第17章・小学生への読み聞かせ技術   2015・7・13記




   
第5節
    読み聞かせの終わり方



        目次(教師の学級児童への読み聞かせ方)
          読みっぱなしで終わる法
          読みっぱなしで終わらない法




 読み聞かせが終了したら、教師はどんな指導をしたらよいでしょうか。
 ※読み聞かせの終わり方に二つの方法があるようです。

  ○読みっぱなしで終わる法○
  ○読みっぱなしで終わらない法○



      
「読みっぱなしで終わる法」



 読み聞かせが終わったら、教師が「はい、これで終わります」と言います。
あっさりと終わります。これでおしまいです。
 読み聞かせが終わった本に関する話題はいっさいしません。「ああ、おも
しろかったなあ、楽しかったなあ」という余韻にひたらせれば、それで終わ
りとします。
 あとは、児童机や座席を元に戻す作業に入ります。教師は読み聞かせした
本についての質問魔、解説魔になりません、という終わり方です。
 長文の物語は、全編おわりまで読み聞かせできない場合もあります。その
場合は、この本は学校図書館のどこどこにあります。あとは、自分で借りて、
自分で読みましょうと紹介するだけにします。
 読み聞かせした後、教師が質問魔、解説魔になってあれこれと話し合った
り、感想文を書かせたり、つづき話を作成させたり、こうしたことは子ども
を読書嫌い、本嫌いにさせることになる、「ああ、おもしろかったなあ、楽
しかったなあ」という余韻にひたらせれば、それで終わりにするのがよい、
という指導です。

 松居直(絵本研究家・福音館書店社長)さんは、次のように書いています。

 絵本は読みっぱなしが原則です。質問は、多くの場合、おとなの自己満足
のためです。ただ、自然に、どちらからともなく話し合えたりすれば、それ
はとてもよいことです。あくまでも自然でありたいと思います。
  松居直『絵本とは何か』(日本エディタースクール出版部、1973)15ぺ




     
「読みっぱなしで終わらない法」



 「読みっぱなしで終わらない法」にも、あっさりした指導、こってりした
指導、いろいろあるようです。

 読み聞かせ後の、あっさりした指導はこうです。ごく簡単に感想発表をさ
せます。教師が「どこがおもしろかったか」と問い、2,3名の児童から感
想を出させます。発表された感想には、賛意を示しても、否定する意見は言
いません。言いっぱなしで、それで終わる、という方法です。

 こってりした指導には、以下のようないろいろな指導があるでしょう。
 読み聞かせたあと、「どこがおもしろかったか」と問い、児童から感想を
発表させる。ぼくの感想はちょっと違うよ、わたしはそうは考えないな、そ
ういう考えもあるね、おもしろい感じ方だね、わたしだったら、あの時、こ
うしたかもね、などと児童同士に活発に討議を行なわせます。

 そのほかの「こってりした指導」もあります。下に列挙してみましょう。

○登場人物のだれかに「言ってあげたいこと(感想意見批判だし)」を発表
 させる・書かせる。

○「自分(ぼく、わたし)がこの人物だったら、あの時にこうしただろう、
 を発表させる・書かせる。

○児童が登場人物の一人になったつもりで、その人物の気持ちに入り込んで、
 その人物のコトバで、考えをくわしく言わせる・書かせる。

○出来事・事件について、自分(ぼく、わたし)はこう考える、を発表させ
 る・書かせる。

○物語世界と自分の現実生活とを結びつけて考えさせる。両者を比較して考
 えたことを発表させる・書かせる。

○印象に残った場面を絵する。グループで紙芝居を作らせる。

○読書感想文を書かせる。

○物語のあらすじを書かせる。

○つづき話を書かせる。

○教師が、同一作者の他の書物リストを紹介する。

○教師が、読み聞かせした本の内容と同じ題材に関連する他の書物リストを
 紹介する。

○家に帰ったら、父母に「今日、こんなお話を読み聞かせられたよ」と言っ
 て、お話の大体を語って聞かせましょう、と誘う。

 このように読み聞かせの終わり方には、「読みっぱなしで終わる法」と
「読みっぱなしで終わらない法」との二つがあります。あなたの通常の読み
聞かせでは、どちらですか。どちらが多いでしょうか。
 二説ともそれぞれ一理あります。どっちがよい、悪いということはできま
せん。同じ教師でも、いつも前者だけで終わるということではないでしょう。
時によって後者の終わり方をしていることもあるでしょう。また、いつも後
者だけの終わり方をする教師もいないでしょう。どういう指導計画・目標で
読み聞かせをしているかによっても違ってきます。
 もちろん、学校ですから、読み聞かせにおいても、国語科の読解指導のよ
うに、ある時点では、教師が質問したり、児童相互に討議させたり、物語の
梗概をまとめさせたり、感想を言わせたり、こうした指導もしなければなり
ません。
 しかし、読み聞かせが終わったら、これがいつもいつもであったり、強制
的に発表させたり、強制的に感想文を書かせたりすると、読書嫌いな子ども
に育ってしまいます。
 子どもが本を読むのは、ただおもしろいからであって、知識が増えるから、
勉強になるから、ということで読書する子はいません。ただただおもしろい
から読むのです。ただそれだけです。読み聞かせの目的も、おもしろさを分
からせることが第一に必要なことであり、いやそれが全てであります。読み
聞かせによって、読書嫌いを育ててしまっては何にもなりません。

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