音読授業を創る そのA面とB面と         2011・9・26記




     
棒読みも視写も使いようで役に立つ




         
視写も音声表現に役立つ


  視写とは、文章を見ながら白紙に書き写すことです。ただ文章を漫然と
書き写すだけだと、指導効果はありません。児童が何のためにこの視写をや
っているか目当てを理解している必要があります。そうでないと、時間つぶ
しの苦痛な作業になってしまいます。いま、何を目当てに視写しているか、
どんな力が身につくか、はっきりとつかんで作業してることが重要です。


           視写する文章個所は


物語文……自分の好きな・気に入った内容の文章個所。いいなあ・好きだな
     あという文章個所。印象的な会話文・心理描写・情景描写。教師
     の指示した文章部分。昔からの名詩・名文・有名な和歌など。

説明文……自分の好きな・気に入った文章個所。いいなあ・好きだなあとい
     う文章個所。印象的に残る文章や段落の個所、言い回しが素敵だ
     と感じた文章個所。論理の組立てがよいと思った文章個所。記憶
     に残る印象的な文章個所。

  こうした文章個所を書き写します。言い回しや構文を確かに記憶に留め
るために、また、心ゆくばかりに文章表現を味わうために視写します。昔か
ら文章上達には名文を書き写すことだ、繰り返し音読することだ、とはよく
言われています。視写は作文上達に効果を発揮するだけでなく、音声表現に
も効果を発揮します。
  ていねいに書き写していくことに意義があります。あやふやな文章理解
であったものが視写すると一字一文をしっかりと押さえて理解できるように
なり、内容理解で思わぬ発見をすることも出てきます。視写すると、それま
で見落としていた表現のよさを改めて発見することができます。こんな言葉
(語句)があったのか、それまで見落としていた意味内容を改めて発見する
ことがあります。
  視写することで、文章の細かいところまで気づくことができ、内容理解
が容易に深くなります。内容理解がふかくなると、音声表現のしかたも驚く
ほどスムーズに表現豊かになります。十分に理解できてない文章個所は、つ
っかえた読みになります。自信のない読み方になります。読みの途中でとち
ったり、どんな意味内容か立ち止まって考え直したりしたりもします。
  内容理解の話し合い学習において理解困難な文章個所があったとき、そ
この文章個所だけを視写させます。視写によって内容理解が深まり、どう音
読したらよいかが分かってきます。複雑な構文個所や段落個所などを視写す
るだけでも、理解が深まったり音声表現が上手になったりします。


       
棒読みも使いようで役立つ


  棒読みとは、ずらずらと平らに切れ目なく読み進む平板な読みのことで
す。一本調子の、メトロノームのような単調な読み方のことです。聞いてい
て眠くなるような読み方です。こうした棒読みは、早く卒業させて、情感性
豊かなメリハリのある読み方ができるように指導しなければなりません。

  棒読みを意図的に音読指導に利用する場合があります。へんな読み癖の
ある児童がおります。おかしな読み調子やイントネーションで読む児童がお
ります。地方によって独得な読み調子をつけて読む児童たちがおります。地
方によって独特な上がり下がりのメロデアスな読み声で読む児童たちがおり
ます。こうしたへんな読み調子をもつ児童たちの矯正指導に「棒読み」を利
用するわけです。
  「棒読み」を「へんな読み調子をこわす指導」に使うのです。へんな読
み調子を抑制するため、ひたすら素読みに徹する読み方をさせます。単調な、
平らな読み方で教科書の文章を読ませます。抑揚や強弱変化や緩急変化をつ
けないで、メトロノームのように機械的に単調に読み進むだけの読み方をさ
せます。棒読みを意図的に利用して、へんな読み調子をなくす練習ドリルに
使うわけです。
  誤解があることを恐れずに言えば、テレビやラジオのニュース読みのよ
うに、それを手本として、まねて読ませます。特別な強調や思いを入れない
で、淡々と読む読み方です。もちろん、ニュース読みは棒読みではありませ
ん。しかし、「機械的な平板な棒読み」の矯正ができたら、それから次に、
「テレビニュースの読み方」へと移行していったらすばらしいです。これが
できたら、「棒読み」の矯正指導は効果を発揮した、成功したと言えます。

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