音読授業を創る そのA面とB面と 04・3・8記 「スーホの白い馬」の音読授業をデザインする ●「スーホの白い馬」(大塚勇三)の掲載教科書………………光村2下 主 題を一つにしぼらない 舞台は、はてしなく広がるモンゴルの大草原です。羊飼いの少年は、白 い子馬を助け、たくましく育てます。白馬は競馬の大会に出て、一等になり ます。殿様は、勝った者は娘のむこにするという約束をしますが、それをほ ごにし、白馬をスーホからむりやりに奪い取ってしまいます。殿様から逃げ 出した白馬に、家来達はいっせいに弓矢をはなちます。白馬はやっとスーホ のもとにたどりつきます。が、白馬は力尽きて死んでしまいます。 あるばん、スーホは白馬の夢を見ます。白馬はスーホに「わたしのほね やかわや、すじや毛をつかって、楽器を作ってください。そうすれば、わた しは、いつまでもあなたのそばにいられますから。」と言います。 白馬の皮で作った馬頭琴の音色にモンゴルの羊飼い達は耳をすまし、一 日の疲れをいやすのでした。こうして白馬は再び羊飼いたちの心に生き続け るのでした。 この物語から、何を読みとらせればよいのでしょうか。テーマは何で しょうか。 この物語は馬頭琴の由来物語ですが、馬頭琴の由来の知識を知ればそれ で終わりというものではありません。白馬のスーホへの報恩物語とも読みと れますが、「恩をかえす話」だけではおかしな道徳教育となり、文学をう すっぺらなものにしてしまうことになります。権力の横暴と民衆の抵抗とも 読みとれますが、この理解も一面的かつ皮相な読み取り方となるでしょう。 人馬哀話とか白馬の悲劇物語とも読みとれますが、この理解もある一面だけ の皮相な読み取りになるでしょう。そのほかのテーマ理解も考えられるで しょう。 テーマはどれか一つにしぼることはできません。一つの文学作品には幾 つかに小テーマ、大テーマが複合して存在しているものだからです。テーマ の受け取りは一人一人の児童の日常体験の違いによって相違するでしょう し、読み深まりの違いによっても相違するでしょうし、年齢(発達段階)の 違いによっても相違してくるものでしょう。 文学作品を読む楽しみは、場面のデティールを、はらはらしながら、ど きどきしながら、びくびくしながら、ほっとしながら、おこりながら、想像 豊かに読み進めていくことにあります。この物語を、子ども達は、年齢の近 さもあり、スーホに親近感や共感や同情をしながら読み進めていくようにす ればよいのです。殿様の横暴さに反発や反感をいだきながら読み進めていく ことは当然でしょう。テーマを一つにしぼるのでなく、場面の展開のデ ティールを想像豊かに思い描き、人物達に同情したり反発したりしながら各 人の思いで読み進めていく授業を組織していくようにします。 好きな場面を選んで音読を 場面の展開のデティールを心ゆくばかりに楽しみ(怒ったり、笑った り、悲しんだり、など)つつ読み進めるには、音読の方法がとても効果的で す。黙読では読み深まりがうすくなります。音声に出すことで感情が呼び起 こされ、情感が音声にのるようになり、場面の状況にひたりきって読み進め ることができるようになります。 全文音読すると時間がかかります。全児童が読む時間はとれません。で すから、印象に残った好きな場面を選んで音読させるようにします。児童 に、この作品で好きな場面はどこか、心ゆくばかりに感じをだして読んでみ たい文章個所はどこかを質問してみましょう。私の経験では、競馬の場面、 傷ついた白馬がス−ホのもとに帰る場面が児童には好まれるようです。 それで、ここでは、これらの場面を取り上げて音読(表現よみ)指導を どう進めていくかについて詳述していくことにします。ここの文章はそんな に理解困難な個所はありません。いろいろと理屈で語り合う学習活動を進め るより、音読(表現よみ)を中心活動にして、声に出して文章内容を読みひ たることを中心に置いて授業展開をしていくようにします。 以下に、その指導方法を詳述していくことにします。 重要語句を粒立てて ●文章範囲 「ある年の春、草原いったいに、知らせがつたわってきました。」から 「とのさまのむすめとけっこんさせるというのでした。」まで。 ●音読指導の重点 「この文章部分でとくに大切な(重要な)言葉はどれですか。特に目立 たせて強調して読んだほうがいい言葉は何ですか。」と発問します。ここの 文章部分での新情報を指摘せるのです。いろいろと出るでしょう。 特に重要だと思う二か所だけを選択するように誘いかけます。多分、 「町でけい馬の大会をひらく」、「一等になったものには、とのさまのむす めとけっこんさせる」が選ばれることでしょう。(これ以外でもかまいませ ん。特に強めに音声表現して強調するフレーズを二ヶ所だけ選択させます。) この段落は全体が淡々と覚めた気持ちでゆっくりめに、アナウンサーの ニュース読みのように相手にただ伝達するだけの音調で読んでいけばいいの ですが、特に選択した二箇所のフレーズはかんでふくめるようにゆっくりと、 強めの音調にして粒立てて音声表現するようにします。 会話文を想像して作る ●文章範囲 「この知らせを聞くと、なかまのひつじかいたちは」から「けい馬のひ らかれる町へむかいました。」まで。 ●音読指導の重点 ここの文章個所も、全体に淡々とゆっくりめに聞き手に伝達するだけの 音読にします。 羊飼いの仲間たちは、スーホに「ぜひ、白馬に乗って、けいばに出てご らん。」と競馬大会への出場をすすめます。仲間たちは、この会話文のほか にどんな言葉をスーホにかけたか・言ったか、と問いかけます。児童達は 「白馬は駆けるのが速いから、必ず一等になる。ぜひ出場してごらん。だい じょうぶ一位だ。」とか「もしかしたら、殿様の娘と結婚できるかよ。」な どと答えるでしょう。こうして羊飼いたちの白馬・スーホにかける期待の強 さを呼び起こします。 「(そこでスーホは、白馬にまたがり、(間をあけて)広々とした草原 をこえて、(間をあけて)けい馬のひらかれる町へむかいました。」のよう に区切り、人物の行動の順序と時間の経過をはっきりと音声であらわしつつ 表現していきます。 追いかけ、たたみかけて ●文章範囲 「けい馬がはじまりました。たくましいわかものたちは、いっせいに」 から「とのさまはさけびました。」まで。 ●音読指導の重点 ここの文章個所は、スポーツの実況放送で、アナウンサーがクライマッ クス場面を放送するような音調で音声表現するとよいでしょう。すごい速さ で駆ける馬達の様子を音声で表現するわけですから、のんびり、ゆったりと はふさわしくありません。児童たちに「のんびり、静かに」と「スピードを 出して、興奮して」のどちらがよいか、と教師が発問します。 児童たちは、自分たちがスーホになったつもりで読んでいくでしょう。 また、「スーホ、がんばれ」と応援する気持ちで読んでいく子もいるでしょ う。スピードを出し、追いかけて、たたみかけて、やや興奮した音調の音声 表現で読んでいくとよいでしょう。 スピードを出すとはいっても、間もとらずに、一気読みや早口読みをさ せてはいけません。句点(まる)ではきちんと間をあけます。間をあける句 点個所の音調は、そこで下がって意味内容が終止してしまう感じにしてはい けません。次の文へ続く感じ、つまりそこの句点個所で音調が下がらず、平 らな音調にしたまま、次の一文へと読み進めていくようにします。こうする と、追いかけ、たたみかける音調になります。スピードのある行動・動作の 音声表現になります。早口読みをするとはいっても、一気に早口読みをずら ずらと続けていくと何を言っているのか分からない読み方になりません。途 中で間をあけつつも、全体が早口読みになっているならば、場面のスピード 感は音声表情に出てきます。 殿様の会話文は、児童二、三人に先ず音読させてみます。「今の読み方 について感想を言います。」、「殿様の読み方について言います。」「音読 の仕方で気づいたことを言います。」というような前置き言葉で発表してく ださい、と問いかけます。「殿様の音調が、ここがよかった」、「殿様の読 み方では、殿様が家来に命令している感じがよく出ていた。」、「殿様のい ばっている様子が声に出ていた、出ていなかった」、「もっと声を大声にし たほうがよかった。」などと発表するようにさせます。 「とのさまはさけびました。」とト書きがあります。「さけびました」 です。叫ぶ音調に注目させて実際の音声表現をさせます。児童たちからでた 「命令口調で」とか「興奮して」とか「大きな声で」とか「威張った感じ で」とかは板書して、学級共通のめあて(音声表現のがんばり目標)にして 実際の音声を繰り返し練習させます。 会話文の音声表現では、まず音読させ、その読み声を手がかり(材料) にして話し合い、こうして解釈深めの話し合いをしていきます。次に、さら なる上手な音声表現を求めて実際の音声表現をさせていきます。 転調の仕方を学ぶ ●文章範囲 「ところが、つれてこられた少年を見ると、」から「やくそくなどは、 知らんふりをして言いました。」まで。 ●音読指導の重点 逆接の接続詞「ところが」の「と」から転調して読み出します。「と」を、強めの声立てにして読み始めていくと、転調の読み出しになります。意味内 容が逆になって接続しています。これまでの意味内容が転換していますか ら、同じ音調で連続させていかないようにします。これまでの読みの音調を 断ち切って、新しい場面を切り開くように音調を変えて読み出していきま す。 ここの文章個所では、期待を裏切られた悲観的な思いをこめて、殿様の 行動の事実をありのままに聞き手に伝えるように音声表現していきます。 児童たちに「この殿様をどう思うか」と発問してみましょう。いろんな 答えが出るでしょう。殿様の裏切りの行為に怒りを持ったり、白けた気分に なったりする意見がでるでしょう。児童たちは、覚めた、異化した気持ちで この地の文を読んでいくことになります。とんでもない殿様だと怒りの気持 ちにもなり、殿様の裏切りの行為・事実を覚めた気持ちで読んでいくことに なるでしょう。 殿様とスーホ、対照的に表現する ●文章範囲 「おまえには、ぎんかを三まいくれてやる。」から「家来たちをひきつ れて、大いばりで帰っていきました。」まで。 ●音読指導の重点 ここには、殿様の会話文二つ、スーホの会話文一つ、あります。会話文 の読み手、スーホの読み手、二人の児童に役割音読をさせます。発表された 読み声について学級全員で共同助言(合評)をします。二人(殿様、スー ホ)の気持ち(権力者としての殿様の横柄な言いぶり、気の強い性格のスー ホの言いぶり)の違いを全員で話し合い、それがはっきりと音声に出ていた かどうかを話し合います。対比的な違いを音声に表現するように指導しま す。 【殿様】権勢の横暴さ。自己中心性。人間差別と蔑視。行動の残忍性と幼児 性。 【スーホ】権力にたちむかう正義感。気の強さ、意志の強さ。家族・隣人・ 家畜への愛。 「(殿様がどなりたてると、)(家来達が、いっせいに、スーホにとび かかりました。)」のように区切って読みます。「いっせいに」は「とびか かる」に係り、「誰が」かというと「家来たちが」ですから、ここは二つの 読点で間をあけないで、一気に読むようにします。 「(スーホは、大ぜいになぐられ、)間をあけて(けとばされて、)間 をあけて(気をうしなったしまいました。)」のように音声表現するとよい でしょう。なぐられた、けとばされた、気をうしなった、三つの残忍な行動 の順序を音声にはっきりと出すためにゆっくりと間を開けて読むようにしま す。 意味内容の区切りを意識して ●文章範囲 「スーホは、友だちにたすけられて、やっとうちまで帰りました。」か ら「白馬はどうなったのでしょう。」まで。 ●音読指導の重点 この段落部分は、意味内容のかたまりで大きく分けると、三つになりま す。スーホが帰宅したこと(一文)、スーホの傷がなおったこと、(三文)、 スーホが白馬を心配していること(三文)の三区分です。 音声表現するとき、この三区分を意識して読みましょう。ひとかたまり はひとつながりの一つのものとして音声表現します。ひとかたまりを、一つ の段落や一つの場面のつもりで、他と区分けして、三つの区分け個所で間を あけ、ひとまとまりはひとつながりにして音声表現します。三つのパートを 区分けして、そこで間をあけて、読み手の眼前に一つずつ置くようなつもり で、眼前に差し出すようなつもりで音声表現していくとうまくいきます。 形容詞、副詞の係り受けを意識して ●文章範囲 「すばらしい馬を手に入れたとのさまは、まったくいい気持ちでし た。」から「とのさまは、白馬にのって、みんなに見せてやることにしまし た。」まで。 ●音読指導の重点 形容詞、副詞、連用修飾語句は何に係っていくかを意識して音声表現し ていくようにしましょう。 「すばらしい」を読んでいるとき、「すばらしい」は何だ、「馬」だ、 という意識をもって「すばらしい馬」とつなげて音声表現していきます。そ うすると意味内容「すばらしい馬」がくっきりと音声に表現されてくるよう になります。 「まったく」を読んでいるとき、「まったく」は何だ、「いい気持ち」 だ、という意識をもって「まったくいい気持ち」とつなげて音声表現してい きます。そうすると、意味内容「まったくいい気持ち」がくっきりと音声に 表現されてくるようになります。 「もう」を読んでいるとき「みんなに見せびらかしたくて」に係ってい くんだ、 「たくさん」を読んでいるとき「みんなに見せびらかしたくて」に係ってい くんだ、 「たくさん」を読んでいるとき「よんで、」に係っていくんだ、 「さいちゅうに」を読んでいるとき「みんなに見せてやる」まで係っていく んだ、 という意識をもって、それらをひとつながりにして音声表現していきます。 そうすると、意味内容がひとまとまりとなって鮮明に音声表現されるよう になります。 行動の順序が目立つように ●文章範囲 「家来たちが、白馬を引いてきました。」から「「それでも、白馬は走 りつづけました。」まで。 ●音読指導の重点 「そのときです。」は、転調して読み出します。「そのとき、何が起 こったか。何だろう。」という期待をもたせる音調にして、「そ」から場面 が転換したことを知らせる強めの音調にして読み出します。「そ」を粒立て、 目立たせて読み出します。 殿様は地面に落ちた、次に白馬は風のように逃げた、次に殿様はどなっ た、次に家来たちが追いかけた、次に弓矢をはなった、次に白馬のせに弓矢 がつきささった。主語の人物の行動が次々に転換します。 こうした人物たちの行動の順序、その動作の順番が音声に目立つように 表現して、一つずつの行動の終了で間をあけ、行動の時間の順序がわかるよ うに音声表現していきます。 「誰(主語)が(は)」を読むときは、前文の文末で間をあけ、誰(主 語)を目立つように読み出し、その主語の文末で終止の音調にして間をあけ ます。次に別の人物はどうした、次に別の人物はどうした、次に別の人物は どうした。一つ一つの主語人物はどうした、だれはどうした、を一区切り に、一つずつの区切り個所で間をあけ終止音調にして、一人一人の行動の順 番と様子がはっきりと音声に出るようにします。 殿様の会話文は、ト書きに「大声でどなりちらしました。」と書いてあ ります。 「早く、あいつをつかまえろ。つかまらないなら、弓でいころしてしま え。」は、「大声でどなりちらした」ように音声表現しなければなりませ ん。 スーホの目や気持ちによりそって ●文章範囲 「そのばんのことです。スーホがねようとしていたとき」から「そし て、つぎの日、白馬はしんでしまいました。」まで。 ●音読指導の重点 読み手はスーホの目や気持ちによりそって音声表現していくことになり ます。スーホや白馬の行動や順序を対象化して目前に置くように、差し出す ように読みつつ、一方では、スーホの目に見えた事柄を、スーホの気持ち (スーホへの愛情と悲しみ)になったように音声表現していくことになりま す。 「ふいに」と「音がしました」の係り受けを強調して、目立たせて音声 表現します。 「(「だれだ。」ときいてもへんじはなく、)間をあけて(カタカタ、 カタカタと、もの音がつづいています。)」のように区切って音声表現しま す。「どうしたんだろう」という不審の気持ちで立ち止まるちょっとした間 をあけて読みます。 おばあさんの会話文「白馬だよ。うちの白馬だよ。」は、「さけび声を あげました」とト書きに書いてあります。「おばあさん」・「さけび声」に 注目して音声表現します。おばあさんの物まね声にしなくてもよいのです が、おばあさんみたいな声で驚いた感じにしてもよいでしょう。 おばあさんの会話文の読み声をいろいろ工夫させ、発表させてみましょ う。前の児童が発表しなかったユニークな音声表現の仕方を工夫して発表さ せましょう。少しぐらいの破綻やとっぴょうしのなさがあってもよいです ら、大胆でユニークな音声表現の仕方を工夫して発表させます。そうしてる と、誰かから上手な音声表現が出現してきます。上手な児童の読み声は、そ の子の口調・言いぶりのあとに全員がついて模倣し、繰り返して練習します。 こうすると、一人一人がおばあさんの気持ちのこもった音声表現ができるよ うになります。 上手な子の音声表現を真似するということは、とても効果的な方法で す。そのことによって(そのことが土台となって)、次に、別な会話文を自 力で音声表現するときには格段にレべルアップした音声表現ができるように 転化していきます。いつまでも低レベルだけにひたっていては上達はのぞめ ません。上手な音声表現を模倣することの重要性を知ってほしいです。 「スーホははねおきて、かけていきました。見ると、」の「見ると、」 は、「スーホは」の主語が省略されています。主語省略文が二つ連続しま す。主語が省略されると、主語があるときと比較して、読み手は主語(スー ホ)の人物の目と気持ちへの入り込み方が強くなります。読み手はスーホの 悲しみの感情に入り込んで、声を落として、ゆっくりと、いたわりの気持ち で音声表現していくようになります。 ここの文章範囲は、全体にゆっくりめに読みます。いくつかの語句を粒 立てて、強調して音声表現して読み進めるとメリハリが出てきます。たとえ ば、「かけていきました」、「本当に」、「何本も」、「たきのように」、 「「ひどいきず」、「大すきなス−ホ」などはやや際立てて強めの音調にし て音声表現するとよいでしょう。 「(走って、走って、走りつづけて、)」は、ひとつながりにやや際立 たせて音声表現するとよいでしょう。 「白馬、ぼくの白馬、しなないでおくれ。」は、スーホは目に涙を浮か べ、くやしさいっぱいで言ったのでしょう。実際には声には出てなく、スー ホの脳中に浮かんだ悲痛な祈りの内言であるというのがほんとうでしょう。 「白馬(よ)。ぼくの(いとしい、だいじな)白馬(よ)。しなないで (ね)おくれ(よ)。」というような語句を挿入したつもりで音声表現する と感じが出るのではないでしょうか。かっこの中は、間をあけて、かっこの 言葉の気持ちをこめて独り言してみましょう。うまくいくかな。一度、これ ら言葉を素読みしてから、そのあと削除(ゼロ)にして音声表現するといい かも。 「よわりはてていました。」、「だんだんほそくなり、」、「きえてい きました。」は、文末にいくほど一音ずつゆっくり間をあけ、声量をしだい に落として消えいるように余韻をもたせて音声表現します。こうした余韻を 持たせる音声表現の仕方は、二年生児童に最初からはできるはずがありませ ん。教師がこれをやってみせます。それを学級全員で模倣します。この音声 表現の仕方が身につくと、次の作品でそうした文章個所に出会うと自然にそ の音声表現の仕方を使って自力で読めるようにようになってきます。最初か ら完成したものを求めなくてもいいのです。が、教えないことには、いつま でたっても児童に身につくはずがありません。 以上、音声表現の仕方についてこまごまと書いてきました。これを教師 用教科書の本文に鉛筆で記号づけで書き込みをして、それから音読(表現よ み)の指導に当たってください。 こうしてみなさんの指導資料に役立てていただけるとうれしいです。記号 づけ、その他の指導については、拙著『表現よみ指導のアイデア集』(民衆 社)を参照してください。二年生の後期(二、三学期)からは簡単な記号づ け指導教えていくとよいでしょう。 関連資料 本ホームページの第18章第1節「文章内容を声にのせようと努力してい る読み声」の「読み声例3・スーホの白い馬」録音を聴取してみよう。 参考資料 馬頭琴の、馬の頭の形をした楽器と、その音色を聴くことができます。 http://www.batoukin.com/main/music/music.htm へのリンク http://www.youtube.com/watch?v=cGn44Q7l2gk&feature=related へのリンク http://www.youtube.com/watch?v=71zGzwKDN1Y&feature=related へのリンク トップページへ戻る |
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