音読授業を創る そのA面とB面と           2011・05・05記



  
説明文指導に分読(役割音読、群読)
           を取り入れた授業例



  説明文授業にも、分読(役割音読、群読)を取り入れて読解指導に役立
てることができます。説明文の中に次のような文章個所(文章構造)がある
と、分読(役割音読、群読)を取り入れて、児童に分かりやすく理解させる
ことができます。

 

(1)「問題文」と「答えの文」の分担読み。
(2)「リード文」と「第一に」と「第二に」と「第三に」と「第四に」、
   などの分担読み。
(3)「リード文」と「はじめに」と「つぎに」と「それから」と「そし
   て」と「さいごに」と「このように」、などの分担読み。
(4)「理由個所」と「結論個所」の分担読み。
(5)「抽象個所」と「具体個所・具体例」の分担読み。
(6)「データ個所」と「まとめ個所」の分担読み。
(7)「例示個所・たとえば」と「まとめ個所」の分担読み。
(8)「論証個所」と「要約・整理・まとめの個所」の分担読み。
(9) 頭括型文型で分かれる個所の分担読み。
(10)双括型文型で分かれる個所の分担読み。
(11)尾括型文型で分かれる個所の分担読み。
(12)「論証」個所と「筆者の主張・結論」個所の分担読み。
(13)「原因」個所と「結果」個所、「データ」個所と「意見」個所の分
     担読み。
(14)対句表現や、対比・比較表現してる個所の分担読み。
(15)その他


  本稿では、下記の説明文教材に分読を取り入れた指導例を書いています。
前記1から13までのどの文章構造に相当するかについて対応させると次の
ようになります
「どうぶつの赤ちゃん」──(1)「問題文」と「答えの文」、の分担読み。
「ものの名まえ」──(5)「抽象個所」と「具体個所・具体例」「上位概
           念」と「下位概念」との分担読み。
「かげふみおにをしよう」──(1)「問題文」と「答えの文」の分担読み。
「パン工場の見学」──(3)「リード文」と「はじめに」「つぎに」  
              「それから」「そして」「さいごに」と「こ
              のように」などの分担読み。
「カブトガニ」──(2)「リード文」と「第一に」と「第二に」と「第三
             に」と「第四に」などの分担読み。
「花を見つける手がかり」──(1)「問題文」と「答えの文」の分担読み。
              そのほか(4)(6)(7)(8)の混合。
「暮らしの中の和と洋」──(14)対句表現や、対比・比較表現の分担読
              み。

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「どうぶつの赤ちゃん」に分読を取り入れた例



分読を取り入れる原文個所

    どうぶつの赤ちゃんは、生まれたばかりときは、どんな
   ようすをしているのでしょう。
    ライオンの赤ちゃんは、生まれたときは、子ねこぐらい
   の大きさです。目や耳は、とじたままです。ライオンは、
   どうぶつの王さまといわれます。けれども、赤ちゃんは、
   よわよわしくて、おかあさんいあまりにていません。
    ライオンの赤ちゃんは、じぶんではあるくことができ
   ません。よそへいくときは、おかあさんの口にくわえて
   はこんでもらうのです。       (光村1下)


★文章構成

  【問題の文】
   どうぶつの赤ちゃんは、生まれたばかりときは、どんな
   ようすをしているのでしょう。

  
【答えの文】
    ライオンの赤ちゃんは、生まれたときは、子ねこぐらい
   の大きさです。目や耳は、とじたままです。ライオンは、
   どうぶつの王さまといわれます。けれども、赤ちゃんは、
   よわよわしくて、おかあさんいあまりにていません。
    ライオンの赤ちゃんは、じぶんではあるくことができ
   ません。よそへいくときは、おかあさんの口にくわえて
   はこんでもらうのです。

分読を取り入れる目的と方法

 「問題の文」と「答えの文」とを区別して役割音読をします。こうすると
分かりやすく理解させることができます。
  説明文には、問題文(課題提示文)と、それに対する答えの文(解答
文)という構造になってる文章構成が多くみられます。これら二個所を区別
して分読することで内容理解を容易にするという指導方法です。
 「問題の文」(児童用語では、「問題を出す人」とか「問題をいう人」と
か「質問をだす人」とか、いろいろあるでしょう。児童の発想で学級独自な
自由な名づけでよいしょう)ここでは簡単にAと略記しています。
 「答えの文」(児童用語では、「答えをいう人」とか「答えの文をいう
人」などもあるでしょう)ここではBと略記しています。
  AとBの人数配分は、一対一、二対二、グループ対グループなど、いろ
いろあるでしょう。問題文は担任教師、答えの文は児童全員という組み合わ
せもあるでしょう。


【一案】
A 「どうぶつの赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、どんなようすをし
   ているのでしょう。」
B 「ライオンの赤ちゃんは、生まれたときは、子ねこぐらいの大きさです。
   目や耳は、とじたままです。ライオンは、どうぶつの王さまといわれ
   ます。けれども、赤ちゃんは、よわよわしくて、おかあさんいあまり
   にていません。
   ライオンの赤ちゃんは、じぶんではあるくことができません。よそへ
   いくときは、おかあさんの口にくわえてはこんでもらうのです。」

【二案】
A 「これから もんだいを だします。」
  「ライオンの赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、どんなようすをし
   ているのでしょう。」
B 「これから こたえを いいます。」
  「ライオンの赤ちゃんは、生まれたときは、子ねこぐらいの大きさです。
   目や耳は、とじたままです。ライオンは、どうぶつの王さまといわれ
   ます。けれども、赤ちゃんは、よわよわしくて、おかあさんいあまり
   にていません。
   ライオンの赤ちゃんは、じぶんではあるくことができません。よそへ
   いくときは、おかあさんの口にくわえてはこんでもらうのです。」

【三案】
A 「どうぶつの赤ちゃんは、どのようにして、大きくなっていくのでしょ
   う。」
B 「ライオンの赤ちゃんは、生まれて二か月ぐらいは、おちちだけのんで
   いますが、やがて、あかあさんがとったえものをたべはじめます。一
   いたつと、おかあさんのするのを見て、えもののとりかたをおぼえま
   す。そして、じぶんでつかまえてたべるようになります。」


【四案】
A 「みなさん、いいですか。もんだいぶんを いいます。」
  「ライオンの赤ちゃんは、どのようにして、大きくなっていくのでしょ
   う。」
B 「もんだいに こたえます。こたえのぶんを みんなで よみます。
  「ライオンの赤ちゃんは、生まれて二か月ぐらいは、おちちだけのんで
   いますが、やがて、あかあさんがとったえものをたべはじめます。一
   年ぐらいたつと、おかあさんのするのを見て、えもののとりかたをお
   ぼえます。そして、じぶんでつかまえてたべるようになります。」

【五案】
A 「どうぶつの赤ちゃんは、どのようにして、大きくなっていくのでしょ
   う。ライオンのばあいは、どうですか。」
B 「ライオンの赤ちゃんは、生まれて二か月ぐらいは、おちちだけのんで
   いますが、やがて、あかあさんがとったえものをたべはじめます。一
   年ぐらいたつと、おかあさんのするのを見て、えもののとりかたをお
   ぼえます。そして、じぶんでつかまえてたべるようになります。」
A 「しまうまの赤ちゃんは、どうですか。」
B 「しまうまの赤ちゃんが、おかあさんのおちちだけのんでいるのは、た
   った七日ぐらいのあいだです。そのあとは、おちちものみますが、じ
   ぶんで草もたべるようになります。」

 同じようにして「しまうま」の個所も、役割音読で分読ができます。上記
は一つの例ですので、各教師のアイデアでご自由に指導なさってください。
 このような役割音読をすることで、この全文章は「問い」と「答え」の文
章構造になっていることを音声表現の区分けで感覚的に把握できます。文章
構造に即して内容理解が容易にできるようになるでしょう。

 なお、「どうぶつの赤ちゃん」の音読授業をデザインする、を本HPに掲
載しています。そちらも参考にしてお役立ていただければと思います。

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「ものの名まえ」に分読を取り入れた例



分読を取り入れる原文個所

  
 ものには、一つ一つに名まえがついています。
  りんご、みかん、バナナなどは、一つ一つの名まえです。

   けんじくんは、夕がた、おねえさんと町へかいものにい
  きました。
   りんご、みかん、バナナなどをうっていました。ふたり
  は、五百円でりんごをかいました。
   このおみせは、なにやさんでしょう。
   はい、くだものやさんです。

   ひとつひとつの名まえを、まとめていう名まえもありま
  す。
   りんご、みかん、バナナなどをまとめていう名まえは、
  「くだもの」です。
   あじ、さば、たいなどをまとめていう名まえは、「さか
  な」です。
   一つ一つをわけていうときには、「りんご、みかん、バナ
  ナ」とか、「あじ、さば、たい」などと、いいます。

   けんじくんは、さかなやさんにいきました。
  あじ、さば、たいなどが、ならんでいます。けんじくんが、
  「さかなをください。」といって、千円さつを出しました。
  おみせのおじさんは、「さかなじゃわからないよ。」と、
  わらいながらいいました。
   おじさんは、「なぜ、わからないよ。」といったのでしょう。
 「さかな」は、「あじ、さば、たい」などを、ひっくるめて、
  ひとまとめにしていう名まえです。「さかな」は、一つ一つ     
  の名まえでありません。さかなやのおみせにあるものぜんぶ     
  が「さかな」だからです。一つ一つの名まえをいわないと、     
  なんのさかなかわかりません。


★分読を取り入れる目的と方法

 本教材は、ものの名前には抽象概念(上位概念、つつむ・含む概念)と具
体概念(下位概念、つつまれる・含まれる概念)があることを理解させる文
章内容です。

Aグループ   けんじくんは、夕がた、おねえさんと町へかいものにい
        きました。
        りんご、みかん、バナナなどをうっていました。ふたり
        は、五百円でりんごをかいました。
        このおみせは、なにやさんでしょう。
Bグループ   はい、くだものやさんです。

Aグループ   ひとつひとつの名まえを、まとめていう名まえもありま
        す。
Bグループ   りんご、みかん、バナナなどをまとめていう名まえは、
        「くだもの」です。
Cグループ   あじ、さば、たいなどをまとめていう名まえは、「さか
        な」です。
Dグループ   一つ一つをわけていうときには、「りんご、みかん、バナ
        ナ」とか、「あじ、さば、たい」などと、いいます。

Aグループ   けんじくんは、さかなやさんにいきました。
Bグループ   あじ、さば、たいなどが、ならんでいます。
Cグループ   けんじくんが、「さかなをください。」といって、千円さ
        つを出しました。
Dグループ   おみせのおじさんは、「さかなじゃわからないよ。」と、
        わらいながらいいました。
男子全員     おじさんは、「なぜ、わからないよ。」といったのでし
        ょう。
女子全員    「さかな」は、「あじ、さば、たい」などを、ひっくるめ
        て、ひとまとめにしていう名まえです。「さかな」は、一
        つ一つの名まえでありません。さかなやのおみせにあるも
        のぜんぶが「さかな」だからです。
男女全員    一つ一つの名まえをいわないと、なんのさかなかわかりま
        せん。

 次の群読台本は、本教材の内容を整理し、簡略にまとめ、リライトした台
本内容です。この群読台本は、本教材の国語授業の最後のまとめとして、
「まとめ学習」をするのに使うことを目あてに作成しています。

まとめ教材としての分読例

(人数配分は、一対一、二対二、グループ対グループでも、いろいろでき 
 る。人数配分やグループ分けは学級の実態に応じてご自由に)

Aグループ  ものには、一つ一つに名まえがついています。
Bグループ  りんご、みかん、バナナなどは、一つ一つの名まえです。

Aグループ  けんじくんは、夕がた、おねえさんと町へかいものにいきま
       した。
Bグループ  りんご、みかん、バナナなどがうっていました。
Cグループ  ふたりは、五百円でりんごをかいました。
男子全員   このおみせは、なにやさんでしょう。
女子全員   はい、くだものやさんです。

Aグループ  ひとつひとつの名まえを、まとめていう名まえがあります。
Aグループ  りんご、みかん、バナナなどをまとめていう名まえは、「く
       だもの」です。
Bグループ  あじ、さば、たいなどをまとめていう名まえは、「さかな」
       です。
Cグループ  一つ一つをわけていうときには、「りんご、みかん、バナ
       ナ」とか、「あじ、さば、たい」などと、いいます。

Aグループ  けんじくんは、さかなやさんにいきました。
Bグループ  あじ、さば、たいなどが、ならんでいます。
Cグループ  けんじくんが、「さかなをください。」といって、千円さつ
       を出しました。
男子全員   おみせのおじさんは、「さかなじゃわからないよ。」と、わ
       らいながらいいました。
女子全員   おじさんは、「なぜ、わからないよ。」といったのでしょう。
男女全員   「さかな」は、「あじ、さば、たい」などを、ひっくるめて、
       ひとまとめにしていう名まえだからです。「さかな」は、一
       つ一つの名まえでありません。さかなやのおみせにあるもの
       ぜんぶが「さかな」だからです。一つ一つの名まえをいわな
       いと、なんのさかなかわかりません。

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「かげふみおにをしよう」に分読を取り入れた例



★分読を取り入れる原文個所(その1)

   
 かげふみおにができるのは、どんなときでしょう。
    雨ふりの日には、かげはできません。くもった日も、かげは
   うすくて、はっきりしません。晴れた日でも、太陽が雲にかくれ
   て、日がささなくなると、かげはできません。かげは、光に当
   たると、できます。だから、かげふみおにができるのは、雲の
   ない、よく晴れた日です。      

★文章構成

  【問題の文】
    かげふみおにができるのは、どんなときでしょう。

  
【答えの文】
    雨ふりの日には、かげはできません。くもった日も、かげは
   うすくて、はきりしません。晴れた日でも、太陽が雲にかくれ
   て、日がささなくなると、かげはできません。かげは、光に当
   たると、できます。だから、かげふみおにができるのは、雲の
   ない、よく晴れた日です。



分読を取り入れる目的と方法

  ここの文章も「問題の文」と「答えの文」とを区別して役割音読をして
分かりやすく理解させることができます。
「問題文を読む人」をAとする。「答えの文を読む人」をBとする。
 AとBの人数の配分は、一対一、二対二など、グループ対グループなど、
問題文は担任教師、答え文は児童など、いろいろとあるでしょう。
 次に台本だけを書きます。
人数の配分は、いろいろと変化させることができます。機械的に分けるので
なく、集団音声の現れ方によって人数配分を違えるこころみをするとよいで
しょう。集団音声による表現効果力が高まることを考えながら人数変更や読
み手変更をしていきます。

【一案】
A 「これから問題文を言います。(これから問題を出します)。
   かげふみおにができるのは、どんな天気の日でしょう。」
B 「これから答えの文を言います。(これから答えをいいます)
   雨ふりの日には、かげはできません。くもった日も、かげはうすくて、
   はっきりしません。晴れた日でも、太陽が雲にかくれて、日がささな
   くなると、かげはできません。かげは、光に当たると、できます。だ
   から、かげふみおにができるのは、雲のない、よく晴れた日です。

【二案】
A 「これから問題文を言います。(これから問題を出します)。
   かげふみおにができるのは、どんな天気の日でしょう。」
B 「これから答えの文を言います。(これから答えを言います)。
   かげは、光に当たると、できます。だから、かげふみおにができるの
   は、雲のない、よく晴れた日です。」
または、Bだけ変更して
B 「かげふみおにができるのは、雲のない、よく晴れた日です。」

【三案】
A 「これから問題文を言います。(これから問題を出します。言いま
   す。)かげふみおにができるのは、どんな天気の日でしょう。」
B全員 「これから答えの文を言います。(これから答えを言います)」
B1 「雨ふりの日には、かげはできません。」
B2 「くもった日も、かげはうすくて、はっきりしません。」
B3 「晴れた日でも、太陽が雲にかくれて、日がささなくなると、かげは
    できません。」
B4 「かげは、光に当たると、できます。だから、かげふみおにができる
    のは、雲のない、よく晴れた日です。」
(注記)B4は、B1・2・3・4の四人が声を揃えた集団読みでもよ
いでしょう。B1からB4までは、ここでは一人語りを予定していますが、
数人のグループ読みにしてもよいでしょう。

★分読を取り入れる目的と方法

 ここの教材文個所は文章構成として、課題提示文と解答文との二つに分
かれていることを知らせる指導です。問題を出している文章個所と、その答
えを述べている文章個所とがあることを、分担読みをすることで、音声に出
すという音声表現を通して明確に理解させる指導です。
 Aは問題を出す人(グループ)、Bは答えを言う人(グループ)、という
ことを事前にはっきりと知らせておくことが重要です。読み手児童を二つに
組み分けをして(二つのグループが教室内で立つ場所を違えて)から言わせ
るとはっきりするでしょう。二つを、赤白の運動帽子とかハチマキとか紙看
板を身につけるとか、工夫があるのもよいでしょう。
 A個所は、一文です。問題文です。問いかけ文です。質問しているように
文末をしりあがりに音声表現するとよいでしょう。
 B個所は、五文です。B個所を、一人で全部を読む場合も、四人や五人で
(一人が一文読みで)つなげて読む場合もあります。ここは答え個所ですか
ら、五文がひとつながりの意識で、ひとまとまりの音調で、連続する、つな
がっていることに気をつかって音声表現することが大切です。

分読を取り入れる原文個所(その2)

   よく晴れた日に外に出て、太陽にむかって立ってみましょう。
  また、太陽にせなかをむけて立ってみましょう。かげは、どこ
  にできますか。太陽にむかって立つと、かげは、体の後ろにで
  きます。太陽にせなかをむけて立つと、かげは、体の前にでき
  ます。かげは、太陽とはんたいの方にできるのです。


★分読の例

【一案】
A 「よく晴れた日に外に出て、太陽にむかって立ってみましょう。また、
  太陽にせなかをむけて立ってみましょう。かげは、どこにできまか。」
B 「太陽にむかって立つと、かげは、体の後ろにできます。太陽にせなか
   をむけて立つと、かげは、体の前にできます。かげは、太陽とはんた
   いの方にできるのです。」

【二案】
A 「かげは、どこにできますか」
B 「かげは、太陽とはんたいの方にできるのです。(できます。)」

【三案】
A1 「よく晴れた日に外に出て、太陽にむかって立ってみましょう。」
A2 「また、太陽にせなかをむけて立ってみましょう。」
A12「かげは、どこにできますか。」
B1 「太陽にむかって立つと、かげは、体の後ろにできます。」
B2 「太陽にせなかをむけて立つと、かげは、体の前にできます。」
B12「(だから)かげは、太陽とはんたいの方にできるのです。」

★分読を取り入れる目的と方法

 文章構成として、課題提示文と解答文とが二つに分かれていることを知ら
せる指導です。問題を出している文章個所と、その答えを述べている文章個
所とがあることを、分担読みをすることで、音声に出すという身体表現を通
して明確に理解させることができます。
 Aは問題を出す人(グループ)、Bは答えを言う人(グループ)、という
ことを事前にはっきりと知らせておくことが重要です。組み分けをして(二
つの立つ場所を違えて)から言わせることも重要です。二つを、色別の帽子
とかハチマキとか紙看板を身につけるとか、工夫があるとよいでしょう。
 A個所には、三文があります。Aの全部を一人で読む場合も、一人読みで
三人がつなげて読む場合も、ここは問題を出している文章個所だから、ひと
つながりの意識で、ひとまとまりの音調で、連続する、つながっていること
に気をつかって音声表現することです。B個所も、同じことが言えます。

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「パン工場の見学」に分読を取り入れた例



★分読を取り入れる原文個所

   
きのう、わたしたちは、みなみ町のパン工場へ見学に行き
  ました。
   はじめに、工場の前で、おじさんの話を聞きました。
  「一日、三まんこのパンを作ります。」
  という話を聞いて、みんなびっくりしました。
  小麦粉は、アメリカやオーストラリアから来るのだそうです。
   つぎに、工場の中へ入りました。
   入ったところで、水と小麦粉とイーストきんをミキサーで
  まぜてパンのきじを作っていました。
   こんどは、パンのきじをまるめるところを見ました。白く
  てとろとろしたパンのきじが、きかいから出て来る時は、た
  まごのような形になっていました。
   それから、はっこう室へ入りました。たまごの形のパンの
  きじが、ここではふっくらとふくらんでいました。これをや
  くのだそうです。
   おしまいに、パンをふくろにつめるところを見ました。
  長いおびのようなビニルのふくろの中に、パンが入ったかと
  思うと、きかいがガチャンと下りて、ふくろづめができてい
  ました。
   見学が終わってから、工場のおじさんたちにおれいをいっ
  てかえりました。         (旧版、東書2上)


文章構成

 
【リード文】
   きのう、わたしたちは、みなみ町のパン工場へ見学に行き
  ました。

 
【はじめに、順番1】
   はじめに、工場の前で、おじさんの話を聞きました。
  「一日、三まんこのパンを作ります。」
  という話を聞いて、みんなびっくりしました。
  小麦粉は、アメリカやオーストラリアから来るのだそうです。

 
【つぎに、順番2】
   つぎに、工場の中へ入りました。
   入ったところで、水と小麦粉とイーストきんをミキサーで
  まぜてパンのきじを作っていました。

 
【こんどは、順番3】
   こんどは、パンのきじをまるめるところを見ました。白く
  てとろとろしたパンのきじが、きかいから出て来る時は、た
  まごのような形になっていました。

 
【それから、順番4】
   それから、はっこう室へ入りました。たまごの形のパンの
  きじが、ここではふっくらとふくらんでいました。これをや
  くのだそうです。

 
【おしまいに、順番5】
   おしまいに、パンをふくろにつめるところを見ました。
  長いおびのようなビニルのふくろの中に、パンが入ったかと
  思うと、きかいがガチャンと下りて、ふくろづめができてい
  ました。

 
【見学が終わってから、順番6。まとめ文】
   見学が終わってから、工場のおじさんたちにおれいをいっ
  てかえりました。

★分読を取り入れる目的と方法

 見学した順番に書かれています。とても分かりやすい書かれ方です。「は
じめに。つぎに。こんどは。それから。おしまいに。見学が終わってから」
のような順番を示すリードの言葉が書いてあって、見学したことの報告文と
しては、よい書き方の文章です。
読み手を四つのグループに分けます。はじめグループ、つぎにグループ、こ
んどはグループ、それからグループ、あしまいグループを作ります。グルー
プ内の人数は、学級全員を5グループに分けるのが簡単でよいかも、と思い
ます。が、どんな人数配分でもかまわないです。

★分読例  

 
学級全員
  きのう、わたしたちは、みなみ町のパン工場へ見学に行きました。
「はじめに」グループ 
  はじめに、工場の前で、おじさんの話を聞きました。
  「一日、三まんこのパンを作ります。」
  という話を聞いて、みんなびっくりしました。
  小麦粉は、アメリカやオーストラリアから来るのだそうです。
「つぎに」グループ
  つぎに、工場の中へ入りました。
  入ったところで、水と小麦粉とイーストきんをミキサーでまぜてパン 
  のきじを作っていました。
「こんどは」グループ
  こんどは、パンのきじをまるめるところを見ました。白く
  てとろとろしたパンのきじが、きかいから出て来る時は、た
  まごのような形になっていました。
「それから」グループ
  それから、はっこう室へ入りました。たまごの形のパンのきじが、ここ
  ではふっくらとふくらんでいました。これをやくのだそうです。
「おしまいに」グループ
  おしまいに、パンをふくろにつめるところを見ました。
  長いおびのようなビニルのふくろの中に、パンが入ったかと思うと、き
  かいがガチャンと下りて、ふくろづめができていました。
 
学級全員
  見学が終わってから、工場のおじさんたちにおれいをいってかえりまし
  た。

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「カブトガニを守る」に分読を取り入れた例



★分読を取り入れる原文個所

 
  カブトガニがこんなにも長い間生きづづけることができた理由
  は、つぎにようなことだと考えます。
   一つは、せいしつがたいへんにおとなしく、海のそこのどろの
  中でひっそりと生活してきたことです。そのため、てきにおそわ
  れることが少なく、気候の大きな変化にもえんきょうを受けなく
  てもすんだのです。
   二つめは、食べ物がおどろくほど少なくてすむということです。
  カブトガニは、何も食べなくても、半年以上もどろの中で生きて
  いるのです。
   三つめは、とくべつなたまごの産み方があげられます。ふつう、
  たまごを産む動物は、一か所にまとめて産みますが、カブトガニ
  は、海岸のすなの中に、数百こずつ分散して産むのです。そのた
  め、たまごがぜんめつする心配がありません。
                      (旧版、光村4上)

★文章構成

【結論。結果】
  カブトガニがこんなにも長い間生きづづけることができた理由
  は、つぎにようなことだと考えます。
【一つは。理由・原因の1】
   一つは、せいしつがたいへんにおとなしく、海のそこのどろの
  中でひっそりと生活してきたことです。そのため、てきにおそわ
  れることが少なく、気候の大きな変化にもえんきょうを受けなく
  てもすんだのです。
【二つめは。理由・原因の2】
   二つめは、食べ物がおどろくほど少なくてすむということです。
  カブトガニは、何も食べなくても、半年以上もどろの中で生きて
  いるのです。
【三つめは。理由・原因の3】
   三つめは、とくべつなたまごの産み方があげられます。ふつう、
  たまごを産む動物は、一か所にまとめて産みますが、カブトガニ
  は、海岸のすなの中に、数百こずつ分散して産むのです。そのた
  め、たまごがぜんめつする心配がありません。


★分読を取り入れる目的と方法

 この文章個所は、カブトガニが長い間生き続けてきた理由が三つあると書
いています。「一つめは」「二つめは」「三つめは」とリードの言葉があっ
て、たいへんい分かりやすく書かれています。理由が三つであることを、分
読することではっきりと理解させる指導をしましょう。
一つめグループ(理由1グループ)、二つめグループ(理由2グループ)、
三つめグループ(理由3グループ)を作ります。最初に、前置きグループと
いうか主題提示文グループというかがあります。グループ内の人数は、一人、
二人、三人など、いろいろあってよいでしょう。

★分読例

前おき・結論グループ
   カブトガニがこんなにも長い間生きづづけることができた理由は、つ
   ぎにようなことだと考えます。
理由1グループ
    (一つめの理由を言います。)
   一つは、せいしつがたいへんにおとなしく、海のそこのどろの中でひ
   っそりと生活してきたことです。そのため、てきにおそわれることが
   少なく、気候の大きな変化にもえんきょうを受けなくてもすんだので
   す。
理由2グループ 
    (二つめの理由を言います。)
    二つめは、食べ物がおどろくほど少なくてすむということです。カ
    ブトガニは、何も食べなくても、半年以上もどろの中で生きている
    のです。
理由3グループ 
    (三つめの理由を言います。) 
    三つめは、とくべつなたまごの産み方があげられます。ふつう、た
    まごを産む動物は、一か所にまとめて産みますが、カブトガニは、
    海岸のすなの中に、数百こずつ分散して産むのです。そのため、た
    まごがぜんめつする心配がありません。

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「花を見つける手がかり」に分読を取り入れた例



分読を取り入れる原文個所

  ここでは、「花を見つける手がかり」全文を扱っています。教出4上に
掲載の説明文です。ここに全文を引用することは長文でスペースの関係上で
きません。
  ここでは、説明文の全文がどんな文章構成になっているか、全体構成を
論理展開にそって要点だけを要約しながら、論理展開のアウトラインの台本
を作成して音声表現する学習をしています。長文の説明文を、大玉ころがし
の大玉をピンポン玉ぐらいに小さくして骨子だけを掌上に乗せてガブリとつ
かんでしまう台本に構成しています。説明文の読解にはそうした能力も必要
です。それを音声表現しながら身体で身につけていく学習です。

最も中心となる問題文と結論文とを分読する例

「中心となってる問題文」と「中心となってる答えの文・結論文」を探して、
まず文章構成を大づかみに把握する指導です。そのために「中心となってる
問題文」と「中心となってる答えの文・結論文」を探し出して台本を作りま
す。こうしてから学級全員で分読します。「問題文」と「答え文・大きな結
論部分」とを明確におさえた台本を作っています。

★分読例

ナレーター 「花を見つける手がかり」の文章で、はじめに書いてある問題
       文を言います。それから途中の三つの実験を省略して、はじ
       めの問題文についての最後の結論だけを言います。
全児童  はい。
A   はじめの問題文を読みます。
    「いったい、もんしろちょうは、何を手がかりにして、花を見つけ
     るのでしょう。花の色でしょうか。花の形でしょうか。それとも、
     花のにおいでしょうか。」
B   最後の結論部分だけを読みます。
    「このような三つの実験から、もんしろちょうは、色によって花を
     みつけることがわかりました。」
    最後の結論のつけたしを読みます。
   「そんなこといったって、赤い花にもんしろちょうが来ているのをみ
    たことがあるよ」と言う人が、いるかもしれません。そういう人は、
    ちょっと思い出して下さい。赤い花のまん中に、黄色のおしべ・め
    しべがありませんでしたか。もんしろちょうは、その黄色を目あて
    に、やってくるのです。」

分読を取り入れる目的と方法

 「花を見つける手がかり」原文は、実験過程や論証過程が入り組んだ文章
構成になっています。先ず、大づかみに冒頭の問題文と最後尾の結論がどう
であるかをつかませます。次に、途中が結論へどう結びついているか、実験
1・2・3の経過をつかませていきます。
1、「中心となってる問題文」を読む人を「A」とする。
2、「中心となってる答えの文・結論文」を読む人を「B」とする。
3、AとBとの人数は、一対一、二対二、グループ対グループ、男対女、教
  師対全児童などがあるでしょう。いろいろと変えて分読を楽しみましょ
  う。
4、ある個所は、教科書原文通りでなく、荒木が勝手に変えて(というか、
  挿入して)台本作りをしています。このように変更した方が、文章内容
  のつながりがすんなりと伝わる文章になるからです。
  筆者の伝えている内容が大きく変更するものでない限り、こうした台本
  つくりでは若干の語句の変更は許されると思います。
   こうして、説明文の一般的な文章構造・文章構成というものを音声表
  現による身体に響かせた仕方で理解させます。要約力も身に着くことで
  しょう。
5、「問い」と「答え」では、やりとりしている感じの音調・雰囲気にして
  音声表現するようにしましょう。Aは問いかけ音調、Bはそれに対して
  返答している音調にします。

文章構成(論運び)がどうなってるかを分読する例

(一応、アルファベットでべたにならべています。一対一でも、グループ対
 グループでも、分割でも、組み合わせはいろいろあります)

ナレーター これから「花を見つける手がかり」の文章が、どんな順番で
      書いてあるかについて発表します。
全児童  はい。
A  一番目に、問題文が書いてあります。問題文を読みます。
   もんしろちょうは、何を手がかりにして、花を見つけるのでしょう。
   花の色でしょうか。
   花の形でしょうか。
   花のにおいでしょうか。

B  二番目に、だれが実験をしたか、実験者した人たちの名前が書いてあ
   ります。
   日高敏隆先生と東京農工大学の人たちです。

C  三番目に、実験の準備が書いてあります。
   実験には、たくさんのもんしろちょうが必要です。キャベツをえさに
   して青虫を育て、たくさんのもんしろちょうを飼育しました。

D  四番目に、実験1が書いてあります。
   実験1のやりかたを言います。実験1のやりかたはこうです。
   生まれてから花を見たことのないもんしろちょうをいっせいに放しま
   した。もんしろちょうは、かだんの花に向かって飛んでいきました。

E  実験1の結果を言います。
   もんしろちょうのよく集まる花、あまり集まらない花があります。赤
   い花にはあまり集まりません。
F  実験1の結果から考えたことを言います。
   よく集まる花、よく集まらない花があることは、もんしろちょうは、
   色で見分けて集まるのだろうか。たまたま赤い花は、おいしいにおい
   を出していないのかもしれません。色か、においか、次にそれを調べ
   る実験をしなければなりません。

G  五番目に、実験2が書いてあります。
   実験2のやりかたを言います。
  「色に集まるのか、においに集まるのか」を調べる実験をします。にお
   いのしないプラスチックの造花を使って実験をします。赤、むらさき、
   黄、青の四種類の造花をグループごとにおきました。
H  実験2の結果を言います。
   もんしろちょうはまっすぐにプラスチックの造花に向かって飛んでい
   きました。造花の場合も、赤い花にはあまり集まりません。
I  実験2の結果から考えたことを言います。
   においがないプラスチックの造花に集まったことは、もんしろちょう
   は、においに集まったのでなく、花の色に集まったということがわか
   ります。これで、においでないことが分かりました。次の実験は、花
   の色に集まるか、花の形に集まるか、を調べる実験になります。

J  六番目に、実験3が書いてあります。
   実験3は、花の色に集まるか、花の形に集まるか、を調べるの実験で
   す。
   花の代わりに、四色の四角い色紙を用意して離れたところに色別に置
   きました。もんしろちょうはいっせいに色紙に向かって飛んでいきま
   した。
K  実験3の結果を言います。
   ただの四角い色紙なのに、もんしろちょうは、四種類のどの色にも集
   まりました。集まり方の多い順番は、むらさき、黄、青の順で、赤 
   にはほとんで来ていません。
L  実験3の結果から考えたことを言います。
   ただの紙にも集まることから、もんしろちょうは、花の形にではなく、
   花の色に集まることが分かりました。
   また、赤い花への集まりが少ないことから、赤い色は見えないらしい
   ことも分かりました。赤い花にちょうが少ないですが集まっているの
   は、赤い花についてるめしべ・おしべの黄色を目あてに集まってきて
   いるのです。

M  最後に結論が書いてあります。結論を言います。
N  実験1で、もんしろちょうが、よく集まる色と、あまり集まらない色
   があることが分かりました。
O  実験2で、もんしろちょうは、花のにおいにあつまるのでないことが
   分かりました。
P  実験3で、もんしろちょうは、花の形に集まるのでないことが分かり
   ました。
Q これで、結論が出ました。もんしろちょうは、花の色に集まってくる
   ことが分かりました。よく集まる色は、むらさき、黄、青の順番で、
   赤い色は見えないらしということが分かりました。

 なお、「花を見つける手がかり」の音読授業をデザインする、を本HPに
掲載しています。そちらも参考にしてお役立ていただければと思います。

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「くらしの中の和と洋」に分読を取り入れた例



★分読する原文個所

   日本では、くらしの基本である「衣食住」のどれにも、「和」と  
  「洋」が入りまじっています。「衣」には和服と洋服があり、「食」
   には和食と洋食があり、「住」には和室と洋室があります。「和」
   は、伝統的な日本の文化にもとづくもので、「洋」は、主として
   欧米の文化から取り入れたものを指します。
    ここでは、「衣食住」の中の「住」を取り上げ、日本のくらし
   の中で「和」と「洋」それぞれの良さがどのように生かされてい
   るか、考えてみましょう。
    和室と洋室の最も大きなちがいは、ゆかの仕上げ方とそこに置
   かれる家具だといってよいでしょう。和室は、ゆかにたたみをし
   いて仕上げ、あまり家具を置かないようにします。一方、ほとん
   どの洋室は、板をはったり、カーペットをしいたりしてゆかを仕
   上げ、いすを代表として、テーブル、ベットなど、部屋の目的に
   合わせた家具を置きます。このちがいが、それぞれの部屋の中で
   のすごし方や、部屋の使い方の差を生み出すと考えられます。
                         (東書4上)


★文章構造と対比表現

 
【リード文。前書き。前置き言葉】
   日本では、くらしの基本である「衣食住」のどれにも、「和」と  
  「洋」が入りまじっています。

 
【対比表現】
  「衣」には和服と洋服があり、「食」には和食と洋食があり、
  「住」には和室と洋室があります。
  「和」は、伝統的な日本の文化にもとづくもので、「洋」は、主と
  して欧米の文化から取り入れたものを指します。

 
【リード文。前書き。前置き言葉。問題文。問題提示文】
    ここでは、「衣食住」の中の「住」を取り上げ、日本のくらし
   の中で「和」と「洋」それぞれの良さがどのように生かされてい
   るか、考えてみましょう。

 
【リード文。前書き。前置き言葉。結論。双括型の頭括部分】
    和室と洋室の最も大きなちがいは、ゆかの仕上げ方とそこに置
   かれる家具だといってよいでしょう。

 
【対比表現】
   和室は、ゆかにたたみをしいて仕上げ、あまり家具を置かないよ
   うにします。
   一方、ほとんどの洋室は、板をはったり、カーペットをしいたり
   してゆかを仕上げ、いすを代表として、テーブル、ベットなど、
   部屋の目的に合わせた家具を置きます。

 
【双括型の尾括部分。まとめ。結論】
   このちがいが、それぞれの部屋の中でのすごし方や、部屋の使い方の
  差を生み出すと考えられます。

分読を取り入れる目的と方法

 本稿では、四組で分担読みする台本を作っています。ABCDとしていま
す。児童の四人で一グループを作ります。数人で一グループ作りでもよいで
しょう。
 本教材は、重文が多く、ひとつの重文の中に単位文が三つ、四つと含まれ
ている文もあります。重文の中に「和」に関する内容と、「洋」に関する内
容とが対比して一文となっています。ずらずらと長い一文を読み進めると、
そこにどんな意味内容が語られているかがはっきりしなくなります。
 児童たちは、ただずらずらと読み流す音読をしがちです。「和」と「洋」
とを対比しながら、二つを区別した音声表現をしながら読む必要があります。
「和」ではこうだ、「洋」ではこうだ、と。二つを比較して語っている音調
で音声表現することが重要です。
 「和」と「洋」とを、二つのグループに区分けして、単位文ごと、または
意味のかたまりごとに区切って、意味のまとまりごとで分読していくとよい
でしょう。以下の台本では、一文の中にはどんな意味内容が含まれているか、
語られているかを、「和」と「洋」とに区分けして明確に理解できるように
作りをしました。
 以下の台本では、「和」と「洋」とがひとつの意味内容の区切りのまとま
りごとで分読しています。こうすると、「和「と「洋」とを比較して理解す
ることにに意識が向き、一つ一つの意味のかたまりをきちんと把握できるよ
うになります。「和」と「洋」との意味のかたまりを考えて、声にのせて音
読するようになります。
 赤字は、強調して音声表現する個所です。強調の仕方には、強く高く読ん
だり、そっと小さく読んだり、ゆっくりと読んだり、ポツポツと間をあけて
読んだり、いろんな強調の仕方があります。いろいろと試みさせてみましょ
う。
 以下の台本では、一文の途中で切れて、次の人に文内容がひとつながりに
つながっている個所が多くあります。前の人の読みを、次の人が受けて、ひ
とつながりにつなげていく読み方が大切となります。次の人が受けて、つな
げていく出だしのタイミングや語勢や語調などの自然なつながり方が重要と
なります。
 前の人から次の人へ移るとき、そこで間はしっかりととりますが、次へつ
ながる音調も大切です。分読(分担読み)は、こうしたチームワーク、みん
なで作り上げていく協調性や共生性が必要となり、それらを育成することに
なります。

★分読例(1)

(分読例(1)では、4人グループにして役割音読する台本を作って、AB
CDにして読み分担を配当しています。人数は配分や組み分け学級の実態に
応じて自由に工夫します。
 分読例(2)では、Aはリード部分・共通部分、Bは和に関する部分、C
は洋に関する部分、Dは衣に関する部分、Eは食に関する部分、Fは住に関
する部分、などで区分けしています。)

A  日本では、くらしの基本である「衣食住」のどれにも、
B  「和」と「洋」が入りまじっています。
C  「衣」には和服と洋服があり、
D  「食」には和食と洋食があり、
A  「住」には和室と洋室があります。
B  「和」は、伝統的な日本の文化にもとづくもので、
C  「洋」は、主として欧米の文化から取り入れたものを指します。
D  ここでは、「衣食住」の中の「住」を取り上げ、
A  日本のくらしの中で「和」と「洋」それぞれの良さがどのように生か
   されているか、考えてみましょう。
B  和室と洋室の最も大きなちがいは、
C  ゆかの仕上げ方とそこに置かれる家具だといってよいでしょう。
D  和室は、ゆかにたたみをしいて仕上げ、あまり家具を置かないように
   します。
A  一方、ほとんどの洋室は、板をはったり、カーペットをしいたりして
   ゆかを仕上げ、
B  いすを代表として、テーブル、ベットなど、部屋の目的に合わせた家
   具を置きます。
CD  このちがいが、
AB  それぞれの部屋の中でのすごし方や、
CD  部屋の使い方の差を生み出すと考えられます。

★分読例(2)

A  日本では、くらしの基本である「衣食住」のどれにも、
BC 「和」と「洋」が入りまじっています。
D  「衣」には和服と洋服があり、
E  「食」には和食と洋食があり、
F  「住」には和室と洋室があります。
B  「和」は、伝統的な日本の文化にもとづくもので、
C  「洋」は、主として欧米の文化から取り入れたものを指します。
A  ここでは、「衣食住」の中の「住」を取り上げ、日本のくらしの中で
   「和」と「洋」それぞれの良さがどのように生かされているか、考え
   てみましょう。
BC 和室と洋室の最も大きなちがいは、ゆかの仕上げ方とそこに置かれる
   家具だといってよいでしょう。
D  和室は、ゆかにたたみをしいて仕上げ、あまり家具を置かないように
   します。
C  一方、ほとんどの洋室は、板をはったり、カーペットをしいたりして
   ゆかを仕上げ、
   いすを代表として、テーブル、ベットなど、部屋の目的に合わせた家
   具を置きます。
A  このちがいが、それぞれの部屋の中でのすごし方や、部屋の使い方の
   差を生み出すと考えられます。

 なお、「くらしの中の和と洋」の音読授業をデザインする、を本HPに掲
載しています。そちらも参考にしてお役立ていただくとありがたいです。

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