父母と教師に役立つ学級懇談会の話材集    2015・2・23記




       
金銭感覚の育て方




     
豊かさがしつけをダメにする


 現在は、豊かな社会といわれ、物が豊かになったことで、子どものしつけ
教育にもいろいろな変化を及ぼしています。
 昔は貧しい生活でしたから、子ども達は当然、家の労働を手伝わざるをえ
ませんでした。親は多忙でしたから、子どもも親と一緒に労働し、子どもは
親の労働を見ながら、農耕や家事の仕事のやり方を覚えていきました。子ど
もは親から命令されなくても、子どもには子どもの仕事が決まっていました。
自分から自主的に仕事や手伝いをしなければなりませんでした。子どもはこ
うして農耕や家事の手伝いを通して労働を学び、大人になっても食いはぐれ
のない自立した人間に育っていきました。
 現在は、物が豊かで、お金さえあれば品物が容易に入手できます。電化製
品の普及によって炊事や洗濯や掃除が便利になりました。ガスや電気のスイ
ッチを押すと、簡単に煮炊きができます。炊事は、昔のようにたきぎ集めや
まき割りをしなくてもよくなりました。唇をとんがらせてプープーと吹いて、
かまどに風を送って火を燃やさなくてもよくなりました。水道の蛇口をひね
ると、水がふんだんに出てきます。昔のように井戸のポンプを上下して水を
くみだし、それを風呂場まで運んで入れるということもなくなりました。こ
のように便利になったことで、主婦だけでなく、子どもの家事もぐっと少な
くなり、家庭内で家事をとおして自立した行動を学んでいく教材がなくなっ
てしまいました。
 子ども達は、物が豊かになり、生活が便利になったことで、ぜいたくな生
活に慣れてしまっています。昔の子ども達は、いり豆が通常のおやつで、た
まに母親からいただく一つ二つの飴玉は最高のおやつでした。
 現在の子ども達は、コーヒー付きケーキとかプリンなどのおやつが通常で、
飴玉など喜びません。いり豆など、一回、二回は珍しさから口に入れるでし
ょうが、あとは見向きもしないでしょう。
 現在の親たちは、生活が便利になり、便利さに甘えてしまって、子どもの
教育についても学習塾や進学塾にまかせ、たしなみは各種の習い事の教室に
まかせ、運動は各種のスポーツ教室にまかせ、行儀作法はしつけ塾にかませ、
遊びは遊び塾のまかせ、これらの塾や教室はお金さえ支払えばいつでも入塾
できます。
 子どもは幼児の時からたくさんの「他人」にまかせられて育てられていま
す。他人まかせが多くなり、親が家庭内で教えるプログラムがぐっと少なく
なりました。便利さが、親の教育力をなくしてしまっているのです。家庭に
おける親の教育こそが、人間形成の土台であるはずなのにです。


      
物は末長く大切に使う習慣を


 現在の子ども達は、物が豊かになったが故に、物を大切にしなくなりまし
た。恵まれた物質的環境に囲まれて育っていて、消費は美徳、使い捨ての癖
がついており、むだ使いが多くなりました。短期間で飽きてしまう移り気な
子どもも多くなっています。ちょっとだけ使って、すぐ飽きてしまい、新し
いものに取り換えます。気にいった遊び道具を見つけると、直ぐ買ってほし
いと親にねだります。
 学校でも、教科書やノートや学用品の取り扱い方が乱暴で粗末に扱います。
ノートを大文字で書き進んだり、とばして書いたり、引き裂いて紙工作を作
ったりします。鉛筆や消しゴムを落としても平気です。なくしたことに気づ
かない子もいます。探そうとしません。家で道具を揃えるときに母親がだま
って補充してくれます。教室で落とし物のジャンパーやカーデガンを、教師
が「これ、だれのですか」と見せても、取りに来ません。名前が書いてある
場合は「○○と書いてあります」と言うと、始めて自分の持ち物だと気づき
ます。名前が書いてない品物は、いつまでも落し物箱に入ったままです。
 このように物が豊かになったことが、子どもの日常の基本的生活習慣のし
つけに大きな影響を及ぼしています。物を大切に使う習慣、整理整頓の習慣、
後片づけの習慣、末長く節約して使う習慣が身につかなくなっています。家
庭でしつけるべき内容が、学校で指導するようになります。忘れ物調べ、つ
め切り調べ、ハンカチ調べ、歯磨き調べ、落とし物調べ、こうした点検調査
が学級の係り活動で行われ、教師がそれを指導していくことになります。学
校の保育園化という現状がみられ、学校が家庭でしつけ内容を請け負うこと
もやるようになります。
 物が容易に手に入ると、我慢する、節約する、忍耐する、末長く大切に使
うという気持ちがなくなります。お金さえあれば、たいてのものは手に入り
ますから、世の中はお金しだいという拝金主義の考え方を持つようになりま
す。
 金儲けが人生の最高目標だという考え方になり、打算的で、要領のよい子、
がめつく、ちゃっかり屋の子ども、仕事に飽きっぽく、最小努力でらくして
効果を上げようとし、努力を嫌う子ども、こんな子どもに育つことになりま
す。


      
あと○か月は我慢して使おう


 子どもに品物を買ってほしいとねだられたと、今の親は高価なものでもむ
りして買ってやります。子どもの物欲を次々に満たしてやると、子どもは我
慢するとか、やりくりをして待つとか、物を末長く大切に使うとかの習慣を
身につけることができません。むやみやたらに物を買い与えると、節約心が
身につきません。我慢する、待つ、耐える、計画を立ててお金を大事に使う、
というしつけが身につきません。
 物を豊かに与えられると、お金のありがたみも理解できませんし、両親の
仕事の苦労や勤労の尊さも理解できなくなります。親は、自分の幼少期の貧
しい、物不足の生活をかえりみて、「わが子だけには少々むりしてでもかな
えてやろう。それが子どもの教育上、けっしてプラスにならないことは知っ
ているが、子どもに不自由な思いをさせてはかわいそうだ、ふびんだ」など
と思っているのでしょう。この親心はいけません。親は心をオニにして、子
どもから要求があっても、むやみやたらに買い与えないことです。
 物を大事に使う習慣をつけるために、子どもが今、使用しているもので間
に合うはずだ、あと○か月は我慢して大切に使ってごらん、そしたら、買っ
てやろう」と言います。これが、しつけ上手な親、賢明な親のとる態度です。
 親は、わが子を、経済的に恵まれない生活環境の中に入れて育てるほうが
いいのです。家貧しく、物乏しければ、物のありがたさが分かり、物を大切
に扱うようになり、節約や倹約の習慣も身につきます。一つの物をやりくり
して有効に使う、代用を工夫する、待つ忍耐力が身につきます。不自由すれ
ば工夫する能力も発揮するようになるし、他人の温かい思いやりや協力援助
の心も身にしみて分かるようになります。
 わが子が何かを買ってほしいと要求した時に、直ぐに買ってやるのではな
く、毎月のおこづかいを貯めて、待たせるようにしましょう。一定期間貯め
ても不足する場合は、親が追加してやるようにします。高価なものは、親が
一定額だけを出し、不足の金額は毎月のおこづかいを貯める、お年玉などの
不定期の収入を付け加えるなどして待たせます。あるいは、誕生祝いに買っ
てやるから、それまで待て、と言うのもよいでしょう。何かの記念日のかこ
つけて、記念の品物として取り扱うのも一つの方法です。直ぐに買ったやる、
これはダメです。これこれまで、待て、それまで大事に使うように、と言い
ましょう。
 子どもに、あと何カ月でほし品物が入手できると、待ちこがれるようにさ
せます。計画を立てて、お金を貯めて、待って待たせて、やっと手に入る喜
びを味わわせるようにします。「お正月まで待て」「4年生になったら買っ
たやる」「誕生日まで待て」と期間限定で待たせるのもよいでしょう。そう
すれば忍耐力も身につくし、物を大事に扱うようにもなります。待って、待
って、待ち望んだもの、手に入れたものは、大事に扱うようになります。
 母親が前貸しをして、子どもが将来の入金の明るい見通しを持たせて、待
たせる経験をさせるのもよいでしょう。待たせるにしても長すぎず、せいぜ
い半年〜1年ぐらいまでがよいでしょう。品物によっても違ってきます。
 親がドケチで品物を買ってやらないとか、毎月のお小遣いが小額で、2,
3年後にしか購入できないという暗い見通しをもたせるのもよくありません。
その場合は、親が毎月にお小遣いを増額して早く購入できるようにしてやる
配慮が必要でしょう。親がドケチすぎると、子どもは親の財布からそっと失
敬したり、万引きしたり、気の弱い同級生や下級生からカンパと称して「一
週間以内に3万円がいる。一人2千円ずつカンパしてくれ」と、たかりやお
どしでお金を集めたりするようになります。



     
「もったいない」を言わせよう


 節約心を養うために、親はわが子に「もったいない」というコトバを言わ
せるようにしましょう。
「電気のつけっぱなし、もったいない」
「テレビやラジオのつけっぱなし。もったいない」
「水道の出しっぱなし、もったいない」
「おかずの残り、もったいない」
「焼き魚の下手なむしり方、もったいない」
「ご飯粒ののこり、もったいない」
「ちり紙のむだ使い、もったいない」
「ノートのとばし書き」もったいない。
「古道具のゴミだし、もったいない」
「このバスケット。もったいない。外の物として使えないかな」
「この靴下、ちょっと穴ができた。もったいない。ぬいつけて、再利用しよ
う」
「洋服のお古、もったいないね、隣りのゆかりさんなら着られそうね。さし
あげようかしら。喜びそうね」
「赤ちゃんの時の絵本、おもちゃ、捨てるのはもったいない。あなたが卒園
した幼稚園にさしあげようかしら」
 親が、わが子にこう話しかけて、物を粗末に扱わない、再利用の方法はな
いかしら、と、お子さんに相談を持ちかけてみたらどうだろう。



        
使用期限を設ける


 わが子に新しい筆箱を買って与えたとします。

母「この筆箱、小学校卒業まで使ってね。卒業まで、末長く使ってね。中学
  校に入学したら新しい筆箱をかってあげるからね。」

母「この消しゴム、3年生の終わりまで使ってね。それまで、新しい消しゴ
  ムを買ってやりません。お母さんの小学校の頃は、日の出マークのつい
  た消しゴムがあって、日の出の消しゴムだぞって、みんなに自慢して、
  大事に、大事に使って、三年間も同じものを使ってたわよ」

母「お母さんが使っている、このヘヤードライヤーね。これ、お母さんがお
  父さんと結婚した時に買いそろえたものよ。もう12年も使っているの
  よ。ずいぶん長持ちするわね。大事に大事に使っているからよ」

母「このお財布ね。おばあちゃんが使っていたものを、お母さんへプレゼン
  トしてくれたものよ。おばあちゃんとお母さんとで、もう42年間も使
  っているのよ。宝物よ。あなたの宝物は何?」

 兄弟姉妹で長持ち競争をするのもいいでしょう。こうして、節約心や倹約
心の習慣を身につけさせていきます。



    
不必要なものを買ってと言われたら


 子どもから、「誰ちゃんも買った、誰ちゃんも買った、私にも買って」と
いわれたら、親の判断で必要ないと思ったら、「うちは必要ではありません。
これで我慢しなさい。」「よそはそよ、うちはうち、まねする必要はありま
せん。」「高額すぎます。うちには、それを買うだけのお金の余裕がありま
せん」と、はっきりと告げましょう。
 または、「あなたのお小遣いをためて買いましょう」「高学年生になった
ら買ってあげます」「夏のボーナスが入ったら、買ってあげます」と答えま
す。
 親が、不必要だと判断したら、不必要な理由をていねいに語って聞かせて、
了解を得るように説得します。「その代わりに○○を買ってやりましょう」
と、代用(まはたそれと関連のない別物)を買うようにするのもよいでしょ
う。
 いいかげんな返事、あいまいな返事を、だらだら引き延ばすのはやめまし
ょう。親の考えをはっきりと伝えましょう。



      
計画的に使う経験を積ませる


 こづかいの与え方は、それぞれの家庭によってさまざまでしょう。その都
度、必要額だけを与える。週に一度、一定額を与える。月に一度、一定額を
与える。などが考えられます。与える金額も、それぞれの家庭によって違っ
てくるはずです。
 こづかいの与え方は、それぞれの家庭の流儀でよいわけですが、一般論で
言えば、小学校1,2年生はその都度に必要に応じて必要額だけを与える、
小学校3,4年生は週ごとに一定額を与える、小学校5,6年生以上は、月
ごとに一定額を与える、という方法が多いと思われます。お金を管理する能
力が十分でないうちは、短期間に区切って与えるようにし、高学年になるに
従ってしだいに期間を長くしていくのがよいでしょう。
 お手伝いをしたら親が報酬(お金)を払うなんてとんでもないことです。
家事は家族全員がみんなで協力して行うべきものですから、子どもがいつも
している普段のお手伝いは家族の一員として当然にすべきことをしているだ
けです。だから、お手伝いにお金を払う必要はありません。
 しかし、母親が父親が通常やらなければならない領域の仕事(家事)があ
るはずです。また、兄や姉が通常やっている家事があるはずです。どうして
もその家事を、外の子に頼まなければならない場合が出てくることもありま
す。あるいは、特別な仕事が出てきて、どうしても手が離せないという場合
も出てきます。
 子どもが、特別な家事の手伝いをした時、特別なお手伝いをまじめに真剣
に汗をいっぱいかいてなしとげた場合などは、子どもに少しばかりの報酬
(お金)を与えることは悪いことではありません。何か特別な手伝いをした
時は、それに報酬を与えることで、ひたいに汗して熱心に働らくことの値打
ち・価値が分かります。まじめに汗をかいて働かなければ、報酬(お金)は
得られないものであることを実感させることも大切です。子どもの時から、
労働の対価として報酬(お金)があることを実感させておくことも必要です。
 買い物は、予算の計画を立てさせます。金額の範囲内で、何から、どんな
順番で買っていけばよいかを考えさせます。欲しい品物があったら、同種類
の品物をあちらこちらの商店売り場を渡り歩いて性能や定価やサービスなど
を調査し、品定めをして、予算を立てて、見通しを立てて、お金のやりくり
を考えて買うようにさせます。こうすることが買い物を楽しむということ、
買い物上手だと教えます。
 おこずかいを貯めて、少しずつ増やして、買いたい品物の値段に達するま
でに待たせることも大切です。こうしたことが買い物の楽しみでもあります。
欲しい品物はたくさんあるでしょうが、さしあたって、今は何をいちばん必
要としているか、何から順番に買っていくか、決められた枠の中でいかに有
効にお金を使っていくか、いろいろと工夫させます。予算生活をさせること
は、自立性を育てることにもなり、経済生活を計画的にする力を育てること
にもなります。

          
 参考資料(1)

 下記は、読売新聞(2014・12・28)の投書欄「気流」に掲載されていた記
事です。

        風呂沸かし5円
            主婦 八村衣江 74 (熊本県玉名市)

 子どもの頃は、貧しく小遣いなんてほど遠い暮らしだった。それでも小遣
いが欲しくて父と交渉した。母がやっていた、風呂沸かしを頑張るから5円
欲しいと頼み、OKとなった。
 井戸水をポンプでくみ上げ、10メートル離れた五右衛門風呂に運ぶ。そ
の合間にまきを燃やす。が、20回ほど運んでも、半分ぐらいしか水はたま
らず、大変だったが、ようやく風呂がわいた。
 もらった小遣いで翌日、竹の棒についた三角アメを買ってほおばったが、
とてもおいしかった。

           
(2)参考資料

 下記は、毎日新聞(2014・3・20)の投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。

        実現させたい 家族旅行
              小学生 吉田恵樹 12(東京都江戸川区)

 ぼくは家族のことが大好きです。だから、家族を自分のお金で旅行に連れ
ていってあげたいです。その計画を書きます。
 まず初めに、中学校を卒業して高校も卒業します。高校生の時に、バイト
をしてお金を稼ぎます。その後は就職します。
 次に旅行先です。ぼくは、海がきれいで観光客が多く、人気があるところ
に行きたいです。たとえば沖縄やハワイなどです。この旅行で親孝行をした
いと思います。 
 この12年間ぼくを育ててくれた恩を返そうと思うからです。この旅行は
3拍4日です。理由はこの旅行を十分に満喫したいと思ったからです。
 この旅行で「ありがとう」や「楽しかったよ。またつれてってね」などと
言われたいです。ぼくはこの旅行を現実にするために、これからたくさん勉
強して高校まで卒業し、就職してお金をためます。そして、家族を笑顔にさ
せたいです。



     
小遣いの使い方は子どもに任せる


 こづかいの使いみちについては、子どもに任せるようにします。親は相談
にのってやったり助言するのはいいですが、これはこれに使いなさいという
口出しや命令・禁止はしないようにします。子どもは、初めは無駄な使い方
をしたり、失敗したりの買い物をするかもしれません。しかし、長い目で育
てていけば、失敗がよい経験となり、無駄使いをすることもなくなり、買い
物上手となっていくことでしょう。
 こづかい帳をつけるのは、小学校低学年ではむりです。4年生以上になっ
たら、こづかい帳の収支計算の記入の仕方もできるようになるし、それをつ
けることでむだ使いの反省材料として使うようにもなります。
 こづかいを与えて、自分で品物を計画的に買う経験を積ませることによっ
て、お金のありがたさが分かるようになります。予算生活をすることで、お
金のねうちが分かってきます。品物を買えば、お金は減っていくのもだと分
かります。お金はむやみやたらに使うものでないことが分かってきます。物
を大切に使う節約心が育ちます。節約心が育てば、物の整理整頓もよくなり
ます。お金は親が苦労して労働して得たものであることを知り、親に感謝す
る心が育ちます。
 親が買って与えてしまうのでなく、子どもにお金をやって、子どもの意思
で、判断で、これにしよう、いや、こっちにしよう、などと工夫させ、考え
させながら、消費生活をする機会を与えるはも、とてもよい方法です。



     
家計のやりくりを親子で考え合う


 日本人はどういうわけか、お金のことを口に出して言うのは、はしたない、
道義に反する、という考え方があるようです。これはよくありません。子ど
もの前で、いろいろとお金のことについて語って聞かせることが、金銭教育、
賢い消費者を形成するためには必要なことです。
 家庭は火宅であることを、小さい頃から感じさせておく必要もあります。
親は子どもと一緒に買い物の計画を考え合いましょう。子どもと一緒に商店
街やスーパーやデパートへ行き、あちこちと品定めをしたり、定価を調査し
たりして、どんな予算で、どんな買い方をしたら上手な買い物になるかを一
緒に考え合いましょう。母親は子どもと一緒に今晩の夕食は何にするか、そ
の予算の計画について話し合ったりしてみましょう。
 カレーライスにするか、すき焼きにするか。カレーライスにすると、材料
は何と何を買う、どれぐらいの量を買う、合計はいくらの金額になるか。す
き焼きにすると、材料は何と何を買う、どれぐらいの量を買う、合計はいく
らの金額になるか、二つを比較して、今晩の夕食はどちらにするか、どちら
を食べたいか。
 わが家で小動物を飼育するとします。カナリアを飼育するか、金魚を飼育
するか、カナリアにすると、鳥かごがいくら、お水入れがいくら、えさ代が
いくら、合計がいくらになるか。金魚にすると、水槽がいくら、空気ポンプ
がいくら、えさ代がいくら、合計がいくらになる。さて、どちらを選択する
か。このように子どもと一緒に考え合うようにします。
 親戚で、赤ちゃんが誕生した。何の贈り物をすると喜ばれるか、などにつ
いても親子で一緒に考え合ってみましょう。母親からわが子に相談を持ちか
けてみましょう。
 親子で、家計のやりくりや、日常の予算生活の仕方について一緒に考え合
うと、子どもは家族の一員としての自覚を持って行動するようになります。
わが家の生活内容に立ち入らせ、一緒に協力して仕事をさせ、家事運営に労
力とチエを提供するようにさせます。子どもは、家事の内容や、家計の実態
が分かれば、無駄使いをしなくなるし、あれが欲しい、これが欲しいと、親
にむりな要求を出さなくなります。お金のありがたみも分かり、買い物上手
になり、無駄な出費をしない大人に成長していくことでしょう。


          
参考資料(1)

 下記は、読売新聞(2014・12・28)の投書欄「気流」に掲載されていた記
事です。このような親のやりくりをわが子に話して聞かせるのは、とてもよ
いことです。

        多めの貯金励行
            会社員 増田 純 39 (富山県立山町)

 勤め先は、こなした仕事量によって毎月の給料が変わる仕組みになってい
る。私の小遣いも給料に応じて増減する。
 小遣いは、まず決まった額を貯金し、残りを嗜好品に充てる。給料が少な
い月は、小遣いも足りない事態になってしまうこともある。そこで、小遣い
が多い時は、少ない月に備えて余計に貯金することにした。あるだけ使って
しまうのではなく、あらかじめ残しておくのだ。
 お陰で、常に一定の小遣いとなり、ほしいモノを我慢することはなくなっ
た。


          
参考資料(2)

 下記も、上と同く読売新聞(2014・12・28)の投書欄「気流」に掲載され
ていた記事です。このような親のやりくりをわが子に見せてあげるのは、と
てもよいことです。

        弁当作り実質増
              会社員 野瀬貴久 50 (名古屋市)

 小遣いの実質的増のため、昼食を弁当にした。可能な限り、自分で弁当を
詰めている。自分が食べるものなので、腹が膨れれば良い、と考えることに
しており、ご飯と梅干だけの「日の丸弁当」でも構わない。
 昼食代はかからず、必要なのはコーヒー代ぐらいだ。これで、欲しい本も
ためらわずに買えるし、浮かせたお金で、月に一度程度は家族で、おいしい
ものを食べに行けるようにもなった。



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