音読授業を創る そのA面とB面と 05・12・23記 詩「ゆきがふる」の音読授業をデザインする ●詩「ゆきがふる」(まど・みちお)の掲載教科書……………なし ゆきがふる まど・みちお ふるふる ふるふる ゆきが ふる ゆきを みあげて たつ ぼくに ふるふる ふるふる ゆきが ふる とつぜん ぼくは のぼってく せかいじゅうから ただ ひとり そらへ そらへと のぼってく ふと きがつくと ゆきが ふる ゆきを みあげて たつ ぼくに ふるふる ふるふる ゆきが ふる 教材化の視点 身体動作をしながら音読させてみましょう。 誰でもが一度や二度は、子どもの時分に、天空から落ちてくる雪の粉を 見上げて観察したことがあるでしょう。子ども達に、降ってくる雪を見上げ た体験を発表させてみましょう。その時、どんな感じがしたかを話させてみ ましょう。 雪の粉が天空から次から次へと落ちてくるのを見上げていると、顔面に 雪の粉が降りかかり、雪片が顔面で溶けてひやりと冷たい皮膚感覚を感じた ことでしょう。雪の粉が目に入り、目が開けていられなくなり、思わず目を つぶってしまったことがあるでしょう。それをこらえて目を開けたままにし ていると、自分の身体が空へ空へとすいこまれていくような感覚を覚えたこ とがあるでしょう。 この上昇飛翔の感覚(錯覚)が「とつぜん ぼくは のぼってく / せかいじゅうから ただ ひとり / そらへ そらへと のぼってく」と いう詩句になってるわけです。更にまた「ゆきを みあげて たつ ぼくに / ふるふる ふるふる ゆきが ふる」という身体感覚の描写表現に なっているわけです。 音声表現のしかた この詩には、 軽快なリズム感があります。音読すると、心地よい響き があります。この心地よい音声の響きやリズムを楽しみ、味わいながら、楽 しく音読授業をしていきましょう。 この詩の韻律は、次のようになっています。 2音、3音、4音、5音で構成されています。 「4 4 3 2」のくりかえしが三回。 「3 4 2 3」のくりかえしが三回。 「4 3 4」が一回。 「3 4 4」が一回。 「2 5 3 2」が一回。 一年生ですから表記は、分かち書きの記述にして与えます。音読では、 分かち書きの区切りで、間を軽く開けて音声表現するのが原則です。 第一行目で言えば「ふるふる / ふるふる / ゆきが / ふる」の ように分かち書き個所で区切って読みます。一年生入門期では分かち書きの 区切りで間を開けて読むのを原則とします。 はじめに、この分かち書きごとの区切りで、全詩文を音声表現させます。 次に、そのほかの区切り方でも音声表現してみよう、と問いかけます。 いろいろな区切り方で読んでもいいことを知らせましょう。間の開け方は、 一様でないころを知らせます。 また、どう区切って読むかで、雪の降り方がかちがってくることにも気 づかせます。 (1)「ふる /ふる /ふる /ふる /ゆきが / ふる」と分かち書きご とに区切って音声表現する方法。 (2)「ふるふる /ふるふる /ゆきが /ふる」と区切って音声表現する 方法。 (3)「ふるふるふるふる / ゆきがふる」と区切って音声表現する方 法。 これら三種類の区切り方での雪の降り方を比べさせてみましょう。 (1)よりは(2)が雪の降り方が次々とさかんに落ちてくる様子の感 じになります。 (2)よりは(3)が雪の降り方が次々とさかんに落ちてくる様子の感 じになります。 (1)は(2)や(3)と比べると、雪の降り方がゆっくりであり、雪 の量も少ない感じがします。 (3)は雪が多にで、次々ととめどなく落ちてくる感じ、雪が灰色 になって多量に一気に落ちてくる感じがします。 ≪注意点≫ 一つ一つの文節の語句を、はぎれよく発音するようにします。いいかげ んな発音でなく、一つ一つの音(おと)をていねいに、はっきりと、おさえ て、しっかりと発音させましょう。特に「ふる」という単語は、目立たせて 強調して発音します。 顔面を天空へ向けて、首を折って顔面を天空と平行にして、雪の一つ一 つを確かめつつ、それでもなお更に、雪の一つ一つを確かめつつ、次々に落 ちてくる切片を凝視しつつ、天空を見上げて降雪の様子を観察しています。 ですから、降雪の様子を凝視している視線のていねいさに饗応させて、それ に音読のていねいさも重ねて、一つ一つの発音を、ていねいに、ていねい に、はぎれよく発音するとようにしましょう。 トップページへ戻る |
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