
瑞枝は、なつかしいおうちを心いっぱいに思いうかべているようなまなざし
をして言いました。   壷井栄「石うすの歌」 連体と連用ある

(練習文6)
先生は、授業の前に楽しいお話しをしてくれたときのように、目を丸くして
答えた。      坂田寛夫「いたいいたい虫」

(練習文7)
まだ枯れ木のままの、高いけやきのこずえの先も、まるで、息をこらして静
かにしている子どもたちのむれのように、はやふっくらと、春の季節の命は
わきあがっている。

(練習文8)
墓地には、ひがん花が、赤いきれのようにさき続いていました。
                      新美南吉「ごんぎつね」
(練習文9)
そこから、ミシンの音が、たえず速くなったり、おそくなったり、まるで、
何かお話しをしているかのように、聞こえてきます。
                       今西祐行「一つの花」


答え赤色青色に係るように音声表現していく)

(練習文1)
わたしは、ブランコからおりるとき、
まるで胸がすうっとからっぽになった
みたいに
感じました
 (「ブランコからおりるとき」は、トキトコロの連用修飾語す。)

(練習文2)
ほそう道路の上に、つめたいどしゃぶりの雨が
ちょうどたたきつけられたお
おつぶのひょうみたいに
降ってきました
 (「ほそう道路の上に」はトキトコロの連用修飾語で、この後ろ全体に係
るように読む。)

(練習文3)
空は、
ちょうど死んだ魚の目のようにどんよりとくもって)、海には、た
つまきがまるでいかりくるった大蛇のように
まきあがった
 (「ちょうど死んだ魚の目のように」は(「
どんよりと」「くもって」)
全体に係っている。)

(練習文4)
かみなりに打たれたようにテレサの頭の中にカルカッタの町にあふれる
貧しい人たちの姿がうかびあがった。

 (このように連用修飾語は、文頭にくることも多い。「かみなりに打たれ
たように」は直接には「うかびあがった」に係っているが、音声表現では文
章内容から考えて「テレサの頭の中にカルカッタの町にあふれる貧しい人た
ちの姿がうかびあがった」全体に係っているように読む。)

(練習文5)
瑞枝は、
なつかしいおうちを心いっぱいに思いうかべているようなまなざし
をして
言いました。
(「なつかしいおうちを心いっぱいに思いうかべているような」が連体修飾
語部分で「まなざし」を修飾し、それに「をして」がついて連用修飾句にな
っている。このように連体修飾語が連用修飾語になる例は多くある。)

(練習文6)
先生は、
授業の前に楽しいお話しをしてくれたときのように目を丸くして
答えた。

(練習文7)
まだ枯れ木のままの、高いけやきのこずえの先も、
まるで、息をこらして静
かにしている子どもたちのむれのように、
はやふっくらと春の季節の命
はわきあがっている)。

(「まるで、息をこらして静かにしている子どもたちのむれのように」は、
「わきあがっている」だけでなく、「春の季節の命はわきあがっている」と
いう文全体を修飾していると考えて音声表現していくとよい。「はやふっく
らと」も「わきあがっている」に係る連用修飾語です。

(練習文8)
墓地には、ひがん花が、
赤いきれのようにさき続いていました

(練習文9)
そこから、ミシンの音が、たえず速くなったり、おそくなったり、
まるで、
何かお話しをしているかのように
聞こえてきます。


     (3)述語の直喩

述語の直喩の例文
  花火は、
まるで空に大きな美しい花が咲いたようだ。
  ミシンの音が、たえず速くなったり、おそくなったり、
まるで、何かお
  話しをしている
ようだ。

解説
 述語部分そのものが直喩になっている文です。主語「なにが・は」どうか
とい
うと、述語「(まるで)……みたいだ。ようだ。」という文型になっていま
す。
 音声表現のしかたは、「なにが・は」「まるで……みたいだ」と、主部と
述部とを区切りつつも、ひとつながりになるように読みます。上の例文では、
「(花火は)(まるで……ようだ)」の区切り方になります。「まるで……
みたいだ」は、ひとつながりになります。)


    (4)比喩の応用例文


 
「スイミー」(レオ・レオニ作、谷川俊太郎訳)に次のような文章個
 所があります。

 海には、すばらしいものがいっぱいあった。おもしろいものを見るたびに、
スイミーは、だんだん元気をとりもどした。
 にじ色のゼリーのようなくらげ。
 水中ブルドーザーみたいないせえび。
 見たこともない魚たち。見えない糸でひっぱられている。
 ドロップみたいな岩から生えている、こんぶやわかめの林。
 うなぎ。かおを見るころには、しっぽをわすれているほどながい。
 そして、風にゆれるもの色のやしの木みたいないそぎんちゃく。

赤色と青色を付けてみましょう。
 にじ色のゼリーのようなくらげ
 
水中ブルドーザーみたいないせえび
 見たこともない魚たち。見えない糸でひっぱられている。
 
ドロップみたいなから生えている、こんぶやわかめの林。
 うなぎ。かおを見るころには、しっぽをわすれているほどながい。
 そして、
風にゆれるもの色のやしの木みたいないそぎんちゃく

色がつかない個所も、語順変形して、書き換えて見ると、色がつきます。

見えない糸でひっぱられているような見たこともない魚たち
まるでかおを見るころにはしっぽをわすれてしまうようなながいうなぎ

指導のしかた例
「くらげ」は、どんなですか。どのような「くらげ」ですか。「にじ色のゼ
リーのような」ですね。
「にじ色のゼリーのようなくらげ」をまねして、「まるで……のようなくら
げ」の……個所を、自分で創作して作ってみましょう。
 自分で「まるで……のような」「くらげ」「いせえび」「こんぶ」「いそ
ぎんちゃく」「うちのペット名、父さん、母さん、兄さん」などを創作して
みましょう。

次のカッコの中に言葉や文を入れてみましょう。
まるでしゃぼんだまのような(に) (      )
まるで小犬のぬいぐるにのような(に)(     )
まるでわたあめのような (に)(      )
お風呂に入ってる時に大地震が起こったときのように(な)(     )
ライトアップされた東京スカイツリーは、まるで(    )のようだ。
(    )は、まるでゆめみたいにきれいだった。
(    )は、まるでマシュマロみたいだ。
(    )のときは、まるで死ぬかと思った。


「月夜のみみずく」(ジェイン・ヨーレン作、工藤直子訳、光村5下)
次のような文章個所があります。

(1) 木はまるで 大男の銅像みたい
    静かに静かに立っていた

(2) はるか とおく せなかのほうで
    汽車が 汽笛をならしたよ
    長く低く さびしい歌みたい

(3) まきばの犬が 汽笛にあわせて 歌いだす
    あっちでほえて こっちでほえて いつまでも
    汽笛といっしょに 歌ってた
    その歌声の消えたあとほんとに静か
    夢見てるみたい

(4) とうさんは上をみた
    まるで 星をさがしてるみたい
    まるで 空の地図 みてるみたい

(5) 月の光で とうさんの顔は
    銀色のお面を かぶったみたい

(6) 氷の手が せなかをぴたぴた
    なでてるみたい

(7) こんな夜ふけに あのまっくらな
    森のおくには 何かいるみたい

(8) そのときです
    やまびこのように
    へんじが かえってきた
    木にあいだを くぐりぬけて
    「ほう ほう ほ ほ ほ ほう━━━」
    とうさん にこっとした
    そして へんじした
    「ほう ほう ほ ほ ほ ほう━━━」
    まるでね とうさんとみみずくは
    おしゃべりしてるみたいだった
    森のくらしは どうですか とか
    今夜は 月がきれいですね とか
    なんて寒い夜でしょう とかね

(9) とうさんとわたし かげのような みみずくを
    じっと みつめているばかり

(10) もう おしゃべりしてもいいのだけれど
     もう 大声で わらっていいのだけれど
     なんだか どきどきが続いてて
     わたしかげみたいに しんみり歩いた

指導のしかた例
 この文章は散文詩ですが、読解力を高めるために、ごくふつうの通常文章
の形に書き換えさせる指導もいいでしょう。教材本文と書き変え文とは表現
効果の点ではどう違ってくるかを話し合うのも言語感覚を育てるのによい指
導方法です。こうして教材本文のすぐれた表現力・描写力に気づかせます。
 また、書き換え文と、教材本文に赤色と青色とをつけさせましょう。音声
表現のしかたでは、意味内容のひとまとまりの個所で間をあけつつも、赤色
と青色とがひとつながりに読むように意識して音声表現させます。
 「月夜のみみずく」には、語順変形の文型が多くあります。語順変形の文
型とは、通常の語順より文の冒頭に位置する語句があったり、文末に位置し
たりする語句があったりする文型です。これらの語句(文頭に位置したり、
文末に位置したり)は、文章の意味内容がそれら語句が強調されていること
になります。そのことを指導しする必要があります。書き換え文と比較して、
教材本文のどこが、どう強調されているか、どう意味内容が強められている
か、話し合ってみましょう。
 
 下記に(5)までわたしなりの指導例を書いてみました。必ずしも下記の
私の例文のようでなくてもかまいません。他にもいろいろな例文に書けます。

 また、比喩の指導では、何(イ)が、何(ロ)にたとえられているか、二
つを比べて、「(イ)元のもの。たとえられるもの」と、「(ロ)他のもの。
たとえられたもの」とが何であるかを指摘する指導も重要です。

(1) 木はまるで 大男の銅像みたい
    静かに静かに立っていた
「木は、まるで大男みたいに静かに静かに立っていた。」
                   (イ)木。(ロ)大男の銅像

(2) はるか とおく せなかのほうで
    汽車が 汽笛をならしたよ
    長く低く さびしい歌みたい
A「汽車が、はるかとおくせなかのほうで、長く低く、まるでさびしい歌み
  たいに汽笛をならしたよ。」  
B「長く低い汽笛は、さびしい歌みたいだ。」
               (イ)汽車の汽笛。(ロ)さびしい歌

(3) まきばの犬が 汽笛にあわせて 歌いだす
    あっちで、ほえて こっちでほえて いつまでも
    汽笛といっしょに 歌ってた
    その歌声の消えたあとほんとに静か
    夢見てるみたい
A「わたし、まるで夢見てるみたいだ。夢を見てるみたいだわ。夢の中にい
  るみたいだわ。」   
B「わたしはまるで夢見てるような気持ちです。〜感じです。〜心地で
  す。」
(イ)まきばの犬の歌声の消えたあとの静かさの情景の感じ・雰囲気・気分
(ロ)夢見てるような気持ち

(4) とうさんは上をみた
    まるで 星をさがしてるみたい
    まるで 空の地図 みてるみたい
A「とうさんは、まるで星をさがしてるみたい、まるで空の地図をみてるみ
  たいだ。〜です。」
B「とうさんは、まるで星をさがしてるみたいだ。とうさんは、まるで空の
  地図をみてるみたいだ。」
C「とうさんの姿は、まるで星をさがしてるみたいだ。とうさんは、まるで
  星をさがしてるみたいだ。」
(イ)とうさんが上を見てる姿。(ロ)星をさがしてるみたいな姿・様子。
  空の地図みてるみたいな姿・様子。

(5) 月の光で とうさんの顔は
    銀色のお面を かぶったみたい
A「とうさんの顔は、月の光で銀色のお面をかぶったみたいだ。〜です。」
B「月の光で、とうさんの顔は、まるで銀色のお面をかぶったみたいだ。で
  す。」
     (イ)とうさんの顔。(ロ)銀色のお面をかぶった顔みたい。

 連用修飾語比喩か、連体修飾語の比喩か、述語の比喩か、それぞれ下記の
ようになっています。
(1)では、連用修飾語の比喩です。
(2)では、Aは連用修飾語の比喩です。Bは述語の比喩です。
(3)では、Aは述語の比喩です。Bは連体修飾語の比喩です。
(4)では、ABCともに述語の比喩です。
(5)では、ABCともに述語の比喩です。



        
比喩の音声表現のしかた


 次の比喩の練習文は、どのように音声表現すればよいでしょうか。

(練習文1)
木のえだの細かいところにまで、みんな灯がともって、木が明るくぼうっと
かがやいて、まるでそれは、ゆめみてえにきれいなんだそうだが、そうして、
豆太は、「昼間だったら、見てえなあ。」とそっと思ったんだが、ぶるぶる、
夜なんて考えただけでも、おしっこをもらしちまいそうだ。
                    斎藤隆介「モチモチの木」
(答え)
比喩は、「
まるでそれは、ゆめみてえにきれい(だ)」です。それに伝聞の
助動詞「そうだ」が接続しています。この文章全体は区切り方が重要です。
次のような区切り方はどうでしょう。カッコで区切ってみましょう。
(木のえだの細かいところにまで、みんな灯がともって)(木が明るくぼう
っとかがやいて)(
まるでそれは、ゆめみてえにきれいなんだそうだが)
(そうして、豆太は、「昼間だったら、見てえなあ。」とそっと思ったんだ
が)(ぶるぶる)(夜なんて考えただけでも、おしっこをもらしちまいそう
だ。)の区切り方がよいでしょう。(ぶるぶる)は(夜なんて考えただけで
も、ぶるぶるだ。夜のモチモチの木はとっても恐いんだよ)という意味内容
でしょう。豆太は夜のモチモチの木に特別な恐怖心を抱いてるのですね)

(練習文2)
 ある朝、おにが目を覚ますと、すさまじいあらしだった。山々の木は、す
すきがほをふるように、
はげしい風にふきなびき、雨はたきとなって流れ、
がけが音をたててくずれ落ちた。大岩も、まりのようにはずんで落ちていき、
遠い谷間で音を立てた。

(答え)
まず区切ってみましょう。区切り方が重要です。
 (ある朝、おにが目を覚ますと、すさまじいあらしだった)(山々の木は、
すすきがほをふるようにはげしい風にふきなびき)(雨はたきとなって流
れ)(がけが音をたててくずれ落ちた)(大岩も、
まりのようにはずんで落
ちていき
、遠い谷間で音を立てた。)となるのがよいでしょう。これも一つ
の方法です。
比喩は、(木は、
まるですすきがほをふるようにふきなびく)(大岩は、
るでまりのように
はずんで落ちていく。)の二つです。
「たき」は隠喩でしょう。「雨はたきとなって流れ」は「雨の降り方はまる
でたきのようだ」という直喩が潜在しており、「雨の降り方」=「たき」と
なり、「たき」という隠喩が形成されたと考えられます。



     
連体・連用の混合文の音声練習


 次の混合文(連体修飾語、連用修飾語の両方)の音声表現のしかたを考え
ましょう。声に出して表現よみしてみましょう。どこが、どこに係っている
ように音声表現すればよいですか。


(練習文1)
すーっと、ここちよい風が、ぼくのそばをするぬけていった。

(練習文2)
太一は、あらしさえもはね返す屈強な若者になっていたのだ。
                       立松和平「海の命」

(練習文3)
加助が、ひょいと後ろを見ました。ごんはびくっとして、小さくなって立ち
止りました。               新美南吉「ごんぎつね」

(練習文4)
わた毛と黄色の交ざったたんぽぽが、点々のもようになって咲いています。
 あまんきみこ「白いぼうし」

(練習文5)
葉っぱのかさをさした十匹の子ねずみたちは、きらきらしたきれいな目を、
そろってきつつきにむけました。

(練習文6)
ちょっとの間、かたをすぼめてつっ立っていた松井さんは、何を思いついた
のか、急いで車にもどりました。

(練習文7)
風や雨、雪に打たれ、震動にさらされる原爆ドームには、何よりも補強工事
が急がれた。

(練習文8)
よそ行きの着物を着て、こしに手ぬぐいを下げたりした女たちが、表のかま
どで火をたいています。        新美南吉「ごんぎつね」

(練習文9)
エンジンをかけた時、遠くから、元気そうな男の子の声が近づいてきました。

(練習文10)
みなさんの中には、どうせ助からない、死にかけている人を助けようとして
も、そんなことはむだなことだと考える人がいるかもしれません。

(練習文11)
小さなぼうしをつかんで、ため息をついている松井さんの横を、太ったおま
わりさんが、じろじろ見ながら通りすぎました。 
                    あまんきみこ「白いぼうし」

(練習文12)
水色の新しい虫とりあみをかかえた男の子が、エプロンを着けたままのお母
さんの手を、ぐいぐい引っぱってきます。 あまんきみこ「白いぼうし」

(練習文13)
いつもの一本づりで二十ぴきのイサキをはやばやととった太一は、父が死ん
だ辺りの瀬に船を進めた。        立松和平「海の命」

(練習文14)
バタバタ、バタバタと、タイが暴れて尾で甲板を打つ音が、船全体を共鳴さ
せている。               立松和平「海の命」

練習文15)
ゴムの前かけをしめ、長ぐつをはいて、うろこのはりついたうでで、てきぱ
きと魚を切る母、その背中でのけぞって泣いているわたし、そんなすがたを
想像すると、今でもきゅんと胸が痛くなります。

(練習文16)
市民の意見が原爆ドーム保存へと固まったのは、一九六〇年(昭和三十五
年)の春、急性白血病でなくなった一少女の日記がきっかけであった。赤ち
ゃんだったころに原爆の放射線を浴びたその少女は、十数年たって、突然、
被爆が原因とみられる病にたおれたのだった。


答え
(連体修飾語を赤色で、連用修飾語を青色で色付けしています。被連体
 修飾語で受ける語句をひとまとめにしたほうがよい場合はカッコでく
 くっています)


(練習文1)
すーっと、ここちよい風が、ぼくのそばをするぬけていった。
(「すーっと」は、「すりぬける」だけでなく、「すーっと」以下の全体
  に係る連用修飾語です)

(練習文2)
太一は、
あらしさえもはね返す屈強な若者に)なっていたのだ。

(練習文3)
加助が、
ひょいと後ろを見ました。ごんはびくっとして、(小さくなって
ち止りました
)。

(練習文4)
わた毛と)(黄色の交ざったたんぽぽが、)点々のもようになって咲いて
います


(練習文5)
葉っぱのかさをさした十匹の子ねずみたちは、)きらきらしたきれいな
を、)そろってきつつきにむけました)。
(練習文6)
ちょっとの間、かたをすぼめてつっ立っていた松井さんは、)何を思いつ
いたのか、(急いで
車にもどりました)。
(練習文7)
風や雨、雪に打たれ、震動にさらされる原爆ドームには、)何よりも補強
工事が急がれた

(練習文8)
よそ行きの着物を着て、こしに手ぬぐいを下げたりした女たちが、)表の
かまどで火をたいています。

(練習文9)
エンジンをかけた時、遠くから、元気そうな男の子のが)近づいてきま
した。

(練習文10)
みなさんの中には、どうせ助からない、死にかけている人を助けようとして
も、そんなことはむだなことだと
考えるが)いるかもしれません。

(練習文11)
小さなぼうしをつかんで、ため息をついている松井さんのを、)太った
おまわりさんが、)じろじろ見ながら通りすぎました

(練習文12)
水色の新しい虫とりあみをかかえた男の子が、)エプロンを着けたままの
お母さんのを、)ぐいぐい引っぱってきます

(練習文13)
いつもの一本づりで二十ぴきのイサキをはやばやととった太一は、)父が
死んだ辺りの
に)船を進めた。

(練習文14)
【(
バタバタ、バタバタと)(タイが暴れて、尾で甲板を打つ)】が、船
全体を共鳴させている。
 (かっこは、音声表現するときの区切り方の一例です。修飾関係を示して
いるものではありません。修飾関係は、「バタバタと」は「尾で甲板を打
つ」に係る連用修飾語で、「音」以前の全体が「音」に係る連体修飾語句
と考えられます。(バタバタ、バタバタと)は、(タイが暴れて)いる様子
ではなく、「尾で甲板を打つ音」が「バタバタ、バタバタと」でしょう。

(練習文15)
ゴムの前かけをしめ、長ぐつをはいて、うろこのはりついたうでで、てきぱ
きと魚を切る
「母」その背中でのけぞって泣いているわたし」、そんな
がたを想像すると、(今でも、きゅんと胸が痛くなります」)。

(練習文16)
市民の意見が原爆ドーム保存へと固まったは、一九六〇年(昭和三十五
年)の春、急性白血病でなくなった
一少女の日記が」きっかけであった。
赤ちゃんだったころに原爆の放射線を浴びたその少女は」、十数年たって
突然、被爆が原因とみられる病に」たおれたのだった。)
(「市民の意見が原爆ドーム保存へと固まった」は、形式体言「の」に係る
連体修飾語句です。「一九六〇年(昭和三十五年)の春」は、トキトロコの
連用修飾語句です。「急性白血病でなくなった」は、「一少女の日記」に係
る連体修飾語句です。「赤ちゃんだったころに原爆の放射線を浴びた」は
「その少女」に係る連体修飾語部分です。「十数年たって」と「突然」とは、
「病にたおれたのだった」に係る連用修飾語句です。)
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