音読授業を創る そのA面とB面と     07・4・20記




 
「めがさめた」の音読授業をデザインする




●詩「めがさめた」(工藤直子)の掲載教科書………………………学図4上



            めがさめた
                   工藤 直子

        どうしたの? 山
        うす緑のようふくが ふるふる ゆれてるよ
        おおい山よ! なに ふるふるしてるの?

        だってね くっくっく

        雪どけみずが ちょろちょろしてさ
        りすは もこもこするしさ
        かえるは ごそごそ のねずみ かさこそ
        みんな めがさめて あちこち うろちょろ
        くっくっく くすぐったくてなあ
        ひゃ もうたまらん!
        あ──っはっはっはっは

        山がわらって 春がきた




         
作者(工藤直子)について 



  詩人、児童文学作家。昭和10年、台湾生まれ。本名・松本直子。お茶
の水女子大学中国文学科卒。博報堂に勤め、女性初のコピーライターとして
活躍するが、昭和40年退職しフリーとなる。ブラジル、フランス日本国内
を放浪する。
  日本児童文学者協会新人賞「てつがくのライオン」
  児童福祉文化賞「のはらうた」
  サンケイ児童出版文化賞「ともだちは海のにおい」
  芸術選奨新人賞「ともだちは海のにおい」



             
教材分析

  

  大胆に自分勝手な意訳をしてみましょう。
  はじめに「どうしたの? 山さーーん。」と問いかけています。呼びか
けています。
  つづけて質問しています。「うす緑の洋服がふるふる揺れているよー
ー。おーーい、山さーーん。なにを、ふるふるしてるのーーー。」と呼びか
けています、問いかけています。
  第一連は、語り手が質問者となって新緑の山さんに向かって大きな声で
呼びかけています。問いかけています。

  第二連と第三連とは、山さんが返事をしています。答えています。
  「だってね。」と言って、すぐ「くっくっく。」と笑い出します。山さ
ん、楽しそうですね。うれしそうですね。「雪どけ水が、ちょろちょろして
さ。りすは、もこもこ。かえるは、ごそごそ。のねずみは、かさこそ。
みーーんな目が覚めて、あちこちが、うろちょろと動き出してさ。くっくっ
くっく。くすぐったいなあーー。ひゃあーー、たまらんよーー。あっ、
はっはっはっは。」と笑い出します、笑い転げています。

  第四連は、第一連の質問者が最後のしめの言葉を言っています。山全体
が春のなって、うす緑の洋服に衣替えして、春風に吹かれてふるふると揺れ
ている。「山さんが、わらって、春が来た。」と歓喜の声をあげています。



           
音声表現のしかた



  「質問する人(語り手)」と「答える人(新緑の山さん)」を決めて、
対話形式による音声表現をさせてみましょう。二人読みで、対話の音声表現
をさせてみよう。
  質問する人は、第一連と第四連を音声表現します。問いかけているよう
に、呼びかけているように音声表現しましょう。
  答える人は、第二連と第三連を音声表現します。山さんは春が来て喜ん
でいます。うれしい気持ちでいっぱいです。体の中から、くすぐったくてた
まらないという、体いっぱいの身体表情をつけて音声表現してみましょう。

  擬態語を上手に使っています。葉っぱが「ゆらゆら」「ひらひら」揺れ
ている、とは書いてありません。「ふるふる」と表現しています。表現のし
かたが新鮮でおもしろいですね。
  笑い声は「げらげら」とか「けらけら」とか「えへへ」とかとは書いて
いません。「くっくっくっく」と表現しています。「もこもこ」「かさこ
そ」「ごそごそ」「うろちょろ」の使い方も新鮮です。
  これら擬態語、擬声語の音声表現のしかたは、余りへんに目立たせた、
強調した読み方にしないほうがよいでしょう。「くっくっくっく。くすぐっ

いよーー。」に結びつく、うれしい気持ちのこもった音声表現にして、それ
に焦点をしぼって、それに合わせた擬態語、擬声語の音声表情にしていくと
よいでしょう。一通りだけではありません。いろいろな読み方を工夫させて
みましょう。

  第三連は、区切り方の音声表現が重要となります。「雪は、ちょろちょ
ろ」「りすは、もこもこ」「かえるは、ごそごそ」「のねずみは、かさこ
そ」「みんなが、うろちょろ」です。一つ一つの区切りをはっきりと音声表
現しましょう。
「ひゃーー、もうーー、たまらん! あーーっはっはっはっは。」は、笑い
転げ方がやや大げさに音声表現するぐらいでよいでしょう。

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