音読授業を創る  そのA面とB面と       04・2・2記



    
「たぬきの糸車」の音読授業をデザインする


                         
 ●「たぬきの糸車」(岸なみ)の掲載教科書………………光村1下



        
豊かな表象形成に支えられた音声化


 この物語には、たぬきとおかみさんとの心あたたまる交流が描かれていま
す。音読では、豊かなイメージに支えられた音声表現をさせましょう。あり
ありとした場面の様子に支えられた音声表現をさせるようにします。音読す
るには、豊かな表象形成が土台にあります。以下、その指導の手立てを若干
書きましょう。

 山奥の一軒家の様子、家の外観、家の内部、周囲の様子、人里との距離、
訪れる人(動物)など、挿絵を手ががりに、児童たちの体験(絵本、テレ
ビ、写真、まんが、旅行)を拾い上げていろいろと物語世界について想像し
たことを発表させます。

 月のきれいな晩の様子を話し合いましょう。月明かりとしょうじの影、の
ぞいている二つの目玉、おかみさんの動作とまねるたぬきの動作、これらの
位置関係、こうしたことを話し合って、イメージ(場面の様子)をふくらま
せます。今の子ども達は「しょうじ」という実物を知っているのでしょう
か。「しょうじ」は一つのキーワードです。実物を絵や写真で知らせ、やぶ
れた穴から覗く様子を十分にイメージさせなければなりません。

 わなにかかったたぬきは、どんな様子だったでしょうか。泣いていたので
しょうか。何か、おかみさんと話し(許しを乞う)をしたのでしょうか。逃
がしてくれたおかみさんにたぬきはどんな言葉を言ったのでしょうか。なぜ
逃がしたのでしょうか。これら、児童達が想像したことを自由に発表させま
す。

 きこりの仕事は雪が降るとできなくなり村へ帰ること、雪が消えるとまた
山奥の一軒家に戻ってきこりの仕事を始めることをしっかりと把握させま
す。冒頭段落にある山奥の一軒家は、あとに「山おくのこやにもどって」と
書いてあり、冬には空家になる山奥の「小屋」=「一軒家」であることなど
も話し合います。

 おかみさんの会話文「はあて、ふしぎな。どうしたこっちゃ。」の下に付
け足して、詳しく会話文を話しかえさせてみましょう。ほかに、おかみさん
はどんなことを思ったのでしょうか。考えたのでしょうか。ほかに付け加え
て、おかみさんの心理気持ちを詳しくいいかえさせてみましょう。

 上手な手つきで糸を紡いでいるたぬきを、おかみさんはそっとのぞきま
す。のぞいているとき、おかみさんはどんなことを思ったでしょうか。おか
みさんの独り言にして詳しく話しかえさせてみましょう。教師作成のワーク
シート、たぬきの絵の吹き出しに書き入れさせてもいいですね。

 この物語は、動物の報恩話です。たぬきは、つむぎ終わった糸のたばを、
おかみさんがのぞいているのに気づきます。今度はおかみさんが、たぬきを
のぞきます。のぞく立場が逆転しています。たぬきは、おかみさんが糸のた
ばに気づいたことが分かり、安心して、喜びいさんで踊りながらぴょんぴょ
こ、山へ帰ります。ここも、たぬきになったつもりで、たぬきの気持ち・思
いを、たぬきの独り言のようにして詳しく話しかえさせてみましょう。教師
が作成したワークシート、つまり、たぬきの吹き出しに書き入れさせるのも
いいですね。ここの段落の音読は、たぬきのうれしい気持ちになって読むよ
うにしましょう。


         
一年生後期の音読指導の重点


  一年生後期の音読指導で重要なこと、二つだけあげます。「大きな声
で」「ゆっくりと」です。

 「たぬきの糸車」(光村版)は一年生三学期・最後の教材として配当され
ています。単元名は「かみしばいをつくろう」です。さらに「おはなしをえ
にかきましょう。そして、かみしばいのように、えをみ見せながらよみま
しょう。」とも書いてあります。自分達の描いた絵を見せながら、場面の移
り変わりや、人物達の気持ちが聴衆によく伝わるように工夫して、楽しんで
読むようにさせたいものです。ここで、これまでの随所での音読指導が紙芝
居読みで役立ちます。
 一年生のまとめの音読指導です。紙芝居の読み聞かせもあります。相手に
伝わらないような小さな音量ではいけませんね。教室内にびんびんと響くよ
うな声で読ませたいものです。天子のような、澄んだ、歯切れよい、よく通
る声で読ませたいものです。一年生の読み声は、共鳴のきいた、よく通る声
ならば、全員が天子のような声になるはずです。
 ところが、今の子ども達は、蚊の鳴くような、か細い声でしか本を読まな
い、とはよく言われます。この指摘がされてから、ずいぶん時間が経過して
います。「大きな声の出させ方」については、拙著『表現よみのアイデア
集』(民衆社)に詳述しています。ここに繰り返しません。

 次に「ゆっくり読む」について書きます。
 子ども達は上手な読み方とは、つっかえないで読むこと、すらすら読むこ
とだ、と考えているようです。これは、誤りであることを指導します。
 「つっかえないこと」は重要です。一年生後期ともなれば、一字一字読み
・拾い読みをする児童は特別な児童を除いて、いないはずです。子ども達は
国語教科書の文章は通常、暗記するほど繰り返し読んでいます。わたしの担
任した横浜市の児童たちは、教師の指示(宿題など)がなくても、うろ覚え
で暗記できてるぐらいに繰り返し繰り返し読んでいたみたいです。

 一年生後期になっても、むやみやたらにつっかえる読みしかできない児童
(学級)は、繰り返しての読み込み、読み慣れが足りないからだと思われま
す。正規の国語授業内で一斉音読または個人音読する指導機会が全くない
か、殆んどない授業をしているからと思われます。普段の国語授業の中に音
読する機会をたくさん取り入れるようにしましょう。
 国語科は、各教科の基礎基本となる教育です。国語科プロパーで指導すべ
き内容の重要な一つとして「文字(漢字)が読めて、意味内容の連なり、区
切りで切って音読し、文章内容がよく伝わるように十分な声量で読む。」が
あります。これは国語科で指導すべき最低限に必要な指導内容で、他教科で
もすぐ役立つ基礎基本の指導内容です。

 話をもとに戻しましょう。「つっかえない」からそれてしまいましたが
「ゆっくりと読む」についてです。
 子ども達は音読することに楽しさが出てくれば、自分から進んで学校や家
庭で繰り返し声に出して教科書を読むようになります。音読について機会を
捉えてちょっと誉めてみましょう。子どもは好んで音読するようになりま
す。音読が好きになります。理科の時間には理科の教科書を、社会科の時間
には社会の教科書を、声に出させて読ませましょう。声に出して読むのは、
国語の本だけでなくてよいのです。ちょっと誉めると、家庭でも理科や社会
の本を音読するようになります。

 子ども達は上手な音読とは、「つっかえないで、すらすら、早口に読むこ
とだ」と考える子もいるようです。「早口読みは上手な音読でない」という
ことを指導します。
 早口読みは、どうしてもスピードを競うようになりがちで、文章内容を考
えずに、文章内容の論理性や情感性を考えずに、文字ずらの表面だけを音声
に単に変えるだけ、そうした早口読みやずらずら読みの音読になりがちで
す。
 文章の意味内容の区切りで切って、場面の様子や人物の気持ちや筋道(論
理)が音声にのっかるように工夫して、心をこめて、読むように指導しま
す。そうすれば当然に「ゆっくり、たっぷり」と読むようになります。
「ゆっくり、たっぷり」と読みだすと、自然と意味内容が音声に不思議と
のっかるようになります。「ゆっくり、たっぷり」と読むと、自分の思い
(イメージ)がふくらんで、そのふくらみがゆっくり、たっぷりとした音声
になっていきます。自分の思い(イメージ)をふくらませよう、それを音声
にのせようと努力して「つっかえた音読」はいくらあってもよいのです。


           
区切りの間に気を使って


 意味内容が相手に分かりやすく伝わるかどうかは、区切りの間のあけ方に
かかっています。ほかに、抑揚、強調、転調、緩急や高低変化などもありま
すが、分かりやすく伝えるベースとなるものは区切りの間のあけ方です。間
には、論理的な間と、情感性の間とがあり、区切りの間とは論理的な間のこ
とです。

 区切りの間のあけ方に、学校教育でこんな指導方法があるようす。「句点
(まる)では手をパンパンと二回打ち(または首を二回下げる)、読点(て
ん)では手を一回パンと打つ(または首を一回下げる)。その分だけ間をあ
けて切って読む。」という方法です。この方法は間違いです。

 低学年の国語教科書ですと、六、七割わりがた、この方法で間に合うで
しょうが、中学年から高学年、さらに中学校へと文章が複雑になってくる
と、しだいに高度な感性やめりはり付けが要求されてきて、手を打ったり、
首を下げるこの方法では間に合わなくなってきます。

 読点(てん)があっても、続けて読む文章個所もあり、読点が打ってなく
ても区切って読む文章個所もあります。句点(まる)では殆んどが区切りま
すが、句点の間のあけ方は一つ分、二つ分、三つ分、四つ分と長さが多様で
あり、必ずパンパンと二つ分あけるとは限りません。たまに作家が意識して
句点を打ったのか、誤植なのか、分かりませんが、用言止め、体言止、助詞
止めとして句点が打ってある文章を見かけることがあります。こんな文章個
所では区切らずに読んだ方がよい場合もあり、一気に追い込んで読んだ方が
よい句点個所もあります。

 手を打ったり、首を下げる方法では間に合わない例を、「たぬきの糸車」
の中から指摘してみましょう。
 わたしなら、冒頭文章は、「(ある)(月のきれいなばんのこと、)(お
かみさんは、糸車をまわして、)(糸をつむいでいました。)」のように区
切ります。(ある月)と続けてはいけませんね。読点はないが、「ある」の
後で区切ります。「おかみさんは」の次の読点はここで区切って悪いことは
ありませんが、ここで区切ると全体に区切りが多すぎて、くどすぎる感じが
します。

 上に続く文章個所です。わたしなら、「(ふと)(気がつくと、)(やぶ
れしょうじのあなから、)(二つのくりくりした目玉が、こちらを)(のぞ
いています。)」のように区切ります。「ふと」の次に読点はありません
が、《ふと、どうしたの?》という意味で、区切りの間をあけます。「二つ
のくりくりした目玉が」の次の読点で区切って悪いことはありませんが、わ
たしなら、ここで区切らずに「こちらを」まで続け、「こちらを」と「のぞ
いて」のあいだで間をあけます。ここで間をあけて、次への期待・予想・じ
らしを与え、《こちらを、どうしたの? 何と、だれかが、こっちを、のぞ
いているんだよ》という意味から「のぞいて」を粒立て、意識的に強調する
ためです。

  同じく「(おかみさんは、)(おもわずふきだしそうになりました
が、)(だまって)(糸車をまわしていました。)」のように区切ります。
「ふきだしそうになりましたが、」の読点では、三つ分ぐらいたっぷりと間
をあけます。《吹き出しそうになるのをじっと我慢して》「だまって」を
《息をころして、小さい声にして》読み、「だまって」のあとにも少しの間
をとり、こうして「だまって」を強調し、それから「糸車をまわしていまし
た。」と読み進めていきます。

 「(月のあかるいしょうじに、)(糸車をまわすまねをするたぬきのかげ
が)(うつりました。)」と区切って読みます。この文の骨格構造は「障子
に、影が映る。」です。どんな影かというと、「糸車をまわすまねをするた
ぬきの」「かげ」です。「糸車をまわすまねをするたぬきのかげ」の途中で
区切ってはいけません。ひとつながりに読まなければなりません。「影がど
うしたの、映っていたんだよ。」という意味を強調して、「かげが」の次に
読点がありませんが、一呼吸の間をあけます。
  間のあけ方は、読み手によって若干の、または、かなりの相違がありま
す。「読点(てん)で一つ分、句点(まる)で二つ分、あける」というよう
な機械的なものではありません。


           
擬態語、擬声語の読み方


 「キーカラカラ」「キークルクル」の「カラカラ」や「クルクル」は、少
し速めに読んだ方がよいでしょう。そのほうが、カラカラ、クルクルと糸車
が回転する様子が目に浮かぶ音声表現になるでしょう。全体を軽快に読むよ
うにします。

 「二つの目玉も、くるりくるりとまわりました。」の「くるりくるり」
は、「くるりっ、くるりっ」と読んだほうが、これまた回転する様子が音声
にのっかるでしょう。また、一年生が読むにはかわいらしく、目玉の回転す
る様子、動きがあってよいのではないでしょうか。

 「キャーッというさけびごえ」の「キャーッ」は、地の文の中にある擬声
語です。鍵かっこが付いていません。会話文ではありません。地の文ですの
で、驚きの軽い表情はつけてよいですが、臨場性や迫真性などの大げさな表
情づけは必要ないでしょう。「おかみさんはあっとおどろきました。」の
「あっ」も同じです。

 「たぬきは、ぴょこんととび下り、ぴょんぴょこおどりながらかえってい
きましたとさ。」は、これも地の文の中にある擬態語です。「ぴょこん」と
か「ぴょんぴこ」とか、ピー音・ン音の組み合わせ、語感そのものが軽くは
ずむような、動きのある感じをもっている擬態語ですので、大げさな表情づ
けはしなくても、語感そのもので十分に表現性はあります。おかみさんに恩
返しができたたぬきの嬉しくてたまらない、喜びの気持ち(思い)をこめて
読むほうが大切です。もし「ぴょこん」や「ぴょんぴょこ」に表情をつける
としたら、「ぴょこん」のあと、「ぴょんぴょこ」のあとに軽い間をとり、
これらの擬態語の表現性を粒立てるようにしたらどうでしょう。


             
会話文の読み方


 この物語には、三つの会話文が出てきます。いずれも、おかみさんが発話
者です。一年生に会話文の指導をするのによい文例です。
 会話文には、鍵かっこがついていることを指導します。相手に語りかける
会話文と独り言の会話文、二つがあることを指導します。二つには音声表現
の仕方に違いがあることも指導します。これを、ここの三つの会話文で指導
します。
 「かわいそうに。わなになんかかかるんじゃないよ。たぬきじるにされて
しまうで。」これは、おかみさんがたぬきを目前にして、たぬきに向って直
接に語りかけた言葉です。相手に語りかけている会話文です。わなにかかっ
たたぬきを逃がしてやる愛情たっぷりの言葉かけです。おかみさんが糸車を
まわすまねをする、かわいいたぬきでした。おかみさんの気持ちになって、
愛情に満ちた・やさしい語りかけで読む会話文であることを全員で話し合い
ます。そのように実際に音声表現させてみましょう。

 「いたずらもんだが、かわいいな。」は、おかみさんの独り言です。ポツ
リと洩らしたつぶやき言葉です。こうしたことを全員で話し合い、実際の音
声表現させてみましょう。
 「「はあて、ふしぎな。どうしたこっちゃ。」これも、おかみさんの独り
言の会話文です。自分に向って語りかけている会話文、自問自答している会
話文です。「不思議なこともあるものだ。一体、だれがやったんだろう。」
という気持ちをこめて、独り言で音声表現するべきことを全員で話し合いま
す。実際に音声表現させます。「上手ですよ」とほめ、励ましてやり、音読
することに自信を持たせてやります。ほめて、おだてて、うれしがらせて、
文章を音声表現することに楽しみや喜びを与えましょう。きっと、音読する
ことが大好きになると思います。

  
            
参考資料(1)


  井上一郎(神戸大学)さんは、「たぬきの糸車」の民話教材としてどの
ように生かすか、について次のようなことを書いています。参考になるとこ
ろを、以下、三か所、抜書きしてみよう。  
      「小学校 国語教育相談室19」光村教育図書より引用

 「たぬきの糸車」が、一年生の教材として子どもたちや教師に強い支持を
得ているのも、登場人物の温かさや優しさを感じ取るとともに、交流によっ
て人間関係が深まる過程を十分描いてあることに一層の共感を感じ取るから
であろう。
 
 民話は、多様な物語・小説の原型であり、民話教材の学習によって基本的
な物語・小説の構造についての学習を可能にする。「たぬきの糸車」では、
〈二人の人物への語り手の視点〉、〈日常世界にやってくる異界の人物の往
還〉、〈反復を中心とした事件の転換やリズムの面白さを作り出すレトリッ
ク〉など、混融する表現構造の重層に応じて多様な表現課題が可能となろ
う。例えば、〈動物と人間が交流するファンタジー〉の物語としてみれば、
次のような単元構想ができよう。
 第一は「民話の中の狸」というように、活躍する動物に注目した民話集か
ら探して読み、その特徴を活用する方法である。狸は、民話世界に登場する
代表的な動物である。「かちかちやま」や「ぶんぶくちゃがま」にみられる
ように、愛らしくユーモラスである。人物の行動やストーリー展開などの共
通性や差異性を楽しんだり、リポートしたり、など広がりを持たせられよ
う。

 民話は、現在では文字言語として存在する。これを再び音声言語世界に戻
してやる指導が開けよう。再話され続けた民話の語りを生かすことによって
理解教材における表現指導を容易に行うことができる。口承文芸の性質であ
る〈音〉を生かして、音読・群読あるいはストリーテリングを行ったり、紙
芝居や劇などへも発展させやすい。
 「たぬきの糸車」は、『伊豆の民話』(岸なみ編、未来社、1957)、『伊
豆の民話集』(勝呂弘編、長倉書店、1976)などで比較すると、教科書本文
との違いが十分理解できる。なお、民話集などを見ると、たぬきが直接的に
人間に報恩する報恩譚の典型例としての側面が色濃いが、教科書本文の授業
では、おかみさんとたぬきとの交流として読むほうが、現代の子どもにとっ
て意義深いだろう。  



          
 参考資料(2)


 下記は、毎日新聞(2015・3・15)投稿欄「女の気持ち」に掲載されてい
た記事です。

        たぬきの糸車
            東京都江東区 大沢豊子 主婦・41歳

 「『キーカラカラ キーカラカラ キークルクル キークルクル』ふと気
がつくと、やぶれしょうじのあなから、二つのくりくりした目玉がこちらを
のぞいていました」
 小学一年生の教科書に出てくる「たぬきの糸車」のお話の一節だ。「キー
カラカラ キークルクル」のところがなんともかわいらしい。今日も次女が
一生懸命に宿題の音読をしている。このお話を聞くのも、長男、長女、次女
と3度目だ。
 長男が1年生の時は、次女が赤ちゃんだったので、オムツを替えたり、お
っぱいをあげたりで、落ち着いて音読を聞いてあげることができなかった。
心の中で、いつもごめんね、と謝っていた。
 長女の時は、次女も言葉を覚え、意味も分からずまねをするので、「もう、
まねしないでよ」と姉妹でけんかをしながらの、それはにぎやかな音読だっ
た。
 今度はやっと、しみじみと、ゆったりとした気持ちで聞くことができる。
 教科書にはすてきなお話がたくさんあって、中には「くじらぐも」「スイ
ミー」など、自分が小学校の時に読んだなつかしいお話もある。今、5年生
の長女が読んでいる「わらぐつの中の神様」も、心温まるお話だ。
 私にとって12年間も続く「小学校のお母さん」生活も折り返しを過ぎ、ま
だまだ先が長いなあと思うこともあるのだけれど、この音読を聞けるのもあ
と5年なのだと思うと、ちょっとさみしさも感じる。



             
関連資料


  
本ホームぺージの第18章第1節「ゆっくりと、たっぷりと読む指導」
の「指導例2・たぬきの糸車」録音の児童読み声例を聴取してみよう。

 また、第18章第1節「表現よみ講師による児童読み声への助言」の「たぬ
きの糸車」座談録音を聴取してみよう。



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