2018・09・23記




   
 いろいろな「読み」の姿




 ★「読む」という行為は、いろいろな姿や場面や様相を現象させます。学校
教育や一般社会の中で、文章の読みの方法や技術、読みとり方、楽しみ方、
文章の送り方や受とり方、その手法・技法・手だて・方法・型・スタイルなど
がいろいろあります。そこで使われている名づけ(用語)を、思いつくま
ま、気づいたところから拾い上げて、書きつらねてみました。簡単な用語解
説も添えてみました。
職業柄、学校教育で使われている用語が多くなっています。
けっこうあるものですね。

 ★思いつくままに、気づいたところから、その順番で書き加えていってい
ます。順序不同です。番号をつけていますが、何の脈絡・論理性もありませ
ん。思いついたところから、気づいたところから、その順番で書き加えてい
るだけの番号です。

 ★本稿掲載済みの文章に、後日、新たに気づいたことがあると、その都度、
付加や削除などの書き替えを加えています。

(1)
指名読み
  (教師がある児童を指名して文章を読ませること)

(2)
交代読み
  (二人読み、ペア読み、トリオ読みなど、その人数で交代しつつ読みつ
   ないでいくこと)
  
(3)
リレー読み
  (文章を次々とリレーのように読みつないでいくこと)

(4)
試し読み
  (試しに他人に聞いてもらう読み。または、理解の程度を確認するため
   に教師がやらせる読み。)

(5)
グループ読み
  (グループごとに文章の一定範囲を次々と読みつないでいく。) 

(6)
まね読み・まねっこ読み・つれ読み・山びこ読み・あとおい読み
   ・模倣読み・追いかけ読み。なぞり読み

  (一人の上手な音声表現の読み手(一児童、教師、俳優のCD録音など)
   の読み声のあとを模倣しながら読みすすめていくこと。優れた読み
   音調・読みぶりを体ごとでつかめるので、わりと速く上達・表現能力
   を高められる方法として利用される。
    
共(とも)読み・つれ読みは、教師と生徒・親と子が声に出して
   一緒に読むこと、にも使う。)

(7)
つっかえ読み
  (つっかえつっかえしながらの読み方)

(8)
なぞり読み
  (文字の一字一字を指で押さえるようにして声に出して読みすすめる)

(9)
一人読み
  (一人だけの読み。自分の速さ、ペースで読み進めていく。自分のペー
   スで、納得しながら、確かめたり、工夫したりしつつ声に出して読み
   進めていく。)

(10)
さがし読み・しらべ読み・さぐり読み
   (この本のどこかに、自分が課題・問題としている記述個所・解答が
    あるか、ページを括って探しながら読みすすめていくこと。) 

(11)
一文読み。句点読み。
   (交代で一文ずつ読む。マル一つ分だけを交代で読み進む。読み手が
    次々に代わるので、本文を見ながら聞いていることが求められる。
    文(主語+述語)を意識させるための指導に使われることもあり。)

(12)
一斉音読・斉読・一斉読み・そろい読み
   (全員が一斉に声をそろえて読むこと。読みが苦手な児童も全員の声
    にまぎれて読めるので気楽に声に出せて、読み能力が高まるという
    利点もある。他人に合わせることに気を使うので独得な抑揚がつい
    た読み声になってしまうこともある)

(13)
役割音読・分担読み
   (物語の登場人物<会話文>や、語り手<地の文>の分担を決めて、
    一児童に役割・配役を与えて音声表現させる。役割音読をすると、
    人物の気持ちや場面の様子をとらえるのによい。場面の臨場感が出
    る。)

(14)
対話音読・かけあい読み
   (物語の会話文だけを、役割・配役を決めて、分担を決めて、読みあ
    うこと)

(15)
目あて読み
   (音読前「ここの文章個所をこのような思いをこめ、気持ちをこめて
    音声表現したい」と目あてを全員の前で発表してから読む。または、
    心に決めて自分だけで練習する。音声表現の仕方の目あてを決めて
    読みだすこと。音読後「めあてのように読めましたか。反省事項は
    なんですか。他児童に、どのように聞こえましたか」と問う。)

(16)
範読
   (教師が読み方・音声表現の手本を示して児童に読んで聞かせるこ 
    と。)

(17)
飛ばし読み
   (文章をとびとびに読むこと。ところどころ飛ばして読むこと。)

(18)
下読み
   (文章をあらかじめ読んで調べておくこと。予習読み。した調べよみ
    をしておくこと。)

(19)
早口読み・速読み・すらすら読み
   (文章を早口で読みすすめること。あなたは早口読みです。もっとゆ
    っくりと読みなさい。ゆっくりと読むと、様子や気持ちが声にのっ
    かってきますよ。早口で読むと、それが飛んでしまいます。早口で
    すらすら読むのが上手な読み方ではありません。児童は、つかえない
    で、すらすら読むのが上手だと思っている。
    また、もぐもぐ発音、歯切れの悪い発音をなくすために、「歯切れ
    よく」をめざして発音発声練習を早口読みで、
スタッカート読み
    ように練習させる指導法もある。)

(20)
速読
   (本などを普通より速く読むこと。)

(21)
速読術
   (多くは黙読で利用され、素早く意味内容を読み取る技術、特別な技
    術のこと)

(22)
口ならし読み
   (初めての音読場面で読み慣れる段階の読み。口で言ってみて・読ん
    でみて、自分で聞きとる。)

(23)
たどり読み1
   (文章内容・文意に導かれながら、あれこれ迷いながらも筋道をつけ、
    手がかりを手繰り寄せながら読み取り、読みすすめていくこと。一字
    一字を目で押さえ、たどりながら、やっと読むこと。)

(24)
たどり読み2
     時枝誠記(元東大教授)に「たどり読み論」がある。「読むとい
    ふことは、文章の冒頭あるいは書き出しから、順次、読み下し、読
    み進めて行くことである。これは、旅行の道程を、 一歩一歩、歩
    いていくのに似てゐる。このやうな読み方の形式を、私は、「たど
    る」と名づけた。読み方教育は、要するに文章の辿り方を教えるこ
    とである。」という理論である。詳細は、本HP・第9章、「一読
    総合法」と「たどり読み」の異同1・2を参照のこと。)

(25)
聞かせ読み
   (他人に聞かせるために読むこと。共感を求める読みのこと)

(26)
気どり読み
   (こまっしゃくれた、妙に甘ったるく気どった読み声。高学年女子に
    多くみられる。)

(27)
追い読み
   (俳優の朗読や教師の範読に合わせて児童達がまねをしながら読むこ
    と。俳優のCD録音は観賞用に作られているが、速さや間のとりか
    たなど、いっしょに模倣しながら読むことで気づくことは数多くあ
    る。大人の読みなので、そっくりまねることは求めない。)

(28)
ぬき読み
   (文章の一部分を抜き出して読むこと。)

(29)
拾い読み1
   (たどたどしい読みぶり。一字一字を拾いながらの読み。つっかえ読み)

(30)
拾い読み2・ぬき読み
   (興味のある部分や必要なところだけを抜き出して読むこと。)

(31)
すらすら読み
   (すらすらと読み上げること。つっかえないことだけに集中し、文章
    の意味内容が音声にのっかっていない読み方。スピードよく読み上
    げるだけの読み方。19「早口読み」参照)

(32)
ずらずら読み・棒読み
   (つっかえないで、スピードよく読んでいるが、文字だけを声にして
    いる、文章内容の表現・めりはりが伴わない、平板な読み方。上記
    「すらすら読み」と同じ)

(33)
微音読・つぶやき読み
   (ごく小さい声、ささやき声を出して文字を読むこと。唇読みよりは
    やや大きい声で読むこと。
    
唇読み(クチビルヨミ)は、声を出さないで、または、息だけぐら
    いの小さい声で唇をうごかして読むこと。)

(34)
声のものさし
    (声の大小を分からせる、それを指導するために工夫された児童用
    語。声の大小をものさしにみたてた。荒木が初めて提唱した。それ
    が日本全国の教室にあれよあれよと広まった。たとえば、(0の声)
    頭の中だけの声、(1の声)ないしょばなしの声、(2の声)グル
    ープ内で話し合う時の声、(3の声)ふつうの話し声、(4の声)
    教室の後ろの友達に話しかける声、(5の声)運動場にいる遠くの友
    達に話しかけるばかでかい声。「ものさし」に表して教室掲示物に
    する。物語の音声表現で、この会話文は、4の声で怒った気持ちで
    読む、この地の文は2の声でひっそりとポツポツとゆっくりと読む、
    など。

(35)
自由音読・自由読み・ばらばら読み
   (声をそろえないで、好き勝手にばらばらに読むこと。一斉に児童ひ
    とり一人がめあてをもって、音声表現のしかたを工夫しながら声に
    出してばらばらに読むこと。)

(36)
自由黙読
   (ばらばらのくちびる読み。口を動かさない、頭だけの読み)
 
(37)
自由微音読
   (ばらばらのつぶやき読み)

(38)
自由読み
   (教師から指定された文章範囲を児童が一斉に自由勝手にばらばらに
    読むこと。)

(39)
随伴朗読
   (教師・優秀な読み手児童が先になって読み、他児童がこれをなぞっ
    て、まねて読みすすむこと。(6)「まね読み」、(27)「追い
    読み」と同じ)

(40)
動作音読
   (動作をしながら音読する。芝居・演劇の下読みの動作音読。)

(41)
ふたり読み
   (登場人物の二人、太郎と花子、アリとハト、親と子、ボケとツッコ
    ミ、わたしともうひとりのわたしなど、対話している文章個所の
    配役を決めて、二人で読み合う。群読台本にもこうしたふたり読み
    場面の台本が多く使用されている。)
   
(42)
かけ合い読み
   (「勝ってうれしいはないちもんめ」「負けてうれしいはないちもん
    め」のように交互に声をかけあって読み合う。上記「ふたり読み」
    は1対1だが、こちらはグループ対グループが多い。)

(43)
修羅場読み
   (群読の表現技法の一つ。講談師が手に持った扇子をバシバシと机を
    たたき、高揚した気持ちで語るように、それをまねた読み上げ方の
    こと。)

(44)
乱れ読み
   (群読の表現技法の一つ。群読は揃って読むのがふつうだが、同じ詩
    文の読み個所をわざとバラバラに読んで表現効果を上げる技法。)

(45)
追いかけ読み・ずらし読み
   (群読の表現技法の一つ。合唱で、歌詞を一定間隔をおいて追いかけ
    て歌う輪唱がある。「かえるのうたがきこえてくよ」の輪唱は有名。
    それと同じく、Aグループが「ふるふるふるふるゆきがふる」を読
    み始めると、BグループはAの「ふる」を一つ遅れて、「ふるふる
    ふるふるゆきがふる」と読みだす。CグループはBの「ふる」を一
    つ遅れて「ふるふるふるふるゆきがふる」と読みだす。一つずつず
    らして追いかけていく音声表現の技法。)

(46)
本読み
   (本を読むこと。読書すること。)

(47)
盗み読み
   (他人の読んでいる本・雑誌などを側・脇からこっそり目をやって読
    むこと。)

(48)
判読
   (わかりにくい文字や文章を判断、推察しながら読むこと。「古文書
    を判読する」)

(49)
空読みソラヨミ
   (文句をそらんじて読むこと。暗唱して読むこと。)

(50)
素読ソドク・す読み
   (内容の理解はこの次にして、文字だけを声に出して読むこと)

(51)
読経・お経読み・坊主読み
    読経(ドキョウ。声を出してお経を読む・唱えること。)
   お経読み・坊主読み(僧侶がお経を読む・唱えるような調子で、
   意味の分からないまま文字だけを声に出して読み上げること。
   その読み方。)

(52)
走り読み・ななめ読み・流し読み・ざっと読み・ぱら
   ぱら読み

   (速くざっと目を動かして読みすすむこと。「読み流す」複合動詞
    の場合も「流し読み」と同じ意味内容である。)

(53)
耽読
   (タンドク。書物を夢中になって読みふけること。ほかのことを忘れ
    るほど夢中になって読むこと。)

(54)
誤読1
   (文意・意味内容を、誤って、間違えて読みとること。)

(55)
うそ読み・誤読2
   (文字を誤って、間違えて読むこと。漢字、氏名、地名など。)

(56)
熟読
   (文章の意味内容を吟味しながらじっくりと読むこと。)

(57)
解読
   (古文書、暗号、古代文字などの意味を読み解くこと。)

(58)
解釈1
   (言葉や文章の意味内容を理解して、明らかにすること。「源氏物語
    を解釈する」「英文解釈」)

(59)
解釈2
   (他人の言ったこと、言動について自分なりの考えで解説したり、理
    解すること。「善意に解釈する」)

(60)
注釈
   (語句の意味内容を解説、説明を加えること。「語句を注釈する」)

(61)
読破
   (難しい本や、分厚い読み物、または数多くの本を、終わりまで読
    み切ってしまうこと。)

(62)
読了・卒読
   (書物、文章を読み終えること。)

(63)
多読
   (本をたくさん読むこと。)

(64)
積ん読
   (書物を読まないで、積んでおくこと。)

(65)
輪読
   (一冊の本、論文を数人で読み合い、解釈し、問題点などを論じ合う
    こと。輪読会。)

(66)
回読
   (何人かで書物を順繰りにまわして読むこと。回覧すること。)

(67)
併読
   (二つ以上の書物、新聞、資料などを合わせて読むこと。)

(68)
代読
   (ある人に代わって、代理で、読むこと。「祝辞を代読する」)
   (視覚障害者に書類や郵便物などを読み伝える。)

(69)
読み比べ・比べ読み
   (ある事柄について調べるとき、その事柄について書いてある数冊
    の本(論文、事典、文章)を読み比べて、調査すること。)
   (二つ、三つ、四つ、それ以上の文章の内容を比較する。内容の取
    り上げ方(相違点・同一点、特徴点)などを比較しながら読むこ
    と。)

(70)
難読
   (書き文字や漢字の読み方が難しいこと)

(71)
立ち読み・(座り読み)
   (「立ち読み」本屋の店先・店内で、あるいは図書館の本棚の前などで
     その場で立ったままで読むこと。)
   (「座り読み」1.最近、本屋さんの中には、買いたい本をじっくりと
    探すため、店内に数個の椅子やテーブルをわざと置いてあり、座って
    読み調べるようになっている。そこに座って読むこと。)
   (
「座り読み」2、ある書店の漫画コーナーに「長時間の立ち読み及び
     すわり読みを禁ず」との張り紙あり。いつもそのコーナーでは小学
     生の男の子たちが漫画を熟読しているようだったが、立ち読みして
     いるうちの疲れて座り読みになるというわけ。
    「立ち読み禁止」の張り紙に堂々と座り読みで対抗する子供たちと、
    それに何とか封じようとする店主との戦い(?)の有様が目に浮かび
    ますが如何。 『言語生活』筑摩書房、1984年,11月号、79ぺより)

(72)
訓読み1・訓読1
   (漢字を、日本語の読み方で読むこと。「草」を「くさ」、「花」を
   「はな」と読む類。)

(73)
訓読み2・訓読2
   (漢文を日本語の文法に従って、訓点をつけて読むこと。)

(74)
音読み
   (漢字の読みかたの一つ。漢字を中国の発音に基づいて読むこと。 
    「草」を「ソウ」、「花」を「カ」と読む類。)

(75)
重箱読み
   (「重箱」の「じゅう」は音読み、「ばこ」は訓読み、上を音で、下
     を訓で読む読み方のこと。)

(76)
湯桶読み
   (「湯桶」の「ゆ」は訓読み、「とう」は音読みであることから、漢
    字二字の熟語で、上の字を訓で、下の字を音でよむこと。)

(77)
熟字訓
   (熟語は、上が音読みなら下も音読み、また、上の漢字が訓読みなら   
    下の漢字も訓読みになることが多い。重箱読みや湯桶読みの塾語は
    少ない。熟語の中には、漢字一字ごとに音や訓で読むのではなく、
    一つのまとまりとして特別な読み方をするものがある。これを熟字訓
    という。明日あす・今年ことし・五月雨さみだれ・梅雨つゆ・など)

(78)
読解1
   (文章を読んで、その意味内容を理解すること、解釈すること。)
    学校教育では「読み」一般を「読解」と呼び、「読みとり方・その
    技法」を「読解方法」と呼び、「読みとり方の教え・教授」を「読
    解指導」と呼ぶことが多い。「読解」は広い概念である。
    ちなみに国語辞典で「読解」項目をひくと下記のように書いてある。

    広辞苑(岩波書店・第七版)
     読解 文章を読んで、その意味・内容を理解すること。

    明鏡国語辞典(大修館書店・第二版)
     読解 文章を読んで、その意味を理解し、解釈すること。

    例解国語辞典(三省堂・第四版)
     読解 文章を読んで、内容を理解すること。

(79)
読解2
   (永野賢『国語教育における文章論』共文社、昭61)という著書の中
    に読解について蘊蓄に富む記述があったので下記に引用する。やや
    長文であるが、本稿のテーマ「いろいろな読みの姿」に関連する内
    容なので、読者の参考になるとも思い、次に引用した。
    永野賢(元東京学芸大教授、文法学・文章論研究、1922〜2000)

             読解とは何か

    「読解」は、「読む」という総合的な人間行為の一部分・一過程を
    なすものである。「読むはたらき」には「読解」のほかに、「解 
    釈」「鑑賞」「批評」などが含まれる。「読む」とは、これらが相
    互に関係しつつ総合されたはたらきにほかならない。
     「読解」とは、対象である文章の内容を、文脈に即して正確につ
    かむことである。論理は言語形式に支えられているわけであるから、
    文章を言語的・文法的にとらえる手続きが、読解の中核を占めるこ
    とになる。
     「解釈」とは、対象そのものを正確につかんだうえで、それを自
    己のものとして消化するはたらきである。読解においては、対象と
    しての文章が勝ち、解釈においては、対象をとりこもうとする主体
    的なはたらきが勝つ、ということもできる。
     「鑑賞」とは、読者としての体験にもとづき、全人格的に味わう
    ということである。
     また、「批評」とは、読者自身のもつ基準によって、価値の判定
    をくだすことである。
     「読む」というのは、以上の、読解・解釈・鑑賞・批評を総括し
    たはたらきである。ところで、読むはたらきを、このように分析し
    段階づけるのは、学習指導の立場からである。私どもの一般的な日
    常生活においては、読解も解釈も鑑賞も批評も、読むはたらきとし
    てとけあっており、読解と解釈とを分離することもできないし、鑑
    賞と批評との間に境界線をひくこともむずかしい。事実日常的な読
    みは、読み手の主観的な理解で事がすむ場合が多いのである。
     しかしながら、教室における「読み」は、日常生活のそれとは異
    なっていなければならない。学校での読みの学習は、それぞれの教
    材を読むことが直接の目的ではあるが、さらにその文章を読むこと
    を通して、一般的な読みの技能を身につけるのも重要な目的である。
    技能の習得には、基礎からの積み上げが必要である。そこで、読む
    という総合的な人間行為を過程的に分割して、読解・解釈・鑑賞・
    批評を概念上分離させ、中でも読解という最も基礎的な要素を重視
    しよう、というのが私の考えである。   88ぺ〜89ぺ

    付記
    永野賢氏があげている「読解」「解釈」については、本稿ではそれ
    ぞれ(77)読解1、(78)読解2として述べている。「解釈」
    については(58)解釈1、(59)解釈2として述べている。 
     「鑑賞」「批評」についてはまだ述べていない。それで、次に 
    (79)鑑賞、(80)批評として国語辞典からの引用で述べるこ
    とにする。

(80)
鑑賞
    広辞苑(岩波書店・第七版)
     鑑賞 芸術作品を理解し、味わうこと。「名画を鑑賞する」

    明鏡国語辞典(大修館書店・第二版)
     鑑賞 芸術作品などにふれて、その価値を理解し味わうこと。
        「詩文を鑑賞する」「名曲・映画の鑑賞」

    例解国語辞典(三省堂・第四版)
     鑑賞 芸術作品をよく理解し、またよく味わうこと。
        「音楽鑑賞」

(81)
批評
    広辞苑(岩波書店・第七版)
     批評 物事の善悪・美醜・是非などについて評価し論ずること。
        「作品を批評する」「文芸批評」

    明鏡国語辞典(大修館書店・第二版)
     批評 物事の長短・優劣などを指摘して評価を述べること。また、
        そのことば。「小説を批評する」「批評家・批評眼」

    例解国語辞典(三省堂・第四版)
     批評 ものごとのよしあしについて、意見を述べること。「批評
        家」

(82)
読書感想文
    書物を読んで、心に感じたこと、思ったこと、考えたことを書い
    た文章。
    永野賢氏は「私どもの一般的な日常生活においては、読解も解釈も
    鑑賞も批評も、読むはたらきとしてとけあっており、読解と解釈と
    を分離することもできないし、鑑賞と批評との間に境界線をひくこ
    ともむずかしい。事実日常的な読みは、読み手の主観的な理解で事
    がすむ場合が多いのである」と書いている。児童生徒の通常の読 
    書感想文の多くは、永野氏が言う「とけあった」「主観的な理解で
    事がすんでいる」読後の感想文であると言えるでしょう。


(83)
黙読
   (声に出さないで、目だけで、黙って読むこと。反対語・音読。)

(84)
音読
   (声に出して読むこと。文章を声に出して読むことすべてを含む広い
    概念。反対語・黙読。)

(85)
朗読
   (文章を声に出して読み上げること。文章の内容をくみ取り、感情を
    こめて読み上げること)

(86)
朗誦・朗詠
   (声高く読み上げたり、節をつけてうたいあげること。)

(87)
暗唱・暗誦
   (文章を暗記していて、それを口に出して唱える・言うこと。)

(88)
通読
   (一般的には文章の終わりまでざっと読むことをさす。
    読解指導段階の用語として用いられる場合、通読とは、通読から精
    読へ、精読から味読へ、という読みの深まりの順序の、最初の一段
    階を示す。通読は、文章全体を終わりまでざっと読み通すことで、
    詳しい意味内容の分析をしないで、大意のあらましを読み取ること
    をめざす。「読み得るだけを読み、端的に内容をつかみ得るだけを
    つかむ」(石山脩平)という読解指導段階のこと。)

(89)
精読
   (一般的には詳しく読むことをさす。
    読解指導段階の用語としては、通読したあと、文章の始めから終わ
    りまで、語句や文章構造を精査しながら詳しく読みすすめること。
    「文章に深く立ち入って分析し、主題を精査し、情調をも精細の調
    査し、主題と事象と情調を全一体として把握する」(石山脩平)と
    いう読解指導段階のこと。

(90)
味読
   (一般的には味わって読むことをさす。
     読解指導段階の用語としては、通読し精読したあとの、読解とい
    うより鑑賞の段階の指導のこと。「文の内容を味わい楽しむ(朗 
    読)、作者と一体の境地に浸る(暗誦)、情調に浸り漂う趣が前景
    を占める。ただ情調だけが鮮明に意識の前面を占め、自我はこの情
    調に漂い流れる境地のみ」(石山脩平)という読解指導段階のこと。

(91)
三読法
   (読解指導段階の一つの方式。初めに通読をし、次に精読をし、そし
    て味読という三つの指導段階を経過して終わる指導過程を典型とする。
    通読→精読→味読という、大きく三段階の読み方指導過程を指す。
    通読・精読・味読については前述の(77)(78)(79)を参照のこと。
     読解分析の幾つかの観点を立て、その観点ごとに、冒頭から終末
    へと4度、5度、6度、7度と繰り返して読み解き・話し合い、分析
    していく、何度も繰り返して読みすすむ読解指導過程もある。これ
    らも三読法の同類・傍系とみなされている。

(92)
一読法・一読総合法
   (読解指導過程の一つの方式。全文章の通読をせず、部分ごとに立ち
    止まりつつ、すでに読みとったことを振り返り、先を予想しつつ、
    いま読んでいる部分を精細に分析総合しながら読み進めていく読解
    指導法のこと。ひとり読みの書こ込み・書きだし、つまり読み手の
    ことば反応を基に、そこから集団の話し合い学習へとすすむ。受け
    取り読みでない、主体的な読み能力育てをめざす読解指導法である。

(93)
批判読み批判的読み・能動的読み・積極的読み
   (子どもが文章を読みながら、はてな、そうかな、こんなことだって
    あるはずなんだがな、これでいいのか。いや、おかしいぞ。こうい
    う事実を考えれば、こういう考えにはならないはずなんだが。なる
    ほど、これは賛成だ。そうか、そうか、というような反応を大切に
    する読解指導法のこと。子どもの主体性を育て、論理性、科学性、
    批判性を高める、積極的創造的な読みの能力を高める指導。、受け
    とり読みだけでない読解指導法のこと。)

(94)
受けとり読み・受動的読み
   なるほど、そうかに終始するだけ、文章内容を受容するだけにとどま
   っている読みとり方のこと。批判読みの対語。

(95)
メデア・リテラシー
   (メデアから流される情報の言葉を批判的に読み解くこと。メデアの
   情報をうのみにするだけでなく、自分の経験、知識に照らし、他からの
   情報を収集し、複数の情報を比べ、批判的に読みとること。送り手
   の言葉の選択や強調のしかたを吟味し、送り手の意図を主体的に批判
   的に読み解くこと。)

(96)
表現よみ
   (文章の意味内容・表現価のみを音声表現する読み声の指導のこと。
    節つけ読み・歌うようなリズムのついた読み声を嫌う。本ホーム 
    ページはすべて表現よみ指導について書いてある。)

(97)
節つけ読み
   (歌うようなリズムのついた読み音調。独特な節がついた読み音調の
    こと)

(98)
読み癖
   (その人の特有な・独自な読み節、独特な読み調子・音調がついてい
    る読み声・癖のこと。)

(99)
読み聞かせ
   (読んで聞かせること。母親や教師が子どもに絵本や物語を読んで聞
    かせること。子どもに本・文章になじませる・親しませる、人間的
    な触れ合いを育てるに役立つ。)

(100)
単読・個読
   (文章をひとりで声に出して読むこと。)

(101)
群読
   (文章を一人ないし複数の人数を取り混ぜて読み、表現効果を高める
    音声表現のしかたのこと。ソロ(一人で)、アンサンブル(グルー
    プで)、コーラス(全員で)などの台本で音声表現する。) 

(102)
分読
   (群読で、文章をピースに分けて読み合うこと。それぞれのピースに
    は、(1人で)(2人で)(3人で)…(8人で)…(男全員)(女
    全員)(全員)などの人数配分がある。
    上記している(13)「役割音読」「分担読み」も、分読の一種と
    いえる。)

(103)
くりかえし読み1
   (同じ書物を幾度もくりかえして読むこと。再読・再々読…すること)

(104)
くりかえし読み2
   (群読の表現技法の一つ。同じ章句を、読み手人数を変えたり、強弱
    変化をつけたりして、くりかえして台本作りをすること。たとえば、
    「わっしょい、わっしょい」を、それに変化をつけて「わっしょい
    (3人)、わっしょい(10人)、わっしょい(20人)、わっし
    ょい(30人・全員)のようにくりかえして読み上げる作り変えの
    こと。)

(105)
あい読み
   (二人一緒に書類などを読み合わせること。一緒によむこと。)

(106)
ただ読み
   (インターネットの普及で情報が自由に発信、受信できるようになっ
    た。それにつれ海賊版サイトが出現し、無料かつ無断で他人の著作
    物をダウンロードする「ただ読み」の事例も起きてきた。海賊版に
    による漫画の「ただ読み」、音楽の「ただ聴き」など。社会問題と
    なっている。)

(107)
まとめ読み
   (本時の最後に、これまで話し合ったことをアタマに思い浮かべ、そ
    の総合イメージを文章の線上にそって情感豊かに黙読または音読
   (表現よみ)すること)

(108)
読み直し
   (一度、読み進めた文章個所に、
読み間違いや読み誤りがあることに
    気づき、または、より優れた音声表現のしかたがあることに気づき、
    やり直しの黙読または音読(表現よみ)をすること。
     音読(表現よみ)の場合は、やり直しの、その文章個所から読み直
    しを始めるのでなく、その文章個所のアタマから(つまり文頭)か
    ら読み始めるようにするのがよい。これはラジオ・テレビのニュー
    ス読みでアナウンサーが実行していることである。)

(109)
読み間違い1・読み誤り1
   (「木を植える」を「キオーエル」、「肉うどん」を「ニクードン」
    「ここをほる」を「ココーホル」、「痛み止め」を「イタメドメ」、
    「場合」を「バヤイ」などの読み間違い・読み誤りのことです。
     そのほか、漢字・人名・地名などの読み間違い・読み誤りなどの
     類のことです。

(110)
読み間違い2・読み誤り2
    前の(107)は、音声・発音面の読み間違い・読み誤りのことでした
    が、本(108)は、文章・話しの受けとり方や理解・解釈のしかたの
    読み間違い・読み誤りのことです。送り手の意図と受け手の読み内
    容に齟齬(くいちががい)が生まれ、送り手の意図がそのにおいて
    ままに受け手に伝わらない場合のことです。例えば、若い男女間で
    の「好きです」が、相手の性格だけを伝えたのに、恋愛感情まで含
    めて受け手が受けとってしまった場合などです。

(110)
朝の読書・朝の読書運動・朝読
  
(学校教育で読書習慣を身につける目的で始業時間前に読書の時間を
    設ける学習活動。読書時間は10分から15分程度で、学校単位、
    学級単位で実施する。授業にスムーズに入れる。集中力がつく、
    みんなでやる。まいにちやる。自分の好きな本を読む。ただ読む
    だけ。)

(112)
音訳
   (おんやく。視覚障害者のために書籍や雑誌、広報誌、新聞などを音
    声にして伝えること。朗読とは異なり、読み手の解釈や感情をこめ
    てはならず、障害者が情報を得るために、内容を忠実に音声化する
    ことが求められる。上手に読むのでなく、正しく伝わるように読む。
    図表やグラフや写真など、音訳者が工夫して解説する。)

(113)
NIE エヌ・アイ・イー
   (Newspaper in Education 。新聞活用学習。学校、学級で朝の読
    書の時間などで継続して新聞を読み、新聞を活用する学習のこと。
    記事について話し合う。意見交流。スクラップの要約。スクラップ
    新聞・テーマ新聞作り。複数紙を読み比べてメデアリテラシー学習。
    閲読習慣がつく。読解力がつく。社会事象への興味関心の幅を広げ
    る。親子の対話。)

(114)
未読
   (使用例。わたしのスマホ・パソコンに未読メールが3通、既読メール
    が5通ある。これは未読メールだ。これは既読メールだ。)

(115)
既読
   (使用例。わたしのスマホ・パソコンに未読メールが3通、既読メール
    が5通ある。これは未読メールだ。これは既読メールだ。)

(116)
奉読
   (手にもって、目の前に高くささげ、、つつしんで読むこと。
    使用例「(教育勅語、誓詞、誓いの言葉などを)奉読する」

(117)
語り
   (学校教育で「語り」といった場合、多くは教師が児童たちに物語を
    語って聞かせることに使われる。
    教師の「語り」には、文章を見ながら語る場合と、文章を見ないで、
    暗誦・記憶していて語る場合とがある。前者を「読み聞かせ」、ま
    た前者と後者を含めて「語り聞かせ」という場合がある。
    その他、「語り」には、テレビ・ラジオ・映画におけるナレーション
    を「語り」と言う。また、能、狂言、歌舞伎において節をつけない改
    まった口調で事件や由来など語ること、その文句を「語り」と言う。)

(118)
指差し読み
   (いま読んでいる文章部分のわきを、(教師が、子どもが)指示棒や
    人差し指などを当てながら読むこと。)

(119)
眼声幅・眼声距離・跳躍距離
   (文章を声に出して読んでいるときの眼球運動は、なめらかに、停留
    なしに動いているのではない。視線が一時留まったのち、次へと、
    飛び飛びの運動をしながら声に出して読みすすめている。視線は先
    にあり、声はあとから遅れてついてくる。停留と停留とのあいだの
    距離を「眼声幅・めごえはば」「眼声距離・がんせいきょり」「跳
    躍距離・ちょうやくきょり」などと呼ぶ。)

(120)
サバ読み・鯖読み・鯖を読む
   (魚市場で鯖の数をかぞえるとき、鯖は腐りやすいので、早口でそ
    の数を言うことから、実際より多く言ったり、少なく言ったりす
    る。自分の利益になるようにごまかして言ったりすることになる。
   ・さばを読んで四、五歳若く言っておいた。
   ・十日でできる仕事を、さばを読んで二週間と言った。

(121)
再読
   (もう一度、繰り返して読むこと。読み直すこと。)

(122)
愛読
   (特定の作品・作家が好きで、よく読むこと。「漱石の作品を愛読
    している。)

(123)
必読
   (だれもがその価値を認め、必ず読む必要があること。必読書。

(124)
購読
   (新聞・雑誌・書籍などを買って読むこと。「新聞二紙を購読してる」)

(125)

   (外国の文章や古典を翻訳・解釈しながら読みすすむこと。「訳読式
    の授業」

(126)
独吟
   (一人で詩歌、歌謡を口ずさむこと。伴奏をつけないで、一人で謡う
    こと。「独吟を楽しむ」)

(127)
連吟
   (二人以上で声をそろえて謡うこと。「グループで連吟する」)

(128)
晴耕雨読
   (晴れた日は田畑を耕し、雨の日は家にこもって読書すること。
    悠々自適の、自由な生活を楽しむこと。)

(129)
読み下す・読みくだす
   (文章を初めから終わりまで読むこと。「長文を一気に読み下す」)

(130)
読みあさる
   (手当たり次第に読むこと。探し求めていろいろ読むこと。「鉄道の
    本をかたっぱしから読みあさる」)

(131)
読み上げる
   (大きな声を出して読むこと。本などを最後まで読むこと「借りた本を
    一晩で読み上げた」)

(132)
読み替える
   (AをBに読み替える。一つの漢字を別の読み方で読むこと。条文の
    語句を別の語句に置き換えて、そのまま適用すること。)

(133)
読みこなす
    (読んで、内容を十分に理解すること)

(134)
読みふける
   (ほかのことを忘れて、夢中になって読むこと。(53)耽読と同じ)

(135)
読み合わせ
   (同じ内容の二つの文書などを、一方が読み上げ、他方が文面を目で
    追いながら誤りを訂正すること。)
   (演劇などのけいこで、台本を互いに読み、せりふの受け渡しの練習
    をすること)

(136)
読みさし・読みかけ
   (途中まで読んだだけで、全部を読んでいないこと。「読みさし・読
    みかけの本」)

(137)
読み切り
   (雑誌・新聞の記事や小説などがその号だけで完結し、次の号に続
    かないこと。「読み切りの中編小説」)

(138)
読み切る
   (書物を最後までまで読み終わること。)
   (物事の結末を最後まで見通すこと。「情勢の変化を読み切っていた」)

(139)
読み人知らず
   (和歌を作った人の名前が分からないこと)

(140)
読みとく・読み解く
   (読んで理解する。文章内容を明らかにする。)

(141)
読みとばす
   (一部分を読まずに飛ばして先へすすむこと。)

(142)
読みちらす
   (手当たりしだいにたくさんの本を読むこと。)

(143)
読みだす・読み始める
   (読んでいない状態から、新たに読みが行いだすこと。)

(144)
読みすすむ・読みすすめる
   (読みが終わらずに先へ進行すること。)

(145)
読みつづく・読みつづける
   (読みを切らずに、先へ進行すること。)

(146)
読み終わる・読み終える
   (続いていた読みが、そこであしまいになる・すること。)

(147)
読みふるす・読み古す
   (読み終わって古くなっている状態。古いもの扱いになっている
    こと。「読みふるした本や雑誌」)

(148)
読み入る・読みいる
   (心を込めて読むこと。はまり込んで読むこと。)

(149)
読みすてる
   (読み終わって直ぐ捨てること。一度読んだだけで二度と読まない)

(150)
読みすて
   (読み捨て。上146と同じ意味内容)

(151)
読みすごす
   (目で読んでいながら、気づかないでしまう。読み落としてしまう。)

(152)
読みかえす
   (一度読んだところを、もう一度読むこと。「何回も読み返すうちに
    全部おぼえてしまった。)

(153)
読みこなす
   (読んで十分に理解し、内容をすっかり自分のものとすること。「難解
    な論文を読みこなす」)

(154)
読みとおす
   (文章を終わりまで読むこと。「長い物語を読み通した。」)

(155)
読みおとす
   (読むべき文章をうっかり読み忘れる。読まないで、読みもらすこと。
    その記事を読み落としてしまった。」)

(156)
読みとる
   (読んで書いてある内容をつかむこと。何が書いてあるかを理解する。)
   (目に見えないもの、隠れているものをおしはかること。「敵の心理を
    読みとる。」)
   (人の気持ちを見抜くこと。「相手の顔の表情で気持ちを読みとった」)

(157)
読みかける
   (読み始める。読み始めて途中まで読むこと。

(158)
読本
   (昔は国語教科書のことを読本といった。今は「文章読本」のように、
    やさしく説明した入門書のことをいう。)

(159)
読み立てる
   (声高く読むこと。読み上げること。)

(160)
読みためる
   (読むのを怠って、読むべきものをたくさんためてしまうこと。)

(161)
読みなれる
   (読むことに慣れること。「かれの悪筆にもう読み慣れてしまった」)
   (同じ文章(難解な文章・古文・漢文・外国文など)を繰り返し読み、
    つかえないで、すらすら読めるようになること。暗誦できるぐらい
    になること)

(162)
読みつける・読み付ける
   (いつも読んでなじんでいる。上と同じで、読み慣れること。)

(163)
読み込む
   (何回も読んで自分のものにすること。「たくさんの資料を集め、よく
   読み込んで書いている論文」))
   (コンピューターの中にあるデータをメモリーに記憶させる。また外に
    あるデータをコンピューターの中に入れること。)

(164)
読みそこなう
   (読む機会をのがしてしまうこと。読まないでしまうこと)

(165)
読みにくい
   (読むのが難しいこと。読みずらいこと)

(166)
読みが深い
   (隠されている意図や成り行き、物事の真相を推測することが十分に
    極めている、かんどころ・本質・真理を把握していること。
    対語・「読みが浅い」)

(167)
読みが外れる
   (物事の真相・成り行きの予測、かんどころの推測がずれている。それ
    ている。期待や予想と違う結果となること。)

(168)
腹を読む
   (相手の気持ちを推測すること、相手の考えを理解すること。「相手の
    腹を読みながら交渉をすすめる」)

(169)
手の内を読む
   (相手の心中の考えや計画を推察する、見通す、知ること。)

(170)
読み方
   (文字や単語の発音の仕方「漢字の読み方が分からない」)
   (文章を声に出して読むときの方法。「読み方がぎこちない」)
   (読んで意味内容を理解する。「地図の読み方を教える」)
   (旧制小学校の国語科の一分野。「書き方」(習字)と
    「綴り方」(作文)と「読み方」(読解と鑑賞)の三分野の一つ。)

(171)
読み書き
  (文字を読むことと書くこと。「読み書きそろばん」「読み書きの能力」)

(172)
読みがな
   (漢字の発音の仕方をしめす仮名、ふりがな。「読み仮名をつける」)

(173)
閲読
   (エツドク。調べながら丹念に読むこと。「参考文献を閲読する。」)

(174)
拝読
   (「読む」の、ていねいで、謙遜した言い方。「お手紙を拝読しま
    した。」「ご著書を拝読しました。」)

(175)
笑読・笑覧
   (ショウドク・ショウラン。笑いながら見ること・読むこと。自分の
    ものを他人に見てもらうことをへりくだって言うこと。「おひまな
    ときに御笑覧・御笑読ください。」)

(176)
読み手
   (文章など書かれたものを読む人のこと。下段(177)のカルタの
    詠み手のことも現在では「読み手」という。)

(177)
詠み手
   (詩や短歌をつくった人) (カルタの文句を声を出して読む人)

(178)
読み札
   (百人一首やカルタで、読み手が読み上げる方の札。対語「取り札」)

(179)
読みあげ算
   (珠算で、読まれる数を聞きながら計算すること。対語「見取り算」)

(180)
読みで
   (分量が多く、読みごたえがあること。「読みでのある本」)

(181)
読みごたえ・読み応え
   (読んだときに充実した満足感が得られる。「読み応えのある小説」)
   (読むのに努力を要すること。)

(182)
読み物
   (本などを読むこと。「家で読み物をする」)
   (気軽に読めるように書かれたもの。「中学生向けの読み物」)
   (読むに値するような文章。「これはちょっとした読み物だ」)
   (講釈師などが口演する演目のこと。

(183)
読み筋
   (囲碁、将棋で、先の局面の変化やその対応・手順を見通すこと。
    一般的には、将来の見通し・成り行きの見通しの筋道のこと。)

(184)
読み売り
   (江戸時代、世間の出来事を速報にした瓦版1枚または数枚刷りの
    印刷物を、内容をおもしろおかしく読み聞かせながら売り歩いた
    こと。また、その人。)

(185)
解読
   (よめなかった古文書や古代文字や暗号文などをよみとくこと。
    「暗号文を解読する」) 

(186)
読点・句点
   (読点・文の中での意味の区切りを示す記号。「、」テンのこと)
   (句点・文の終わりを示す記号。「。」マルのこと)

(187)
二度読み・三度読み・四度読み・・・・
   (使用例。最後まで読み終えた後に、お気に入りの場面(ページ・  
    文章)だけを、二度読み・三度読み・四度読み・・・・してし
    まいました。)

(188)
まわし読み・回し読み
   (本やプリントなどを、次々に、順ぐりに送り渡して読むこと。)
   「一グループ5人で同じ新聞を回し読みして、気になった記事を
    選んで、自由に意見を出し合う」

(189)
読み比べる
   (二つ以上のものをつき合わせて差異や優劣などを比較すること。
   「A新聞とB新聞とを、同一記事の取り上げ方など、違いを比べる」)

(190)
うらよみ・裏読み
   (表面上の意味内容だけでなく、隠されている意味内容を読みとること)

(191)
声色をつかって読む
   (声色とは、芸能人や有名人や役者のしゃべりかた、せりふまわし、声
    の音色や調子などをまねること、まねて言うこと・まねて読むこと。)
    教師や母親が幼児・低学年児童に絵本を読み聞かせする場合に、よく
    声色を使って読み聞かすことが多い。例、さんびきのこぶた・こぶたは、
    かわいらしく。おおかみはわざと悪がしこく読むなど。
    通常、教室で児童生徒が教科書の文章を読む場合は、意識して声色を
    つかって会話文を読む必要はない。邪道である。それらしい感じ・雰
    囲気・気持ちが出ていれば十分である。ごく普通に読んで人物の気持
    ち・表現意図がにじみ出ていれば十分である。)

(192)
読みが浅い・読みが弱い・読みが足りない
   (物事や事態の成り行きを深く見通す・予見する力が浅い・弱い・足り
   ないこと。文章における読解能力が弱い・浅い・足りないことにも使う。)

(193)
読みが深い・読みが鋭い・読みが十分だ
    (物事や事態の成り行きを深く見通す・予見する力が鋭い・十分だ
     ・鋭敏だということ。文章における読解能力が優れていることに
     も使う。)

(194)
座り読み・すわり読み
    (「立ち読み」との連関で、(71)「立ち読み」と同時掲載を
     している。二種類の「座り読み・すわり読み」について記載し
     ている。(71)「立ち読み」を参照しましょう。)

(195)
読書百遍意自ら通ず
    読書(どくしょ)百遍(ひゃっぺん)義(ぎ)自(おのずか)ら
    見(あらわ)る。繰り返し何回も読めば、どんな難しい書物でも
    意味が自然とわかってくるものだ。「読書百遍意自ら通ず」とも
    いう。

(196)
身読
   (しんどく。御書を身読する。よくよく読んで理解し、心に刻むこと)



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