音読授業を創る  そのA面とB面と    06・1・3記




 詩「どきん」の音読授業をデザインする




●詩「どきん」(谷川俊太郎)の掲載教科書………………………東書3上




             
教材分析


  題名が「どきん」です。「どきん」とは、何かに驚いたときに心臓が
「どきん」したとか「どっきん」したとか言います。こうした使い方が一般
的です。
  そうした使い方でこの詩全体が書かれているかを調べてみると、どうも
そうは読みとれません。全体が一貫したストーリーになっているようには読
みとれません。大きな風船やそうした立像→触る→押す→倒れる→引力→自
転→風→徒歩→振り向く、という順番ですが、どうもストーリーがうまくつ
ながりません。
  この詩は、ストーリー(物語)は二次的またはどうでもよく、行為(動
作、行動、動き)とオノマトペ(擬声語、擬音語、擬態語)との組み合わせ
のおもしろさに主眼があるように思います。上段の「……しようかなあ」に
対して、下段の「つるつる」とか「ゆらゆら」の組み合わせ、それらを声に
出して読む音声表情の楽しさにねらいがあるように思います。
  この詩を目で追いながらも黙読を始めると、いつのまにか、上段は
「……しようかなあ」「……してるう」「こうなった」と、この詩の語り手
になったつもりで声に出して、頭の中のひとりごとを言っている自分に気づ
きます。下段はオノマトペを舌でころがしながら声に出し、あれこれの表情
をつけて読みながら、楽しんで読んでいる自分に気づきます。こうした観点
で、この詩を児童にも指導していきたく思います。


           
音声表現のしかた


  上段は、語り手が頭の中で考えたひとりごとです。「こうしようかな
あ」「こうなってしまったよ」「こうなってるう」と、自分の意志や対象物
の描写が記述されています。
  上段の音声表現は「こうしようかなあ」という自分の意志・つもり・意
図の気持ちをこめて読むようにします。「倒れちゃった」とか「風が吹いて
る」とかは、現象(事実)を誰かに報告・伝達する気持ちをもこめて読むよ
うにします。
  下段のオノマトペは、こう音声表現しなければならないというものはあ
りません。読み手の感性で、好きなように、自由な音声表現でいいと思いま
す。どのように音声表情をつけて読んでもいいのです。おもしろおかしく読
んで、楽しんでいただければいいと思います。いろいろな表情をつけて読ん
で楽しむこと、遊ぶことです。たとえば「ぐらぐら」は、「ぐっらぐっら」
や「ぐらっぐらっ」や「ぐーらぐーら」や「ぐーらっぐーらっ」や「ぐらー
ぐらー」など多様な表情つけができます。


           
参考資料・録音


 本ホームページの第18章第2節「いろいろな読み声変化を試みて楽しも
う」の「授業例1・どきん」録音に耳を傾けてみよう。荒木学級の児童たち
がオノマトペ(擬音語、擬態語)をさまざまに変化させた音声表現にして楽
しんでいる授業風景が録音されています。



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