音読授業を創る そのA面とB面と 07・4・2記 「はたらくじどうしゃ」音読授業をデザインする ●「はたらくじどうしゃ」の掲載教科書……………………………教出1下 題名読み 題名は「はたらくじどうしゃ」です。一年生ですから、題とか題名とか の「言葉」で知らせましょう。文章には大体が題または題名があることを知 らせましょう。 「はたらくじどうしゃ」とは、どんな自動車でしょうか。「自動車」の 上部に「働く」が付いています。「はたらくじどうしゃ」とは、どんなお話 しが書いてあるののでしょうか。予想させてみましょう。 人間が「はたらく」なら一年生に理解できます。お父さんは、会社に 行って働いています。おかあさんは、掃除、洗濯、炊事、買い物などで働い ています。隣のお父さん、お母さんも働いています。担任の先生も、学校で 働いています。郵便屋さんは手紙などを届けて働いています。おもちゃ屋さ んのおじさん、おばさんも、働いています。これらは、子ども達の体験から 知っています。くわしい仕事の内容まではしりませんが、「はたらく」とい う大体の概念内容は理解できます。 子ども達に問いかけてみましょう。みなさんの知っている働いている人 を挙げてごらん。どんな仕事をしていますか。 では、犬や馬や牛は、働いていますか。知識のあるこどもは、警察犬や 競馬の馬などを挙げるかもしれません。 自動車が働くとは、どんなことでしょう。成績優秀児は、教科書本文に 書いてあるようなことを得意になって答えるかもしれません。題名よみで は、あまり深く内容について話し合うことは必要でありません。題名読みで は、これから読んでいく文章内容のおおよそ、こんな内容が書いてあるだろ う、どんなことが書いてあるか、早く読みたいな、知りたいな、という興味 関心を持たせる動機づけを与えることで十分です。 子ども達は乗り物が大好きです。自動車、電車、飛行機、ヘリコプター などにたいへん興味を持っています。自動車の話材ですから、興味を持って 先を読みすすむことでしょう。 リードの文 冒頭文は「じどう車には、いろいろなものがあります。どのじどう車 も、つかいみちにあわせてつくってあります。」です。この二文は、これ以 降の文章内容のリードの文です。 第一文は「じどう車には、いろいろなものがあります。」です。自動車 の種類について言っています。「いろいろなもの」には、どんなものがある でしょうか、児童達に発表させてみましょう。トラック、レーシングカー、 バス、しょうぼうしゃ、スポーツカー、ワゴン車、パトカー、ジープ、きゅ うきゅうしゃ、セダンスクールバス、ブルドーザー、ダンプカー、フォーク リフト、タンクローリー、キャリアカー、ミキサー車、バキュームカー、こ ううんき、れいとう車、パワーショベル、献血車などを挙げるでしょう。 「なになにには、いろいろなものがあります。」の文型をつかって、 文作りをするのもよいでしょう。上位概念と下位概念の勉強にもなります。 「なになに」の個所に「じどう車、のりもの、くだもの、やさい、さかな、 がっき、ぶんぼうぐ、だいどころようひん、そうじどうぐ、しょっき、でん きせいひん」などを入れて文作りをさせてみましょう。 「どのじどう車も」とは、「それぞれのじどう車、一つ一つのじどう 車」という意味です。 「つかいみち」とは何でしょうか。 国語辞書をひいてみました。 大辞林(三省堂) (1)使用する方面、使いどころ、用途。 (2)使う方法、使用法、役立て方。 広辞苑(岩波書店) (1)つかいかた、使用法。 (2)つかいどころ、用途。 「なまコンクリート」とは何でしょうか。 大辞林(三省堂) まだ固まらない状態のコンクリート。ミキサー車で攪拌しながら現場に供 給する。生コン。 と書いてありました。 「つかいみち」については、 一年生ですから、具体物の「つかいみち」について話し合ったほうが理 解しやすいでしょう。鉛筆の使いみちは? 石鹸の使いみちは? 筆入れの 使いみちは? 下敷きの使いみちは? ランドセルの使いみちは? など と問いかけてみましょう。「つかいみち」のだいたいの意味理解ができるの ではないでしょうか。 「つかいみちに あわせて つくってあります。」とは、どういうこと でしょうか。鉛筆の例(手に持ちやすうように細く六角形)、石鹸の例(汚 れが落ちやすく、すぐ水に溶けやすい)、ランドセルの例(教科書や学用品 がすっぽりと入る、持ち運びがしやすい)などで考えさせてみましょう。教 材文はじどう車の例を取上げて書いています。 本文は「どのじどう車も、つかいみちに あわせて つくって ありま す。」です。「どのじどう車も」は、一つ一つのじどう車です。ロードロー ラーの例(平らにする堅い鉄のローラーが回る)、消防自動車の例(消火栓 にうまくつながる長いホースがある)、冷凍車の例(冷蔵庫がついている 車)、レーシングカーの例(風の抵抗が少ない座席や屋根の形)などが分り やすいです。実物のミニチュア、絵本などを示しながら話し合い(解説)を すると分りやすいでしょう。 「つかいみち」とは、用途、働き、機能のことです。 「つかいみちに あわせて つくって あります。」とは、一つ一つの自 動車の構造、つくり、形式、体裁、形態がちがっているということです。 つまり、「それぞれの自動車」の「用途・働き・機能」に合わせて、そ れぞれの自動車の「構造・つくり・形式・体裁・形態」が作られている、と いうことです。 リードの文があることによって、これに続く本文では、一つ一つの自動 車の「機能、働き」が書いてあり、「構造、つくり」について書いてあるこ とが予想できます。子ども達も、次のどんなことが書いてあるか、容易に予 想がたてられるでしょう。 大段落ごとの指導 「じどう車には、いろいろなものがあります。」と書いてありますが、 この教科書には、バス、コンクリートミキサー車、ショベルカー、ポンプ車 の四つを取上げて書いてあることを確かめましょう。 それぞれが一行空きで、四つの大段落で構成されています。一年生に は、もちろん、「大段落」という言葉を教える必要はありません。わたしな ら、「四つの大きなかたまり」からできている、バスのかたまり、コンク リートミキサー車のかたまり、などの言葉で指導していきます。 バスの授業では、はじめに、バスに乗った体験を語らせましょう。バス の車内の様子などを語らせましょう。 これら大段落ごとの文章構成は、リード文の内容に導かれて書かれるこ とになります。 第一文は、一つ一つの自動車の「つかいみち」について書いてありま す。 次の「ですから」の後は、「つかいみちに合わせてつくってあります」 の、その自動車の『構造・つくり』について書いてあります。 ところが、わたしには、どうも納得のいかない書かれ方の部分がありま す。 「バスは、きまったじこくに、きまったみちをはしります。」 「うでとバケットをうごかして、じめんをほったり、けずったりします。」 「火じばでは、いけやしょう火せんなどから水をすいあげて、火をけしま す。」 これらの文は最後尾に位置してていますが、「つかいみち」の一つでし ょう。それぞれの前に位置する部分だと考えます。段落内部の文章構造の位 置としてへんだなあと思います。 「構造・つくり」については「つかいみち」の工夫だけでなく、安全面 でどう工夫されているか、機能の便利さでどう工夫されているか、などにつ いて書く事柄はほかにあると思うのですが、どうでしょう。 はじめに、バスに乗った体験を語らせましょう。バスの車内の様子など も語るでしょう。コンクリートミキサー車、ショベルカー、ポンプ車につい ても同じです。それらを見た体験、読んだ体験について語らせましょう。自 分の体験の記憶と結びつけながら話し合いを進めるようにしましょう。ま た、挿し絵と結びつけながら授業を進めていくことも大切です。これら乗り 物の絵本などの補充資料も利用するとよいでしょう。 音声表現のしかた 本教材文は、一年生の教科書下巻の教材です。もうそろそろ次のような音 読のしかたはあってはならない時期です。卒業しているべき時期です。 (1)一字一字の拾い読みしかできない。 (2)分ち書きの文節ごとの、一目で読みでしか読めない。 (3)一文としての文末までのひとつながりで音声表現できない。 次のような音読のしかたは全学年でみられる傾向です。そのつどの指導 で、なくしていきましょう。 (1)文節末のはねあげ読み。(カタカナ部分を尻上がりののばす) 例「バスはアー、おおぜいのオー、おきゃくをオー のせてエー」 (2)文末のはねあげ読み。(カタカナ部分を尻上がりにのばす) 例「はこぶ じどう車でエーーーすウーー。」 例「たくさんの ざせきが ありまアーーす。」 (3)脱字読み。 例「つりかわ 手すり ついています。」 例「バスは、きまった じこく、きまった みち はしります。」 (4)増語読み。 例「つりかわや 手すりも ついているのであります。」 例「たくさんの ざせきが ついて あります。」 (5)へんな読み癖をなくす。 その地方独特の児童音読の読み癖、読み音調があるようです。なんと もいえない上がり下がりのメロディーや読み音調です。 こうしたへんな読み音調がある子どもには、淡々とした読み音調で音読 するように指導します。誤解を恐れずに言えば、アナウンサーがテレビ でニュースを読むような、へんな読み癖をつけない、折り目正しい読み 方です。 ●この時期に指導すべき音読事項 (1)大きな声で 教室のすみずみまで声を届けて読むようにする。 りんりんと響く声で読むと、聞いていて気持ちがいい。 (2)はきはきした声で 口を大きく開けて読ませる。 はぎれよい、はきはきした声で、元気よく読むようにさせる。 (3)ゆっくりと読む 急がず、あわてず、ゆっくりと、たっぷりと読むようにさせる。 句点(まる)では、しっかりと間をあけて読む。 (4)意味内容がわかる区切りにして読む。 分ち書きの文節ごとで区切って読むのでなく、意味内容のひとつながり で区切って読むようにする。 (5)論理のつながりのメリハリをつけて読む できたら、意味内容の論理的なつながりのメリハリをつけて読めるよう にしたい。 たとえば、「ですから」は、前の文章の意味内容を受けての「ですか ら」です。前の文章を引きずった意味内容にして「ですから」を読み、 次の文章につなげていくように音声表現することが大切です。 「ですから」を中間に置いて、「ですから」をはさむ前後の文同士は 意味内容はひとつながりの同じ仲間同士です。同じ仲間同士は、ひと くくりに、ひとつながりにして音声表現していきます。 トップページへ戻る |
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