音読授業を創る  そのA面とB面と      07・12・26記




 「おにごっこ」の音読授業をデザインする




●「おにごっこ」(わく ようぞう)の掲載教科書…………………学図1下




             
教材分析


題名よみ

  題名は「おにごっこ」です。子ども達は、ふだんいつもおにごっこをし
て遊んでいます。題名よみで、おにごっこをした経験を自由に話させるのも
よいでしょう。また、運動場に出て、おにごっこ遊びをするのもよいでしょ
う。
  子ども達は題名を読んで、「あ、いつもやっている遊びだ。どれどれ、
どんなことが書いてあるのだろう」と内容へ興味を示すことでしょう。
  「おにごっこ」遊びと言えば、「手つなぎおに」遊びが思い浮かびま
す。「おにごっこ」イコール「手つなぎおに」という考えもあるほど、この
二つは直接に結びつくのではないでしょうか。
  しかし、教科書には「手つなぎおに」のほかに「かくれんぼ」「かげふ
み」のことも書かれています。ここでは、「おにごっこ」とは、おにが出て
くる遊びのこと、つまり「おにあそび」のことを言ってるのだと分かりま
す。
  「ごっこあそび」は、小さい子ども達の遊びです。「ごっこ」のつく遊
びには、「おにごっこ」のほかに「でんしゃごっこ」「プロレスごっこ」
「ちゃんばらごっこ」などがあります。「ごっこ」とは、物事のまねをして
遊ぶ、子ども達の模倣遊びのことです。


前書き
  「おにごっこ」を説明する導入としての前書きの文章部分です。
  冒頭に「あなたは、おにごっこをしたことがあるでしょう。」と書いて
あります。読者(読み手)にまず「おにごっこ」をしたことがあるでしょ
う」と問いかけ、「もちろん、あるよ。これこれの遊びをしているよ。それ
の何の話をしたいの」という話材への興味関心を抱かせるこにくらしい仕掛
けをつくって、読者(読み手)を文章世界へ引きずり込んでいます。こうし
た記述は、説明文の前書き文体の常套手段で、よく見られる誘いかけの文章
です。
  「おにごっこは、おにになった人が、ほかの人をおいかけたりさがした
りするあそびです。」と書いてあります。ここでは、「おいかける遊び」は
「手つなぎおに」「かげふみ」です。「さがすあそび」は「かくれんぼ」で
す。この対応を承知しながら読解し音声表現しなければなりません。
  前書きの終わりに「おにごっこには、いろいろなあそびかたがありま
す。」と書いてあります。おにあそびの一つ一つには、それぞれに違った遊
び方がある、ということです。ここでは、一つ一つの遊びには、一つ一つ遊
び方がある、ということを理解させておけばよいでしょう。以下の本文でそ
れぞれの遊び方について書いてあります。


本文
  一つ一つの「おにごっこ」遊びがどんな遊び方か、について書いてあり
ます。
  「かげふみ」→「かくれんぼ」→「手つなぎおに」の順序で書いてあり
ます。一年生向きの文章ですから、ごく簡単に、要点のみを、要領よく書い
てあります。
  「かくれんぼ」と「手つなぎおに」には、説明に順序を示す言葉「ま
ず、はじめに、つぎに、そして、さいご」などを使って書いてあります。読
解指導時には、これら順序を示す言葉をおさえて読み解く技術を指導するこ
とが大切です。
  これら遊びの順序は、書かれている順番に、順序を示す言葉と、一つ一
つの文章内容をおさえて(対応させて)、その順番の実演(動作化)をしな
がら理解させると分かりやすく指導できるでしょう。
  本教材の読解が終了したら、教科書を閉じさせて、一つ一つの遊びにつ
いて、どんな順序で遊ぶか、遊びの順番を話させたりするのもよいでしょ
う。また、ほかの遊び(はないちもんめ、だるまさんがころんだ、など)の
やり方を順番に話させるのもよいでしょう。学級全員による共同作文を作る
のもよいでしょう。

まとめ
  おにごっこは、昔からの遊びです。あなたの父や母、祖父や祖母も、子
どもの時には鬼ごっこ遊びをしてきました。家庭内でどんな遊びをしたかを
父母・祖父母にインタヴーして語り合う団欒の機会をもったり、それを学校
に持ち寄って語り
合ったりするのもよいでしょう。


           
音声表現のしかた


  一年生の音声表現の一般的な指導事項については、本HP「各学年の音
読指導をデザインする」にある一年生の他教材文の個所、また本HP[表現
よみの授業入門」などの書いてあります。トップページから入ってそれら記
事をお読み下さい。
  ここでは、一年生の説明文音読で指導ですべき区切りの間についてのみ
書くことにします。
  一年生後期の時期になると、すらすら読み・ずらずら読みはけっこう早
口でできてるようになっています。しかし、ただのすらすら・ずらずら・早
口読みではいけません。筆者が読者(聞き手、聴衆)に向かって伝えようと
している意味内容が音声に表出されて、相手に分かりやすく伝わらなければ
よい音声表現とはなりません。読者(聞き手、聴衆)に分かりやすく伝わる
語り方の工夫、読み方の工夫をしながら音読する指導が必要となります。
  それには文章の意味内容のまとまりで区切って、意味のまとまりのに切
れ続きに気を使って音声表現することが重要となります。
  この時期の一年生の説明文音読の重点目標の一つは、「すらすら、ずら
ずら読み」から「意味内容の区切りで切って読む」へ移す指導の時期となり
ます。

音声表現の一つのやり方例

 ◎次の(   )の中はひとつながりに、ひとまとまりに、つづけて読み
  ます。
 ◎(   )と(   )とのあいだは、はっきりとした間をあけて読み
  ます。
 ◎句点(まる)個所では、十分な間をあけて読みます。
 ◎読点(てん)個所では、意味内容のつながり具合によって、間をあけた
  り、あけないでつづけて読んだりします。
 ◎下記のしるし「・」は、ほんの軽く間をあけるか、または間をあけない
  で読んでもよい。わたし(荒木)だったら、「・」個所では間をあけま
  せん。

前書き個所の音声表現のしかた
(あなたは、)(おにごっこをしたことがあるでしょう。)
(おにごっこは、)(おにになった人が、)(ほかの人をおいかけたり・さ
がしたりする・あそびです。)
(おにごっこには、)(いろいろなあそびかたがあります。)

かげふみ個所の音声表現のしかた
(かげふみは、)(おにが)(にげる人のかげをふもうとして・おいかける
あそびです。)
(おににかげをふまれると、)(その人が・おにに・なります。)
(かげふみは、)(かげが・じめんにはっきりうつる・天気のよい日にする
あそびです。)

かくれんぼ個所の音声表現のしかた
(かくれんぼは、)(おにが、)(かくれた人をさがす・あそびです。)
(まず、)(おにが目をつぶり・かずをかぞえます。)
(そのあいだにほかの人は・かくれます。)
(つぎに)(おにが・かくれた人をさがしにいきます。)
(みんなが見つかったら、)(はじめに見つかった人が・つぎの・おにに・
なります。)

手つなぎおに個所の音声表現のしかた
(手つなぎおには、)(おにが手をつないで、)(にげる人をおいかけるあ
そびです。)
(はじめに、)(ふたりのおにをきめます。)
(つぎに、)(おには手をつないで・ほかの人をおいかけます。)
(そして、)(おににつかまった人は・つぎつぎに手をつないで)(ほかの
人をおいかけます。)
(さいごの人がつかまったら、)(また・あたらしくおにを・きめます。)

まとめ個所の音声表現のしかた
(おにごっこは、)(おとうさんやおかあさん、)(おじいさんやおばあさ
んも・してきたあそびです。)
(あなたは、)(どんなおにごっこをしていますか。)

その他で留意すべき音声表現のしかた
かくれんぼ個所の
    「まず」の「ま」、
    「つぎに」の「つ」、
手つなぎ個所の
    「はじめに」の「は」、
    「つぎに」の「つ」、
    「そして」の「そ」、
    「さいご」の「さ」
これら順序を示す時間の経過の言葉の最初の出だしの音は、高く強めに読み
出して、目立たせるとよいでしょう。
  いわゆる転調の読み方にして、順序による話題転換を音声で目立たせて
音声表現します。これら順序の言葉(高く強めに読み出す第一音)の前で
たっぷりと間をあけます。こうして、ここまでの意味内容のひとつながりを
閉じます。そして、次の順序を示す言葉の第一音を高く強く読み出して、気
分を変えて明るく読み出して、次の場面(内容)に移ったことを開示して
(聞き手に知らせて)いきます。こうして遊びの場面(やる事柄)の順序が
次々に変わったことを読み声で示していきます。


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