音読授業を創る そのA面とB面と     06・1・5記




「かがみのそばをとおるとき」の
          音読授業をデザインする





●詩「かがみのそばをとおるとき」(北村蔦子)の掲載教科書……大書2下




           かがみの そばを とおる とき

                    きたむら つたこ

         ろうかの かべの おおきな かがみ
         かがみの そばを とおる とき
         ちょっと
         のぞいて みる
         わらって みる
         おこって みる
         すまして みる
         あがりめ さがりめ ねこの め
         それから
         しらんかおして
         とおりすぎる



            
作者について


  1938年、北海道旭川生まれ。
  1960年より沼津市で幼稚園教諭として生活を始める。保育研究会な
どで詩人・小林純一に出会い、幼児のための詩作をはじめる。
青戸かいち主宰「宇宙船」の同人を経て、童謡詩「わたげ」を創刊する。
詩「息子」で、第一回現代少年詩集秀作賞を受賞する。
  日本童謡協会、音楽著作権協会に所属。



             
題名よみ


  はじめに題名「かがみのそばをとおるとき」を板書し、これについて話
し合います。題名についての話し合いだけで、この詩内容のほとんどが出て
くるのではないでしょうか。

  「かがみのそばをとおる」と書いてありますね。ここで頭に浮かんでき
たこと、絵として見えてきたことはどんなことですか、と発問します。
  「かがみのそばをとおる」ですから、この鏡は小さい鏡や手鏡ではなさ
そうです。全身が写るぐらいの大きさの鏡か、半身が写るぐらいの鏡か、胸
から上部が写るぐらいの鏡か、これぐらいの大きさの鏡だろうと想像できま
す。
  こうした大きさの鏡ですから、この鏡は、壁面に備え付けているものと
考えられます。学校での廊下や階段の踊り場などによく備え付けてあること
があります。児童の姿勢矯正用として使われています。各家庭での部屋や廊
下や玄関にも備え付けてあることがあります。家庭においての備え付けの鏡
は、身だしなみ整え用として使われています。

  題名は「かがみのそばをとおるとき」で終わっていますが、「とおっ
て」どうしたというのでしょう。「とおって」どんなことがあったのでしょ
う。いろいろと発表させてみましょう。子ども達からは、いろいろと想像力
に富んだ答えが返ってくるのではないでしょうか。
○身体・顔・頭に何か変なものが付いていないか、調べる。
○頭髪の乱れを直す
○服装の乱れを直す
○顔色が悪くないかを調べる
○姿勢の悪さを調べて、直す
○へんな身振り・動作をまねて、それを見て喜ぶ、遊ぶ
○百面相をまねて、それを見て喜ぶ、遊ぶ
○成人女性は、お化粧を直す
○ここの詩にあるように笑ったり怒ったりすましたりの顔で遊ぶ


           
音声表現のしかた


  第一行目に「ろうかのかべのおおきなかがみ」とあります。この詩の場
合、どんな建物にある廊下の鏡かは分かりませんが、廊下の壁に備え付けて
ある大きな鏡だということは分かります。区切り方は、(ろうかのかべの)
(おおきなかがみ)です。(おおきな)は、目立たせて、声量大にして、強
調して音声表現したほうがよいでしょう。
  第二行目の区切り方は、(かがみのそばを)(とおるとき)です。(と
おる)を、目立たせて、声量大にして、強調して音声表現したほうがよいで
しょう。
  第三行目「ちょっと」は、声を低く、そっと、遠慮や恥かしさの気持ち
をこめて「小さく」音声表現したほうがよいでしょう。
  第四・五・六・七行目は、動作を顔面表情につけて読むとよいでしょ
う。のぞいた動作、わらった動作、おこった動作、すました顔の動作、これ
ら動作の顔面表情が読み声の音声表情にも連動して現われ出てくるようにな
ります。顔面動作をしなくても、そうしたイメージをたっぷりと浮かべて音
声表現することはとても重要です。
  「(のぞいて)(みる)」を読むときは、何かをのぞく動作をしながら
声に出して読むとよいでしょう。
  第八行目「(あがりめ)(さがりめ)(ねこのめ)」を読むときは、こ
のわらべ唄を歌いながらメロディーをつけて、声に出して読みます。
  なぜ、こうした顔面表情や歌を入れて読むかと言うと、そのぶんだけ詩
内容の読み声の音声表情が豊かになるからです、たっぷりしたメリハリづけ
になるからです、この詩の表現内容である滑稽さ、おかしさ、道化たコミカ
ルさが読み声に現れ出てくるからです。
  第九・十・十一行目を読むときは、今までの豊かな音声表情とはうって
変わって、無表情に、冷たく、何事もなかったように、まじめくさった顔面
表情と、音声表情とで、何の変哲もなく、淡々と、無機質に音声表現してい
きます。何事のなかったように、知らんぷりした顔面表情で音声表現してい
きます。
  もうひとつ、この詩全体の音声表現で注意すべきことは、行と行との間
を、たっぷりと間を開けて読むということです。一行内部は、ひとつながり
に、これもゆっくりと読みますが、行と行との間は、三つ分ぐらいの間を
とって読んでいきます。行と行との間で聞き手に「次、どうしたの」という
思わせぶりな期待を込め、思わせて読んでいきます。
  

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