音読授業を創る そのA面とB面と     07・4・20記
                 



  
詩「いのち」の音読授業をデザインする



●詩「いのち」(小海永二)の掲載教科書……………………………東書6下



            いのち
                小海永二

           花です
           虫です
           からだです

           鳥です
           草です
           こころです

           それらはみんないのちです

           いのちは
           どれも
           ひとつです

           いのちのふるさと
           地球もひとつ
                (以下省略)



         
作者(小海永二)について


  1931年、東京都生まれ。東京大学仏文科卒。詩人、評論家。ミ
ショー、ロルカを中心にフランス現代詩の翻訳や評論、日本近代詩、国語教
育と幅広い活躍を行う。現代詩の鑑賞やアンソロジーの編著も多い。横浜国
立大学名誉教授。
  詩集「軽い時代の暗い歌」「峠」
  評論「近代詩から現代詩へ」「日本戦後詩の展望」
  その他、児童詩集や絵本の編集も多い。


            
教材分析


  第一連に「花です。虫です。からだです。」とあり、第二連に「鳥で
す。草です。こころです。」とあります。これは、花と虫に「からだ」があ
り、鳥と草に「こころ」があるということではないでしょう。花にも虫に
も、鳥にも草にも、すべて生き物の一つ一つに「からだ」があり「こころ」
があるということを言っているのでしょう。
  そして、「からだ」と「こころ」を持っているすべての生き物一つ一つ
に「いのち」があり、その「いのち」はどれにも「ひとつ」しかない、と
言っているのでしょう。
  これらのことを、定型詩としての韻律的な語呂の言い易さから、ごたご
たと書かないで、すっきりした詩的表現に仕上げているのが、この詩だと思
います。
  さらに、次のように書いています。生き物たちの古里である地球もまた
「ひとつ」の「いのち」だと言っています。スマップの歌に「地球は一つの
大きな花だ」という歌があります。地球も大きな一つの「いのち」だと言っ
ているのでしょう。
  花が咲くと虫は花粉の蜜を吸い、花粉を他所へ運びいます。鳥は草をつ
いばみ、鳥の糞は草の肥料となります。地球上の生き物たちは助け合い、支
え合い、共存共栄して「いのち」を輝かせています。その「いのち」はすべ
て個々の生き物たちには「ひとつ。」しかありません。「ひとつ」しか持っ
てないのですから、この「いのち」を大事にしよう、と主張しています。
  最後に、この詩は、「ひとつ」しかないこの「いのち」を大事に育て、
輝かせていこうよ、と主調しています。この詩は、「ひとつ」しかない「い
のち」を輝かせて生きていく大切さ、共存共栄していく大切さを、訴えてい
ます。
  わたしは、この詩からしみじみとした詩的感動の深まりや残響や余韻と
いうものを感じ取れません。どうもアタマの中で理屈をこねまわして書い
た、きれいごとを並べているだけの、言葉の語呂合わせのための詩としか受
け取れないところがあり、残念です。
  だって、草食動物あり、肉食動物あり、弱肉強食の世界です。人間だっ
て動植物を殺して、食べて、生きて、生活しています。


           
音声表現のしかた


  全体的には、ゆっくりと、たっぷりと、はぎれよく、明るい声立てで、
「これこれは、こうです」と断言的に宣言的な言いぶりで音声表現するとよ
いでしょう。

  次は、太字は強く読んで目立たせて読みます。(○、○、○、)はス
タッカートのように区切りの切れ目を軽く入れて、こうして目立つ読み方に
します。お断り、これも一つの音声表現のしかたです。一つの参考例です。

花です(間)虫です(間)からだです(三つ分の間)

鳥です(間)草です(間)こころです(三つ分の間)

それらは【みんな】【い、の、ち、】です。(三つ分の間)

いのちは【ど、れ、も、】【ひ、と、つ、】です(三つ分の間)

いのちの(間)ふるさと(間)【地球も】(間)【ひ、と、つ、】(三つ分
の間)

風が吹き(間)雲の流れる地球のうえに(間)
要らないものなど(間)ありません(三つ分の間)

互いに(間)支えて(間)いるんです(三つ分の間)
見えない(間)手を出し(間)声を(間)出し(三つ分の間)
互いに(間)支えて(間)いるんです(三つ分の間)

どれも(間)ひとつで(間)
どれ【にも】(間)ひとつで(間)
全部が】(間)大事な【い、の、ち、】です。


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