音読授業を創る  そのA面とB面と     07・4・2記




「ろくべえまってろよ」音読授業をデザインする




●「ろくべえまってろよ」(灰谷健次郎)の掲載教科書……………学図1下



             
作者について


 灰谷健次郎(はいたにけんじろう)(1934年10月31日ー2006年11月23日)
児童文学作家。兵庫県神戸市生まれ。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)学
芸学部卒業。小学校教師を勤める傍ら児童詩誌『きりん』の編集に携わる。
1971年(昭和46年)17年間勤めた小学校教師を退職し、沖縄やアジア各地
を放浪。1974年(昭和49年)『兎の眼』で児童文壇にデビューする。
2006年(平成18年)11月23日、食道ガンのために死去。72歳。
 ◎主な著作
『兎の眼』 『太陽の子』(第1回路傍の石文学賞) 『ひとりぼっちの動
物園』(小学館文学賞) 『我利馬の船出』 『海の図』 『はるかニナイ
・カライ』 『せんせいけらいになれ』 『島で暮らす』 『天の瞳』(新
潮社で刊行されていたが、下記事項により絶版にして朝日新聞社で再発行。
これが縁で系列のテレビ朝日でドラマ化された。)
 ◎加害少年写真に抗議
1997年(平成9年)、神戸連続児童殺傷事件が起きると、新潮社の写真週刊
誌「フォーカス」は、少年法に違反し、当時中学3年生であった加害少年の
写真を公開した。これに対し灰谷は、「加害少年も保護されるべき存在」で
あるとして、「フォーカス」関連記事への抗議のため執筆拒否を宣言する。
同時の灰谷は彼の代表作である大河小説『天の瞳』(後に角川より再発行)
を含む全ての著作の版権を新潮社から引き揚げ、斉藤十一と絶縁した。
 ◎主な政治活動
秘書給与詐欺事件で有罪となった辻本清美議員や狭山女子高生殺害事件で無
期懲役となった服役囚などの支援活動をしていた。社民党の議員らと交友が
深く、しばしば選挙協力を行ったり、ピースポートに加わったりと積極的な
政治活動を行った。      ≪以上、『ウィキペディア』より引用≫



           
音声表現のしかた


           
地の文の音声表現のしかた

拾い読みから文節読みへ
  一年生の後期教材です。子ども達は、もうそろそろ一字一字の拾い読み
から卒業し始めている頃です。
  教科書本文は分かち書きになっています。文節ごとの一目読みをもとに
して文章全体のまとまりを読みとれるようにとの配慮からです。文節ごとの
一字あけのところで一つ一つ間をあけて読むようではいけません。文節ごと
の一目読みを、文全体のひとつながりの内容としてつかんで音声表現するよ
うでなければなりません。
  本教材には、一年生にしてはかなり長いと思われる一文もあります。一
般的にいって、句点(まる)ではきちんと間をあけて読みます。読点(て
ん)では必ずしも間をあけなければならないということはありません。読点
では、間をあけることもあり、あけないこともあります。
  本教材では、一年生ということもあり、一年生初期には読点(てん)ご
とに間をあけてよんでもいいことにします。一年生の初期音読では、読点
(てん)のところで間をあけ、文節ごとの一字あけでひとつながりに読むよ
うに(読めるように)します。
  しかし、文節ごとの拾い読みもなくなり、文全体をひとつながりにすら
すらと読めるようになったら、読点(てん)ごとにきちんと間をあけて読ま
なくともいいことにします。
  このことを、冒頭部分の文章でみてみましょう。

「ろくべえが あなに おちて いるのを、さいしょに 見つけたのは、え
いじくんです。」
「犬の くせに あなに おちるなんて、じっさい まぬけです。」
「あなは、ふかくて、まっくらです。」
「なきごえで ろくべえと いう ことは わかりますが、すがたは 見え
ません。」
「みつおくんが、うちから、かい中でんとうを もって きました。」
「てらすと、上を むいて ないて いる ろくべえが 見えました。」

  読者のみなさん、上の文章を読点(てん)ごとに区切って読んでみま
しょう。
  次に一文内部に読点(てん)が二個ある場合、どちらかをくっつけて、
一つの読点(てん)だけに間をあけて読んでみましょう。
  さらに、読点(てん)ではすべて間をあけないで、一文全体を一気に読
んでみましょう。一気にとはいってみ、早口でということでなく、普通の速
さでということです。
  三つの読み方をしましたが、どの読み方もよい読み方になることが分っ
たでしょう。そして、読点(てん)ごとにていねいに間をあけなくてもよい
ことも分ったでしょう。ていねいに読点(てん)ごとで間をあけるよりも、
一気につなげて読んだ方が意味内容がすんなりと伝わる読み方になることも
分ったでしょう。
  句点(まる)では必ずといってよいほど間をあけて読みます。しかし、
読点(てん)では、間はかなりの自由度があります。読点(てん)の間の取
り方は、その時の読みの調子、リズム、勢い、テンポなどによって区切る予
定のところをつづけたり、区切らない予定のところを間をあけたりと、その
時の調子でいろいろです。

文末を長く伸ばして、はねあげない
「まぬけ。」
と、かんちゃんがいいました。
≪上のような文章の場合、子ども達は引用の助詞「と」を、「トオー」と力
んで、強くはねあげて、伸ばして読みがちです。引用の助詞「と」は、音読
では声に出して読まなくても意味内容が通じる「と」です。それぐらいの位
置しか占めていませんので、力んで、はねあげて、伸ばして読まなくてもい
いのです。ほんの軽く「と」と音声表現していいのです。
  「かんちゃんがいいました。」の「いいました。」を、子ども達はこれ
も「イーマシターー。」と文末を長く伸ばして、はねあげて読みがちです。
長く伸ばして、力んで読む必要はありません。むしろ、はねあげるのでな
く、文末に近づくほど消え入るように下げると読み方になるのが普通です。
  同じくへんな読み音調がみられるのが、文末の「デース」です。「さい
しょに見つけたのは、えいじくんです。」の文末を「「えいじくんデース」
と長く伸ばして、はねあげる読み方をしがちです。これもよく見られる読み
方ですが、よくありません。
  肯定文は文末に近づくつれて声量は下がるのが普通です。質問文
(「……ですか」)などは文末を長く伸ばして、はねあがる読み方になりま
す。しかし、肯定文は文末に近づくほど声はおさえぎみに下がっていき、読
み納まる、終止する読み方になります。「です」の「す」は短く、きれよく
言い納めます。

この物語の地の文の語り方
  「ろくべえまってろよ」の地の文は、語り手が事件・事柄(子ども達の
救出作戦)のありさまを、客観的に、外から、淡々と、紹介しているだけ、
報告しているだけ、傍観者となって語って聞かせているだけの書かれ方(語
り方)になっています。語り手(ナレーター)の感情をこめた語り方にはな
っていません。ですから、子ども達の救出作戦という行動のありさまを客観
的にそのまま前へポンと差し出すだけの音声表現にします。淡々と、冷た
く、気持ちを入れないで、アナウンサーがニュースを読むごとくに音声表現
していくようにします。
  ただし、登場人物の感情が心内語のように地の文の中に短く書かれてい
る次のような文があります。これらは、子ども達の気持ちになって音声表現
していきます。
    こまった。
    こまった。
    どうしよう。
    どうしよう。
    早くたすけてやらないと、ろくべえがしんでしまう。
    名あん。  
    名あん。
    あぶない。
    あぶない。
  これらの地の文は、語り手が救出現場にいあわせて、それに参加してい
る登場人物の言葉として語っています。これらは子ども達に気持ちになって
音声表現していくとよいでしょう。


         
会話文の音声表現のしかた


  この物語の舞台は、大きな穴です。穴の中には、犬(ろくべえ)がいま
す。穴をかこんだ地上には子ども達がいます。この物語は、こうした舞台設
定です。舞台設定の変動はありません。一つの固定しています。
  子どもは、犬が大好きです。学級の子ども達は登場人物たちと同じ気持
ちになって物語を読み進んでいくことでしょう。登場人物たちは、学級児童
達と同じに一年生です。共感をもって読んでいくことでしょう。
  登場人物の子ども達は五人のようです。かんちゃん、みつおくん、えい
じくん、しろうくん、みすずちゃんの五人の名前が書かれています。
  どんな穴であるかは本文に「あなはふかくて、まっくらです。なきごえ
でろくべえということはわかりますが、すがたは見えません。みつおくん
が、うちからかい中でんとうをもってきました。てらすと、上をむいてない
ているろくべえが見えました。」とあります。
  教室内に丸を書いて穴をイメージさせます。その穴を中心に五人の子ど
もを立たせ、動作化をしながら会話文の音声表現をさせるという授業方法も
あります。一人一役を当てて、劇の台詞のように会話文を音声表現させるの
です。

(1)「キョユーン、ワンワン。キョユーン、ワンワン。」
≪ろくべえの鳴き声は、さまざまな鳴き声ができるでしょう。どれがよい、
どれがだめ、ということはないでしょう。子ども達に多様なろくべえの鳴き
声を工夫させましょう。ただし、わすれてならないことは、救助を求めてい
る、あわれな犬の鳴き声であるということです。

(2)かんちゃん「まぬけ。」
≪犬のくせに穴に落ちるなんて、なんちゅうこった。ドジでまぬけな犬
だ。」という気持ちです。ろくべえを軽蔑した、ばかにした、見下げた気持
ちで、声高に言っていると思われます。ただし、本心から「まぬけ」と言っ
ているのではありません。人間の友だちを気遣うように犬に対しても優しく
気遣う気持ちを持っています。≫

(3)えいじくん「ろくべえ、がんばれ。」
≪「大きなこえでさけびました。」と書いてあります。多分、「ろくべー、
がんばれー」と、真っ暗な穴の下にいるろくべえに届けるように大声で叫ん
でいることでしょう。顔を穴の中につっこんで、顔を真っ赤にして叫んでい
るのかもしれません。顔を下に向けて、手でメガホンを作って叫んでいるの
かもしれません。≫

(4)ろくべえ「ワンワン。」
≪「うれしいのか、ろくべえのなきごえはまえより大きくなりました。」と
書いてあります。うれしい気持ちを込めて、一段と大きい声で鳴くようにし
ます。「ワンワン」でも「ワン、ワン」でも「ワーン、ワーン」でも「ワン
ワーン」でも、鳴き方はどうでもよいでしょう。大切なことは、うれしい気
持ちと、前よりも大きい声です。何度か繰り返したほうがうれしい気持ちに
なるような気がするみたいに思うのですがどうなんでしょう。≫

(5)みんな「ろくべえ。がんばれ。」
≪「みんな、口々にいいました。」と書いてあります。五人の子ども達がそ
れぞれ勝手に言ったのです。穴の周りに五人の子どもたちを並ばせて口々に
2回ほど言わせたらどうでしょう。
  穴の中に犬役の一児童を入れ、(3)〜(5)までを一場面として会話
文をつなげて言わせたらどうでしょう。≫

(6)みんなでそうだんをして、おかあさんをひっぱってきました。
≪どんな相談をしたのでしょうか。相談で、どんな言葉が語られたのでしょ
うか。ノートに書かせて発表させたりしてみましょう。相談の具体的場面を
作って、語らせてみましょう。≫

(7)しろうの母「むりよ。」
(8)かんちゃんの母「そうだわ。」
(9)かんちゃん「けち。ぼくが下りていく。」
(10)かんあちゃんの母「ゆるしません、そんなこと。ふかいあなのそ
   こには、ガスがたまっていて、それをすうと、しぬことだってあ
   るんですよ。」
(11)子ども1「どうしよう。」
(12)子ども2「どうしよう。」
(13)こども3「どうしよう。}
(14)子ども4「早くたすけてやらないと、」
(15)子ども5「ろくべえがしんでしまう。」
(16)ナレーター「おかあさんたちは、やっぱりわいわいがやがやい
   いながら、かえってしまいました。」
(17)かんちゃん「けち。」
(18)えいじくん「けち。」
≪しだいに元気をなくしていくろくべえ、救助をすぐあきらめ、無関心な
母親たち。純粋に一生懸命に救助しようとしている子ども達。対照的な人
物たちの行動です。
上の台本を教師が印刷配布をします。(7)〜(17)までを一場面として
配役を決めて役割音読をします。穴の周りの立つだけでも、イメージがわ
き、会話文音読の練習になります。
 ナレーターの言葉と同時に母親達は穴の周りから去ります。
 「三人の「どうしよう。」は、困った動作・首をかしげるなどをしなが
らやるとよいでしょう。子ども1〜5は適当にひとり一回で配役をしま
す。≫

(19)えいじくん「ろくべえ。げん気出しい。どんぐりころころ どん
   ぶりこ おいけにはまって さあたいへん どじょうがでてきて
   こんにちは」
(20)かんちゃん「もっとけいきのええうたを うたわなあかん。
   おもちゃのチャチャチャ おもちゃのチャチャチャ チャチャ 
   おもちゃの チャチャチャ」

(21)五人みんな「そらにきらきら おほしさま みんなすやすや
   ねむるころ おもちゃは はこをとびだして おどるおもちゃの
   チャチャチャ」
≪(18)は、元気なく、ややさみしそうに歌う。(19)は、景気よく、元気
いっぱいに歌う。五人みんなも元気いっぱいに歌う。
  ここも一場面です。相手の話し終わりと、それをつなぐ次の話し手の出
だしのタイミングや間や勢いが大事となります。歌の出だしの歌詞は上記の
ようでなくてもちっともかまいません。≫

(22)かんちゃん「そや。みすずちゃんとこのクッキーを、かごの中に入れ
   て下ろしたら……。」
(23)五人いっしょ「なるほど。名あん。名あん。」
(24)みすずちゃん「クッキーをつれてくる。」
≪ここも、一場面です。「そや。」は、突然の、すっとんきょうな声、はり
あげた声です。自信たっぷりな気持ちで言います。≫


(25)ナレーター「クッキーをかごに入れて、あなの中に下ろしはじめまし
   た。」
(26)五人いっしょ「そろり、そろり。  そろり、そろり。 
          そろり、そろり。  そろり、そろり。」
(27)ナレーター「ぐらっ。」
(28)五人いっしょ「あぶない、あぶない。」
(29)ナレーター「かごが、やっとろくべえのところにつきました。」
(30)みすずちゃん「あれえ。」
(31)ナレーター「クッキーがかごからとびだしました。ろくべえとじゃ
   れあっています。」
(32)かんちゃん「まぬけ。」
(33)しろうくん「ちぇっ。」
(34)五人、口々に「どうしよう。」
(35)みすずちゃん「あれえ。」
(36)ナレーター「クッキーが、また、かごの中へはいりました。クッ
   キーをおいかけていたろくべえも、かごの中にとびのりました。」
(37)五人いっしょ「そら、いまだ。
          そろり、そろり。  そろり、そろり。
          そろり、そろり。  そろり、そろり。
          そろり、そろり。  そろり、そろり。
(38)五人口々に「わあーい、せいこうだあ、大せいこうだあ。わーい。
   わーい。」
≪ここも一場面です。動作化しながら会話文を言わせたらどうでしょう。
  
 「そろり、そろり。」は、五人に一本の綱を持たせて、ゆっくりと、静
かに、そうっと、息だけの声のような、ささやき声にして、五人の呼吸を合
わせて、同じリズムで言わせます。「そろり」の「ろ」を伸ばして、「そ
ろーーり」のように言わせると感じが出るでしょう。とても痛いところを触
ろうとしているみたいに、そうっと、そうっと、しずかーに、しずかーに、
です。
 「ぐらっ。」は、突然の、強い、高めの声で言います。
 「あっ。」は、やや声高に、一斉にそろえて言います。
 「あぶない。あぶない。」は、ほっとした気持ちで、息だけのささやき
声で、五人揃って、同じリズムで言います。
  ナレーターの(25)と(31)は、アナウンサーが実況放送しているみた
いに淡々と、冷たく、報告するだけです。(36)は、ナレーターも喜んで、
気持ちを高ぶらせて報告している読み方でよいでしょう。
  「あれえ。」は、とつぜんに気づいて、目にして、すっとんきょうな声
を出して言います。(34)のほうが(30)よりもさらに、さらに大きい声を
はりあげて言います。
 「まぬけ。」は、おこって、しかりつけて、言います。
 「ちぇっ。」は、がっかりして、気落ちして、言います。
 「どうしよう。」は、困った気持ちで言います。
 (37)の「そろり、そろり。」は、(26)と同じ言いぶり・リズムにし
    て言います。
 (38)は、喜びいっぱいの気持ちを全身にあらわして、声高に言いま
    す。≫


            
参考資料


  「ろくべえまってろよ」は、長期の定番教材です。実践報告もたくさん
あります。ここでは、この作品の主題、思想について述べている渡辺庄司
(執筆当時・都世田谷区桜町小)先生の文章を紹介します。以下、引用を開
始します。

この作品の主題・思想
 
 「ろくべえ まってろよ」という題名は、子ども達の呼びかけのことば
です。犬のくせに穴に落ちたろくべえを、子ども達は「まぬけ」とののしっ
ているものの、続いて「がんばれ」と励ましながら必死の救出作戦を展開し
ます。子ども達にとっては、犬も自分達の仲間なのです。犬も人間も差別な
く大事な存在で、そのしくじりや悲しみもひとごとと思えないのです。
  子ども達の、犬も人間も差別なく大事の思うやさしさ、そこからくる仲
間意識をもってねばり強く救出にとり組むけなげさ、その純粋な気持ちの美
しさがこの作品の主題でしょう。
  作者は「子どもの優しさの特質は、すべての命を平等に見るところから
生まれてきます。『生存するものはすべて平等である』ということばをその
まま生活の中で実践しているのが子どもです。」(『作品は語る』教育出版
 )と言っています。この作者のほとんどの作品が、ここに引用した「子ど
もの優しさ=すべての命を平等に見る」ことのすばらしさを、地動説的な認
識の広がりや深まりによる変革(成長のモニュメント)からとらえるのでな
く、本来もっているすばらしさを発見するかたちで描いているのです。
  穴に落ちたろくべえを救おうとしても自分たちの力では無理だと思った
子ども達は、お母さんたちを引っぱってきます。しかし、常識的な意見を言
うだけで手がつけられません。能書きと説教だけ言い置いて行ってしまった
ので、そのあと通りかかった「ひまそうな人」に頼んでみます。すると、そ
の人も「犬でよかったなあ。人間やったら、えらいこっちゃ。」」とあっさ
り見捨てて行ってしまいます。こうした常識や利己心によって行動する大人
たちに、子ども達は同調できません。自分たちだけで真っ向からとり組んで
いきます。

   もう、だれも、あてにできません。みんな、口をきゅっとむすん
  で、頭が痛くなるほど考えました。

  「そや。」とつぜん、かんちゃんが大声を出しました。
  「みすずちゃんとこのクッキーを、かごの中に入れて、下ろした
  ら……」
   なるほどと、みんなは思いました。

こうして、子どもらしい発送が生まれ、大人も及ばないような救出活動が進
められ、ついに成功するのです。
 この部分に、もっとも鮮明に主題が露出しています。


    田近ほか編『国語2年の授業』(あゆみ出版。1988刊)より引用


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