音読授業を創る  そのA面とB面と          03・07・24記



                   
    
「わたしと小鳥とすずと」の音読授業をデザインする



●「わたしと小鳥とすずと」の掲載教科書……………光村3上、大書3上



           
教材化にあたって


  この詩は、金子みすずの詩の中では最も広く知られています。表現され
ている内容は、小学校三年生にも容易に理解できる内容です。
  第一連は「わたしと小鳥」との関係について、第二連は「わたしと鈴」
との関係について書いています。
  第一連は「わたし(人間)は小鳥のように空を飛べないが、逆に小鳥は
わたし(人間)のように地面をはやく走れない」と述べています。
  第二連は「わたし(人間)は鈴のようにきれいな音はでないが、逆に鈴
はわたし(人間)のように歌をうたうことができない」と述べています。
  第三連は、この詩の主題を簡潔に述べています。「みんなみんな違っ
て、それぞれに、みんないい」と述べています。「みんなちがって、みんな
いい」がこの詩のテーマです。
  この詩の指導では、わたしと小鳥、わたしと鈴、どこが違って、どこが
よさなのか、これらをはっきり読みとらせることが大切しょう。
  発展としては、わたしと誰か、誰かと誰か、わたしと事物、事物と事
物、どこが違っていて、どこがよいのか、それぞれのよさを話し合う学習活
動も考えられます。「これは何のようはできないが、何はこれができる」な
どと。
  「誰(A)はこれができるし、誰(B)はあれができる。人間、みんな
違って、みんないい(ところがある)」、または「誰(A)はこれができる
が、これはできない。誰(B)はこれができるが、これはできない。みんな
違って、みんないい。欠点・短所はとんでいけー。」などと。


            
音読の指導計画


  この詩は、対比表現、同じ構文の繰り返しで、ことば調子や口当たりの
よさがあり、音読しやすい詩です。子ども達はリズムの心地よさで、楽し
く、喜んで音読することでしょう。この詩全体を、リズムの調子のよさで、
唇に詩の言葉をころがして遊ばせつつ、楽しんで、繰り返し音読させましょ
う。
  楽しんで詩の言葉をころがし、読み慣れてきたら、次には表面的なこと
ば調子のよさに流されない読み方の指導をします。タンタタタンタン・タタ
タンタンというリズムやメロデーをつけない読み方にします。外在律にふり
まわされない読み方にします。意味内容が要求するリズムに引きずられる音
声表現にして読ませます。
  この詩の一、二連の各構文は、「わたしが……しても……だが、何はわ
たしのように……できない」という一文になっています。一文だからといっ
て、ごく普通にずらずら一文にして、物語文の中の一文を読むように読み下
しては勿論いけません。だからといって「445 445 77……」の外
在律で区切って、リズム調子よく、メロデーをつけて、夢見心地で、意味内
容を留守に、流して、音読してしまってもいけません。
  こうしましょう。各一行はひとつながりに読み、各行末では区切りの間
を十分に開けます。「……しても/……だが/……のように/……ない」の各
行末で十分に間をけます。そして、各行末をやや強めにアクセントを置いて
音声表現しましょう。だが、各行末で十分に間を開けるとは言ってもバラバ
ラに離れて聞こえるようではいけません。ひとつながりの一文ですので、一
文の意味内容がはっきりと声にでるように、つまり、一文の表現意図の思い
が文頭から文末まで繋がるように読み進めていくことです。
  第三連は、ゆっくりと、区切って、「何と、何と、何」の三つのパート
を、はっきりと区切って強調して音読します。「みんなちがって、みんない
い」の、二つの「みんな」に強調のアクセントをおいて、「みーんな」のよ
うに読むとよいでしょう。


             
参考録音


  本ホームページの第18章第2節「詩の表現よみ授業のまとめ読み声」
の「読み声例1・私と小鳥と鈴と」録音を聴取してみよう。荒木学級の児童
の読み声が録音されています。


           
言わでものこと


 島倉千代子(歌手)さんの代表曲のひとつに「人生いろいろ」があります。
 島倉さんが、唄っているじゃありませんか。みんな違って、みんないいと。

         人間、それぞれ、人生いろいろです。
         男も、いろいろです。
         女も、いろいろです。
         喜びも、いろいろです。
         悩みも、いろいろです。
         恋も、いろいろです。
         笑いも、いろいろです。
         涙も、いろいろです。
         笑いと涙の中に希望がいっぱいです。
         今輝いて、今飛び立っていて、
         それぞれに咲き乱れているのです。


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