本稿の目次              2012・09・01記
第15節 オノマトペの音声表現のしかた
  オノマトペとは
  オノマトペの音声練習(その1)をしよう
  オノマトペの音声練習(その2)をしよう
第16節 重ね言葉の音声表現のしかた
  「重ね言葉」とは
  重ね言葉の音声練習(その1)をしよう
  重ね言葉の音声練習(その2)をしよう





  
第15節
  オノマトペの音声表現のしかた

        
  (擬声語、擬音語、擬態語)




 
オノマトペとは

 ものの音や声をまねて写しとった言葉を「擬声語」といいます。音をま
ねた言葉を「擬音語」(ガタン、ゴトンなど)、声をまねた言葉を「擬声
語」(ワンワン、コケコッコーなど)とも言います。
 擬音語は、擬音(演劇で使う似せて作った音、効果音)とまちがわれるこ
とがあるので、擬音語と擬声語、二つを合わせて「擬声語」と呼ぶこともあ
ります。これら二つは、「カタカナ」で表記することになっています。

 (1)新しい靴が、歩くたびに
キュッキュッと音を出します。
    (物音をまねた言葉・擬音語、カタカナ表記)

 (2)にわとりが、
コケコッコーと鳴いている。
    (鳴き声をまねた言葉・擬声語、カタカナ表記)

 もう一つ、「擬態語」があります。擬態語とは、ものの様子や人物の気
持ちを表わした言葉です。擬態語は「ひらがな」で表記することになってい
ます。

 (3)ひょうたんが、
ぶらりぶらりとゆれている。
     (様子を表わした言葉・擬態語、ひらがな表記)

 (4)父親は、ジャイアンツが負けて、
いらいらしている。
     (気持ちを表わした言葉・擬態語、ひらがな表記)

 擬声語か擬態語か、区別のつかない言葉もあります。

 (5)池で、ありが
あっぷあっぷしている。
  (あっぷあっぷと声を出しているのか、水におぼれている様子なのか、
   はっきりしない。)

 (6)屋根から雪が、
どさっと落ちてきた。
  (雪が落ちた音なのか、様子なのか、はっきりしない。)

 このように区別がつかないということから、擬声語、擬音語、擬態語の
三つを合わせて「オノマトペ」「写音語」「声喩」「象徴語」などと呼ぶこ
とがあります。
 文法的には、単独でまたは「と」を伴って副詞(状態副詞)として用いら
れます。「だ」「する」の語尾を伴って、形容動詞やサ変動詞として用いら
れることもあります。

 本稿では、三つをまとめて、その利便性から「オノマトペ」と呼んで、以
下、書いていくことにします。
 これらオノマトペは、具象性、感覚性、臨場性、音楽性、親近性に富む表
現の言葉です。音声表現すると、口当たりのよさ、その読みやすさから、メ
ロディーがついたり、へんに浮き上がってしまったりしがちです。
 オノマトペの言葉そのものがありありと見える、聞こえる、感じとられ
る言葉、その場に居合わせてるような、生き生きした具象性に富む言葉です。
ですから、オノマトペの音声表現は、そのままの素直な読み方で十分な表現
性をもっているので、大げさに目立たせる必要はありません。押さえ気味ぐ
らいでよいと思います。前後の読みの流れとのバランスを大切にして、擬声
語、擬態語だけがへんに浮き上がった、突出した読み方をしないようにしま
す。もちろん、文章内容によっては、オーバーに音声表現する場合も出てき
ます。

 次の練習文のオノマトペを、わざと目立たせる必要はありませんが、はぎ
れよく音声表現してみましょう。



  
オノマトペの音声練習(その1)をしよう



 次の練習文を実際に声に出して表現よみしてみましょう。

(練習文1)電話のベルが、
ジリジリジリと鳴っている。

(練習文2)男の子が
タタタタタと走って、小犬を追いかけている。

(練習文3)うさぎが、
ぴょーんぴょーんとはねている。

(練習文4)重い荷物を、
えっちらおっちらと二階まではこび上げた。

(練習文5)正夫君が物かげからわあっとさけんで飛び出してきた。そし
       て、急に手をつかまれ、
どきっとした。

(練習文6)こわそうな犬が門の前に
どっかと横になっていたり、やしき
      の中を
うろうろしていたり、おそろしくて近づけません。

(練習文7)おじいさんが、おせんべえを
ばりばりと食べて、お茶をがぶ
      
がぶと飲んでいる。

(練習文8)チョコレートがとけて、ズボンのポケット中で
べったりとく
      っついてる。

(練習文9)弟は、お菓子を
ぱくぱく、ぱくぱくと食べている。

(練習文10)
ビシッ、ビシッ、ビリッ、ビリッ、ビリビリビーッ
      氷の割れる音が辺りに鳴りひびく。不気味な音が絶え間なく
       聞こえる。その音におびえて、犬ぞりの犬たちが遠ぼえをす
       る。          高倉健「南極のペンギン」

(練習文11)風が
どうどうとふいて、草はザワザワ、木の葉はカサカサ
      木は
ゴトンゴトンと鳴りました。
                  宮沢賢治「注文の多い料理店」

(練習文12)
りんりんと鳴くのが鈴虫です。ちんころりんと鳴くのが松虫
      です。
ころころと鳴くのがこおろぎです。がちゃがちゃと鳴く
      のがくつわ虫です。



  
オノマトペの音声練習(その2)をしよう



(練習文1)
 人間の歩き方を見ていると、
のっそりのっそり歩く人もいれば、ちょこ
ちょこ
歩く人もいる。つうつうとすべるように歩く人もいれば、ぴょんぴょ
ととびはねるように歩く人もいる。たたたたとせわしなく歩く人もいれば、
タンタ、タンタと調子をつけて歩く人もいる。

(練習文2)
 じいちゃんの工場のやぎっ子の干し草かりが、ノリオの仕事だ。
 青々しげった岸辺の草に、
サクッ、サクッとまたかまを入れだすと、桜の
木につないだやぎっ子が、
ミエエ、ミエエとノリオを呼んだ。
                  いぬいとみこ「川とノリオ」

(練習文3)
 トッコは、
きゅっとくちびるをかみしめて、ゆれるつり橋を見ました。ふ
じづるでできた橋の下には、谷川が
ゴーゴーとしぶきを上げて流れています。
 橋はせまいくせに、ずいぶん長くて、人が歩くと、よくゆれます。おまけ
に、今にもふじづるが切れそうなほど、
ギュッ、ギュッと、きしむのです。
                   長崎源之助「つり橋わたれ」

(練習文4)
 やえもんきかんしゃは、いつもこのごろ、きげんがわるい。
 きいてごらんなさい。ほら、えきにとまっているときでも、こんなふうに
おこっていますよ。
ぷっすん、
 ぷっすん、
 ぷっすん、
 ぷっすん……
」        阿川弘之「きかんしゃやえもん」

【「ぷっすん」は、やえもんの会話文(しゃべりコトバ)とも考えられます
が、ここでは、やえもんが怒っている様子が強く読み手に訴えかける擬態語
でもあるとうけとって、オノマトペとしています】

(練習文5)
 
どっどど どどうど どどうど どどう
 青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんも吹きとばせ
 
どっどど どどうど どどうど どどう
                     宮沢賢治「風の又三郎」

(練習文6)
 木なんか、みんなザラメをかけたようにしもで
ぴかぴかしています。
かた雪かんこ、しみ雪かんこ。
 四郎ととかん子とは、小さな雪ぐつをはいてキックキックキック、野原
に出ました。
 森の中から、
しみ雪しんしん、かた雪かんかん。」
と言いながら、キシリキシリ雪をふんで、白いきつねの子が出てきました。
                     宮沢賢治「雪わたり」

【「かた雪かんこ、しみ雪かんこ。」と「しみ雪しんしん、かた雪かんか
ん。」とがオノマトペであるかどうかは微妙ですが、言葉調子のリズムを
とるためにオノマトペを利用していると解釈して、一応オノマトペに入れて
おきます】



(練習文7)詩                 旧版教出2下

        かいだんを おりる音   とくはら ゆうこ

       おとうさんは、
       
ドン、ドン、ドン。
       おかあさんは、
       
トン、トン、トン。
       おばあさんは、
       
トコトコ。
       かずおは、
       
コットン、コットン。
       めをつぶっていても、
       だれのおとかが、すぐわかる。

       大男が  歩いたら、
       ゴッシン、ゴッシン。
       かみさまが 歩いたら、
       どんな 音が するのだろう。



(練習文8)詩

      かえると 水玉        旧版学図2上

   ドブン、バチャバチャバチャ。
   大きな かえるが、池に とびこみました。
   トプン、パチャパチャパチャ。
   小さな かえるも とびこみました。
   二ひきが およいで いくと、
   すいれんの 上に、きらきら 光る 玉が 見えました。
   「ゲッコ ゲッコ、きれいだな。」
   「ケッコ ケッコ、とって、たからものに しよう。」
   二ひきは、はの 上に あがって、玉を とろうと しました。
   はが、ゆら ゆら ゆらりと ゆれました。
   玉が、ころころ ポチャリと、水の 中に おちました。
   「あっ たいへん。」
   「それ、さがせ。」
   二ひきは、あわてて、とびこみました。
   ドブン、
   トプン。



(練習文9)詩

       「雨つぶ」      あべひろし

  くもはぐんぐん大きくなり、こっちにちかづいてきます。
  ポツン ポワーン
  雨つぶが一つ、川にまるいわをかきました。
  ポツン ポツン ポツン
  ポッ ポッ ポッ
  ポワーン ポワ ポワ ポワワーン
  雨つぶが、つぎからつぎへと川におち、まるいわをかきます。
  ポッ ポッ ポッ ポッ
  ポワン ポワン ポワン
  雨つぶのわとわが、いくつもいくつもかさなって、
  川は雨のわでいっぱいです。



(練習文10)詩

      かもつれっしゃ   有馬敲

    がちゃん がちゃん がちゃん
    がちゃん がちゃん がちゃん
       がちゃああん がちゃああん 

    がったん ごっとん がったん
       ごっとん がったん ごっとん
          がったん ごっとん がったん

    ごっと がった ごっと がった
       ごっと がった ごっと がった
          ごっと がった ごと がた

    がた ごと がた ごと がた ごと 
      がた ごと がた ごと がた ごと
         がた ごと がた こと かた こと

    かた こと かた ことかたこと
      かたことことかたことことかたこと
         かたことことかたことことかたこと

参考資料
  詩「かもつれっしゃ」の児童読み声録音が
  拙著『表現よみ指導のアイデア集』(民衆社、2000)の
  付属CDに収録されています。
  また、本ホームページの第18章「表現よみ授業のアー
  カイブス録音公開」第2節の(ウ)読み声例4、「かも
  つれっしゃ」(有馬たかし)をクリックしてみよう。荒木
  学級児童の読み声を実際に聞くことができます。


特記事項
 西郷竹彦(文芸教育学者)氏の文章の中に、オノマトペについて下記の
ような参考記事がありましたので、紹介します。

 
日本語で猫の声は「ニャーン」と書きますが、ロシア語では「ミャウ」で
す。また鶏の声は前者が「コケコッコー」で後者は「クカレクー」です。こ
れらは、日本とロシアの猫と鶏の声が客観的にちがうことを示しているので
はなく、おなじ猫や鶏の声でも、それぞれの民族の耳(言語感覚の意識とい
ってもいい)が、どのようにとらえたかを示しているものなのです。
 つまり、現実の音や声を描写したといってもそれは、客観的な事象を認識
したとというより、表現主体(主観)が、どのように表象(イメージ)し、
表現したかということなのです。
 風が「ソヨソヨ」と吹くといっても「ゴウ」と音をたてるといっても、そ
れは、現実の風の音の客観的な再現ではなく、それはある人間の主観によっ
て認識され表現されたものであるのです。もしかすると、「ソヨソヨ」は風
の現実的な音の主観的表現というよりも、音もなく静かに吹く風の状態の主
観的表現といえるかもしれないのです。
 多くの研究者が言及するように、擬音(声)語か擬態語か、その区別もさ
だかでないものはいくらでもあるのです。その場その場の感じで、あるとき
は擬音語として扱って、「ソヨソヨ」と片仮名書きにし、またあるときは擬
態語として「そよそよ」と平仮名書きにするということがおこります。
 擬声語、擬態語を厳密に区別するよりも、それらをともに本質において共
通するものとして考え、総称してオノマトペとすることのほうが科学的であ
ると考えます。もっとも、表記の問題は筆者の好みや片仮名、平仮名の字面
からくる形象性のちがいがありますから、その観点で筆者が使い分けること
があっていいと思います。      
  『西郷竹彦文芸著作集 第4巻』(明治図書、1981)137ぺ






  
第16節
  重ね言葉の音声表現のしかた






 
「重ね言葉」とは

 「重ね言葉」とは、同じ言葉を重ねた表現です。同じ言葉を重ねること
で、その言葉の意味を強める効果をねらった表現です。

次の例文の赤字個所が「重ね言葉」です。

(例文1)
「さあ、およぐぞ。」
くじらは、
あおいあおい空のなかを、げんきいっぱいすすんでいきました。
うみのほうへ、むらのほうへ、まちのほうへ。
みんなは、うたをうたいました。空は、
どこまでもどこまでもつづきます。
                なかがわりえこ「くじらぐも」
(例文2)
 それからというもの、たぬきは、
まいばんまいばんやってきて、糸車をま
わすまねをくりかえしました。     岸なみ「たぬきの糸車」
                 


重ね言葉について、谷崎潤一郎(作家)は、『文章読本』(中公文庫)の
中で、次のように書いています。

 『何事も忍ぶに忍ぶ』は、この場合「忍ぶ」の文字を重ねたために果た
して効果が強くなっているかどうか、事実は反対でありまして、重ねたこと
が少しも役立っていないのみか、却って文意を弱めております。……ちょう
ど下手な俳優が騒々しい所作を演ずるのと同じ結果に陥っております。「暗
い暗い気持」「嫌な嫌な予感」なども、「暗い気持」「嫌な予感」で沢山で
あります。こういう風に同じ形容詞を二つ重ねることは、口でしゃべる場合
にはアクセントの働きによって効果を上げることができますけれども、文字
で書いては、大概の場合、重ねたことが感銘を薄くさせるのみであります。
      谷崎純一郎『文章読本』(中公文庫、1975) 182ぺより


 谷崎氏は、重ね言葉について「口でしゃべる場合にはアクセントの働きに
よって効果を上げることができますが、…」と書いています。谷崎氏のい
う「アクセント」とは音声的力点(強調表現)のことでしょう。話し言葉に
おいては確かに音声的力点をおくと、その意味内容が強まります。
 重ね言葉を音声表現すると、読み声にリズムやメロディーがつき、意味内
容が強調されます。音声表現はリズムにのって、テンポよく運ばれなければ
なりません。リズムやテンポは音声表現にとってとても大切なものです。リ
ズムにのると実に気持ちよく読み声が運ばれていくことは体験的にいえるで
しょう。
 しかし、とかくすると、子ども達の重ね言葉の音声表現を聞いていると、
節をつけて歌うような、へんにメロディーをつけた読み方になりがちです。
へんな調子(へんにフシのついた、くりかえしリズム)をつけて、そこだけ
が浮き上がる、オーバーで、嫌味ったらしい読み方になりがちです。
 読み声にへんなくりかえしリズムがつくと、文章内容とかけ離れた読み
方になります。特に子ども達の読み方はそうなりがちです。文章内容と無関
係にへんにメロディーをがついた読み方にしないように注意し、指導しまし
ょう。
 谷崎純一郎さんは、重ね言葉の記述表記を嫌っています。しかし、文章の
記述には、そうした重ね言葉を使用して意味内容を強調する表現のしかたも
当然にあります。谷崎氏は安易な重ね言葉の使用に警告を発しているのでし
ょう。

 重ね言葉を音声表現する場合は、同じ言葉を2回も繰り返して意味内容を
強調しているのですから、さらに追い打ちをかけて読み声で強調する必要は
ないと思います。すんなりと、平らに、淡々と音声表現してよいと思います。
 どうしても強調したい場合は、「重ね言葉」の最初の言葉をさらりと読
み、二番目をほんのちょっと強めに読む、というような変化をつけ方があり
ます。または、二つ全部をさらりと読みながら「暗い(間)暗い(間)気
持」「嫌な(間)嫌な(間)予感」のように心持ちょっとの間をあけて強調
した読み方にする方法もあります。初めを平らに読み、次をちょっとだけ強
めに読む方法もあります。いずれにせよ、へんな調子のつけ過ぎ、誇張のや
り過ぎ、行き過ぎ、オーバーで臭味のある読み方にならないように気をつけ
させます。際立てかげん、前後の読み調子のバランスかげんが大切です。
 書き手(作家)は、同じ言葉を二回も繰り返して書いて、その意味を強
めているのですから、音声表現では更に音楽的メロディーで輪をかけて強調
しなくても、二つをさらりと読んでも強調内容は伝わるはずです。



  
 重ね言葉の音声練習(その1)をしよう



次の練習文を実際に声に出して表現よみしてみましょう。
 (節がついた、歌うような、メロディアスな読み方にならないようにし
ましょう。)


(練習文1)
 のどのおくに生えているせん毛は、鼻や口から入ってきた微生物を、

へ外へ
と押し出す役目をしています。

(練習文2)
 南極探検をはじめて三日目、ようやく目的地の近くまでたどりついた。
ここには
大きな大きな氷山の割れ目があった。

(練習文3)
 秋になると、大人のさけは、いきおいよく川をのぼります。三メートル
ぐらいのたきでものりこえて、
川上へ川上へとすすんでいきます。

(練習文4)
 おみつさんは、初めてわらぐつが売れたので、
うれしくてうれしくて、若
い大工さんをおがみたいような気がしました。  
                杉みき子「わらぐつの中の神様

(練習文5)
 おみつさんは、少しぐらい格好が悪くても、はく人がはきやすいように、
あったかいように、少しでも長持ちするようにと、心をこめて、
しっかりし
っかり
、わらぐつを編んでいきました。
                  杉みき子「わらぐつの中の神様」

(練習文6)
 勉強だって、少しやる気が出てきた。二けたの割り算の宿題を全部やっ
ていったら、
めずらしいめずらしいと先生にほめられた。    
                    加藤多一「五月になれば」

<「めずらしいめずらしい」はカギカッコなしの先生の単発的な会話文と
も考えられます。
 一応、ここでは、書き手が先生のまとまった話しを要約したほめ言葉と
しての重ね言葉として扱っています。>

(練習文7)
 
小さな犬は、入口からそっとぬけ出し、雪の上に小さな小さな足あとを
つけながら、ちょこちょこ走っていきました。

(「ちょこちょこ」は様子の擬態語(副詞)です。重ね言葉とは違います


(練習文8)
 そんなとき、お父さんは、決まってゆみ子を
高い高いするのでした。 
                    今西祐行「一つの花」

<「高い高い」は、両手で赤ちゃんを頭上に何回か押し上げる動作の名づ
けとも考えられます。この場合は「たかいたかい」というあやし動作の普通
名詞となります。
 ここでは、お父さんが「たかーい、たかーい」と言いながら、ゆみ子を頭
上に押し上げてる動作の繰り返し(動詞「たかいたかいする」)と考えて、
重ね言葉と解釈して、問題作成をしています。>



  
 重ね言葉の音声練習(その2)をしよう



(練習文1)
 きつねの体に勇気がわいて、おおかみとたたかった。おお、
たたかったと
も、たたかったとも
。じつに、じつに、いさましかったぜ。
               あまんきみこ「きつねのおきゃくさま」

(練習文2)
 ある日、小ゆびほどの
小さな小さな男の子が生まれました。おじいさん
とおばあさんは大喜びで、その子に「いっすんぼうし」と名前をつけました。
ふたりは、いっすんぼうしを、
だいじにだいじにそだてました。
                    今西祐行「いっすんぼうし」

(練習文3)
「さあ、およぐぞ。」
 くじらは、
あおいあおい空のなかを、げんきいっぱいすすんでいきました。
うみのほうへ、むらのほうへ、まちのほうへ。
みんなは、うたをうたいました。空は、
どこまでもどこまでもつづきます。
                 なかがわりえこ「くじらぐも」

(練習文4)
 
くらいくらい夜が、ふろしきのようなかげをひろげて、野原や森をつみ
にやってきましたが、雪はあまりに白いので、
つつんでもつつんでも、白く
うかび上がりました。          新美南吉「てぶくろを買いに」

(練習文5)
 
小さな町の外れに、小さな歯医者さんがありました。この歯医者さんに、
小さな小さなかん者さんが来ました。それはなんと、一ぴきのねずみでした。
                安房直子「ねずみの作った朝ごはん」

(練習文6)
 そこで、トッコは、山に向かってよびかけました。
「おうい、山びこうっ」
すると、「おうい、山びこうっ」という声が、
いくつもいくつも返ってきま
した。
トッコは、おもしろくなって、
何度も何度もよんでみました。
                    長崎源之助「つり橋わたれ」

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