ここから始めよう音読授業(8)              01・12・23記




第八ステップ・情感豊かに音声表現させるには 




  文章内容を子どもに肉体に届け、触れさせ、響き合わせることです。子
どもの感情を覚醒させ、弾ませることです。そのためには、次の七つの事柄
を指導する必要があります。


     
1)張りのある、響きのある声で読ませる


 たどり読み、ぼそぼそ読み、とつとつ読みから抜け出させることです。張
りのある、響きのある声で読ませます。その声をだすには、文章内容に集中
し、自信をもって声を出していなければできません。元気のある声を出して
読ませることです。子どもたちの声量の衰弱が指摘されて久しいです。


    
(2)会話文は、やりとりの感じをつけさせて


 会話文の読みは、相手とのやりとりの感じをだして読ませます。会話文
も、地の文と同じにずらずらと平らに読むようではいけません。お互いに話
している口調をだして、対話している感じをだして読ませます。
 (3)文章内容を浮き立たせて
 意味内容のまとまりで区切って読み、そこで表現している意味内容がドー
ンと伝わるように、声の表現の仕方に工夫して読むようにさせます。細かな
ことまで丁寧に表現しようとしないで、そこの場面(段落)で一番に表現し
ている事柄を大きく出そうと、文章の線条性に沿った音声化技術を工夫させ
ます。間(ま)、プロミネンス、イントネーション、リズム、テンポ、声の
大小、強調、強弱、声質、句読点の読み方など、こうした音声化技術に工夫
して読ませます。


       
(3)気持ち・感情を高ぶらせて

 
  思いを入れ、テンションを高めようと、意識的に努力させます。文章内
容から受けた反応で気持ち・感情を高ぶらせようと意識的に努力させます。
登場人物の気持ちや場面の様子や雰囲気が声に出るように、たっぷりと肉付
けして声に出そうと努力させます。


   
(4)照れないで、大胆に、楽しんで、声に出させる


  ドーンと、大きく、肉付けして表現しようとさせることです。恥ずかし
がらないで、居直った気持ちで、どうにでもなれ、という気持ちで、大きく
表現してみることです。大げさすぎるくらい、大胆に、オーバーかなと思う
くらいにして声に出させます。気持ちを楽にして、遊び心を楽しんで、余裕
たっぷりに表現させてみましょう。


       
(5)文字を感じさせない読み方で


  読み声から文字が感じ取れるようではいけません。たどたどしい読みで
は、文字だけが浮かんできて、意味内容は伝わってきません。文字を精一杯
に声にしている読み声ではいけません。文字が消え、声が消えて、文章内容
だけが浮き立つような、伝わってくるような読み声でなければいけません。
 また、文字を感じさせない読み方になるには繰り返し声に出して、読み慣
れることが必要です。


      
(6)全体の貫通線をドーンと出して


  文字の一字一字を丁寧にたどって読むのでなく、場面(段落)のまとま
り全体で表現している事柄・雰囲気、意味内容の突出部分をドーンと音声表
現します。場面(段落)全体を貫通している事柄・雰囲気の流れ(貫通線)
を大きく出させて読むようにさせます。


    
(7)説明文は論運びにメリハリをつけさせて


  説明文の音声表現は、論理展開の仕方、「こういうわけだから、こう
だ」という因果関係が声にはっきりと出るように読みます。「こういうわけ
だから、こうなるだ」という論理の運び方や筋道が声に出るように読みま
す。転調するところは、はっきりと調子を変え、新しく論理が展開していく
ことがわかるように読みます。筆者が言いたかったこと、重要なフレーズ
は、強調し、目立たせて読みます。



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