音読授業を創る そのA面とB面と        2011・09・28記




     
上級レベルの読み声とはこうだ




            
はじめに

  上級レベルの読み声とは、どんな読み声でしょうか。
  本稿では、朗読プロたちの上級レベルの読み声はこうだ、については書
きません。そうでなく、小中学生の上級レベルの読み声はこうだ、について
書きます。これについてはいろいろと論じられるでしょうが、ここでは二つ
のことについて書きます。


      
文字を感じさせない読み声である


  児童生徒の読み声を聞いていて、文章内容が聞こえてこなくて、文字の
音読みだけが聞こえてくる読み方があります。「文字を読んでいるな」と感
じさせる読み方、文字読みだけが耳に届いてくる読み方があります。「文字
を読んでいるな」と感じさせる読み方には、たどたどしい読み方、つっかえ
た読み方、文字の一つ一つを拾っている読み方、意味内容の区切りがはっき
りしてない読み方、意味内容がすんなりと声に出ていない読み方、聞いてい
て意味内容がまた十分に理解していないなあと受け取られる読み方などです。
意味内容が表面に出てこない・沈んでいる、読み手の読み声だけが突出して
聞こえてくる読み方です。

 児童の読み声を聞いていて、文字が感じられるようではいけません。文字
に引きずられないことが大切です。文字を声にするのでなく、意味内容を声
にするわけだから、文字は関係がないのです。文字を追うことにせいいっぱ
いで、つかえる、とちる、たどたどしい読み方は、文章に読み慣れてないか
らです。これは、何度も繰り返して読み、読み慣れれば解消できます。

  国語授業で読み慣れる時間をとりましょう。もったいない、無駄な時間
と思ってはいけません。読み慣れは宿題・家庭学習で行われることが多いで
しょうが、学校の授業でもきちんと時間を取って読み慣れる学習をすること
が必要です。全員の一斉音読で、または、ばらばら音読で、微音読や小声読
みで、文章を繰り返して読む楽しみを持たせましょう。
  声に出しての繰り返し読みは、子どもたちは好きです。学級全員による
一斉音読は気軽に楽しく読めて、それに解放感もあり、子ども達は喜びます。
みんなで読めば恐くない、という心境で、そうした繰り返し読みの楽しい雰
囲気を教室内につくります。子どもたちは喜びます。
  読み慣れ学習を繰り返しているうちに、しだいに意味内容が脳裏に浮か
び出るようになります。どこで区切るか、どこでどれぐらいの間をあけるか、
どこまでをひとつながりにして読み進めばよいか、ひとつながりに連続する
語勢やリズムや抑揚をどうつなげていくか、間や緩急変化や強弱変化をどう
つけるか、そうした音声表現のテクニックも自然と分かってくるようになる
ります。
  繰り返し読みをしていくうちに文章の意味世界の中にしだいにはまりこ
むようにもなりましょう。文章の意味世界の中にすっぽりとはまりこんでし
まったら、しめたものです。意味世界の中にとりつかれたような音声表現に
なってきます。すると、音声から文字が消えて、意味世界だけが音声となっ
て表れ出てくるようになってきます。


     
淡々とした軽みのある読み声である


  よく言われます。「文章は書き過ぎはよくない」「芝居はやり過ぎはよ
くない」「オーバーな演技はよくない」と。音声表現も、これと同じです。
読者(観客)におもねるサービス過剰な押しつけがましい音声表現は、嘘っ
ぱちで嫌味な読み方になります。サービス過剰な読み声は、聞き手(観客)
に嫌われます。
  上級レベルの音声表現とは、気張らず、さらりと、あっさりと、淡々と
読んでいて、聞き手(観客)のイメージが豊かにふくらむ読み方です。読み
手の独特なへんな読み癖がそぎ落とされ(消えていて)、素直にすっきりと
表現した、くせのない読み声です。登場人物の感情の起伏や行動の様子のみ
が際立って現出する読み方、事物・対象だけがはっきりと浮かび上がってく
る読み方です。
  ゆったりとゆとりある読み方で、聞いていて場面・状況だけがありあり
と聞こえてくる読み方です。力んだ読み方ではなくて、それでいて、ここと
いう個所ではイメージを突出させ、軽い調子の強調になっている、それ以外
の他個所はイメージのつながりで流して読んでいる読み方です。淡々と音声
表現していて文章内容の情調や情趣がじんわりと伝わってくる読み方です。
ごてごてした読み方でなく、大げさでなく、下品でなく、あいまいでなく、
正確で、気どりなく優雅で、作ってない自然さと素朴さが感じとれる読み方
です。厚化粧でなく薄化粧で、ぎんぎらぎんでなく、さりげない読み方です。
つまり「シンプル イズ ベスト」がいちばんとする読み方です。

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